第7話 中層へ
アスタロトとの通信が途切れ数十分くらいだろうか。
僕は暗い平原を1人さまよっていた。
アスタロトが言うにはどこかに転移魔法陣があるらしいがその場所がどこかなんて教えられてない。
つまり自力で探してねってことだろうな。
あいつ……。
「ほんとに…どこに行けばいいんだ。」
鍛えて来いとも言っていたし、ただ散歩して転移魔法陣を見つけて上がって来いって訳じゃなさそうだ。
鍛える……つまり何か戦闘をしてレベルを上げるってことだろう。
ということは十中八九敵に相当する何かがいるんだろうな。
例えば……魔族だったり。
「ギャアアアアアア!!!」
突然聞こえた声に驚き後ろを振り返ると人と鳥が合体したような生き物がこちらに向かって飛んできていた。
ド○クエで言うところのガーゴイル見たいなやつだ。
ド○クエと言えば綾人と結の3人でしてたな……。懐かしい。
「さてどうしようかな!?」
こんな悠長にしている場合じゃない!!
ステータスは上がったとはいえ、武器の扱い方を習っただけでほぼ実質戦闘経験ゼロ!!
なんならその武器すらないんだけど!?
「ああああああ!!」
「ギャアアアアアア!!」
僕の叫びとガーゴイルの叫びが混ざりあって不協和音となって居てる。
僕はひたすら逃げてガーゴイルが追ってくる。
どうするどうするどうする!!
武器もない空を飛んでいるから対抗する手段がないッ!
「クソっ何か……!!」
僕は必死に周囲を見渡す、何か使えるものはないか!!
「あれだっ!」
視線の先には大きな1本の樹木がある。
「おらあああああ!!!」
「ギャアアアアアア!!」
必死にその木に向かって走る!
俺がスピードを早めるとガーゴイルも速さを上げる。
いくら羽が生えて空を自由に飛び回れるからって!!
「急には止まれないだろ!!!」
僕は木とぶつかる瞬間に横へステップを踏み避ける!
避けた瞬間にガーゴイルは木へと顔面から衝突し悶え叫ぶ。
「ギャアッ!!!」
痛みに耐えきれなかったのかガーゴイルはそのまま地面へと落ちてくる。そのすきに俺は木の棒を拾いそのまま攻撃する。
「身体強化!!」
無意識にそう叫びそのままガーゴイルを背面から縦に切る!!
スパッとガーゴイルは真っ二つに裂けそのまま絶命した。
「はぁはぁ……」
初めての戦闘で思いのほか神経をすり減らし疲労感が襲ってくる。
「やった、、倒せた、、!!」
(ちょっと奏!!何そんな雑魚に手間取ってるの!!)
「おわっ!!」
急に聞こえてきたアスタロトの声にびっくりして尻もちをつく。
「いいだろ!こっちは初めての戦闘なんだよ!」
(せっかくステータスまで上がったのに意味ないじゃない!!)
「確かに上がったけど……!」
(まあ身体強化はちゃんと使えてたからいいとするわ。)
「なぁアスタロト、少し疑問なんだが。」
(なに?)
「契約して確かにステータスは上がった。でもまだ実感がないんだ。全力で走っても前とほとんど速さは変わらなかった。」
(そのとこね、貴方の体はまだ新しい体に慣れていないのよ。だから使い方もままならない。魔法も剣術も同じよ最初から完璧に使える人なんていないでしょ?)
そういう事か……。
(さっきあの雑魚を木の枝で斬れたのは力の使い方を体で理解したから、身体強化もそうよ。)
(それ込の鍛えて来いってこと。私の眷属ならちゃんとしてよ!)
「わかったよ…。あとひとつ聞きたいことが「転移魔法陣のことでしょ」……そうだよ。どこに行けばいいのか分からないんだ。」
こんな広い平原のどこに転移魔法陣があるってんだ!検討もつかない。
(魔法陣は魔力によって構成されている。貴方の持っている魔力感知を使えば楽勝よ。)
「あ、そういう事か。」
(全く…手のかかる眷属ね)
「悪かったな。でももう大丈夫だありがとう」
(はーい、早く来てねーこっちは暇なのよ!!今何してたと思う!?)
「…何だ?」
(紐で縄跳びよ!ちなみに最高記録は6回よ)
「下手かよッ!!」