第2話 異世界転移
お救いくださいという言葉にクラスメイトは様々な反応を示していた。
「意味わかんねー」や「なにそれ」、「これが異世界転生ってやつ!?」とか聞こえる。
よくあるラノベの展開ではあるが、実際にこんなことあるのかと困惑しているとある人が声を上げた。
「すみません、よく分からないのですが詳しく説明してくれませんか?」
それは比良坂 透 (ひらさか とおる)だった。
高嶺の花の天音と对を成す存在、クッッソイケメン野郎だった。
クラスを仕切る存在とも言うのだろうか、このクラスは比良坂を中心に回っていると言っても過言ではない。
「……私としたことが申し訳ない。何年もかけて成功させた召喚魔法だ。感動と驚きで説明が省かれていたね……。」
「ここはベンドレア大陸と呼ばれる、あなた達とは別の世界に位置しております。」
神官と思われる老人は淡々と話を続ける。
「およそ5000年前、突如として出現した魔族の頂点へ君臨する「魔王」と呼ばれる存在によってこの世界は魔の脅威に怯えながら暮らしています。」
「そしてそれの対抗策として魔法を使いあなた達をこの世界へ呼び出したのです。……あなた達は一般人とは比べ物にならないステータス、固有能力を有しておりそれを使って魔王を討伐してもらおうと思っております。」
たまげた話だな。
まさにRPGでよくある世界じゃないか
「なんですかそれ。……私たちを元の世界へと返してください。」
クラスメイトのひとりがそういうと、
「それは出来ません。召喚することはできても帰す魔法は存在しないのです。魔法の構築には軽く1000年はかかります。」
最短で帰れたとして、1000年。
これなら魔王を討伐しても元の世界へ帰れるかは不確かだ。
「ふざけんな!」「返せよ!!!」
そんな怒号が広い部屋に鳴り響く。
「私たちにも私たちの生活があります。」
「重々承知の上です。」
「ッ!このッ!!!」
皆がどれだけ抗議をしても神官の意見はひっくり返らない。それに耐えかねたクラスメイトの1人、風鳴 誠也 (かざなり せいや)は飛び出し、神官を殴りつけようとする。
勢いをつけて階段を駆け上がり、神官を殴ろうとするがサイドに立っていた兵士に易々と地面へ抑え付けられる。
「グゥッ!」
「私も強行手段は取りたくありません。反抗も拒みません。ですが今のあなた達と私たちには絶対的な力の差があります。そのことを理解した上での選択をお願いします。」
風鳴を見世物のようにしながら神官は気味の悪い薄ら笑いを浮かべながら話す。
「逆らったら何をするか分からないぞ」などという
半脅しのような言葉に僕らは逆らえず、神官の言う事を大人しく聞く以外選択肢は無かった。
「……分かりました。要求を呑みます。」
比良坂は渋々その要求を呑むが、皆が反対することは無かった。