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第58話 共闘

 突然と現れた悪魔カリギュの存在にラスト、サラシャ、エギルの三名の警戒心は急激に高まっていく。

 しかし、そんな三人の様子を見ても余裕の笑みを崩さないカリギュはそっと手を伸ばし、そばに立つ怪物に命令した。


「マロトーン、可愛がってあげなさい」


「ガアアアア!」


 巨大な人型の怪物は耳がつんざくような雄たけびを上げると飛び出した。

 そして、人一人はありそうな腕を大きく振りかぶって近くにいたラストとサラシャに向かってその拳を振り下ろした。


 巨体の割に高速な動きになんとか反応して回避することが出来た二人であるが、その拳の一撃はその部屋の床を容易くぶち抜いてそのまま全員下の階へと落下していく。


「高みの見物とは良い度胸じゃねぇか!」


 その瞬間、エギルは雷魔法で身体強化すると壊れた瓦礫を足場にして飛び越えていく。

 そして、高速移動を活かしてマロトーンを避けるとカリギュに向かって双剣の刃を叩きつけた。


「生き残ったことについて褒めてあげますが、私あいにくあなたに興味ないんですよ」


「がはっ」


 エギルの刃はカリギュの眼前に迫っていた。その時、カリギュは手を後ろに組んで佇むのみ。

 それは誰もがカリギュの攻撃が通るだろうという場面にも拘らず、カリギュのはたくような一撃が先にエギルを襲って下の階へと叩き落される。


 マロトーンによって破壊された床はその階だけではなく、その下にあった階の床、さらにその下とぶち抜いていて、最終的にラスト達が降り立った場所は1階の広々とした空間がある入り口。


「ガアアア!」


「来ます!」


 マロトーンは再び雄たけびを上げるとラスト達がいる場所にジャンプした。

 そして、床にヒビを入れて凹ませるほどの衝撃で降り立つとすぐさま右腕を伸ばして振り下ろしていく。


 マロトーンの接近に警戒して回避したラスト達であったが続けざまの攻撃速度に追いつかれたサラシャがマロトーンのラリアットをガードするも勢いよく吹き飛ばされていった。


「サラシャさん!」


『よそ見してる場良いじゃないぞ!』


 リュウの言葉にラストがマロトーンへと向くとすでに相手は拳を振り下ろせる段階にいた。

 マロトーンの拳を半身で躱してカウンター気味に炎を纏った拳を顔面に叩きつける。

 だが、それは平然と受け止められて、左手で体を掴まれると思いっきり投げ飛ばされた。


 ラストは地面をはずみながらもなんとか体勢を立て直して着地する。

 すると、先ほどの攻撃に関してリュウが言及した。


『おい! なぜ右腕を黒腕化させなかった?』


 ラストの先ほどの攻撃、実のところただの右拳に炎を乗せた一撃であった。

 それでは悪魔の力を借りて強化した右腕の一撃とは雲泥の差が出てしまう。


「それは......」


 しかし、ラストは思わず言い淀んだ。

 そして、チラッと見るのは反対側にいるエギルの姿。

 それを視覚共有で見たリュウはすぐに理解する。


『貴様、バレることを渋ったな?』


「......」


 それに対し、ラストは沈黙で答える。

 しかし、それはもはや答えを言っているようなもので、当然リュウにも見透かされた。


『貴様、戦いを舐めているのか?

 先ほどの生きた屍の時もそうだ。生半可な覚悟で今後の戦いが通用すると思っているのか?』


「そ、それは......」


『貴様が何と言おうと今後の戦いはさらに厳しくなる。

 無論、お前の体に俺が宿っている時点でな。それは絶対に避けられないことだと思え。

 しかし、貴様は力を欲して俺と契約を結んだ。

 それはそれ相応の覚悟を決めたからであろう?

 それともそれは単に契約時(あのとき)のその場しのぎの勢いだったか?』


「違う。その場しのぎなんかじゃない」


『なら、覚悟を決めろ。もはやバレるのは時間の問題だ。

 だったら、バレてもなお自分は味方で戦力になることを示せ』


「っ......わかった」


 ラストは覚悟を決めるために一度深呼吸した。そして、エギルの方を見ると声をかける。


「エギル君、聞いてくれ」


「なんだ! こんな時に―――」


「僕は体に悪魔を宿している」


「......は? 何言って―――」


 その時、エギルに向かってマロトーンがダッシュした。

 ラストの突然のカミングアウトに反応が送れたエギルはマロトーンに接近され、そのまま振り下ろされた拳が直撃―――する前に黒腕化したラストがマロトーンの拳を受け止める。


 そして、拳を弾くとすかさず顔面に炎を乗せた拳を叩きつけ、今度は壁へと叩きつけるほどに吹き飛ばした。


 その一方で、エギルはラストの姿を見て思わず唖然となった。

 なぜなら、その黒い右腕に色が変化した右目、右側の額から生える角はまさに悪魔の特徴であったからだ。


 それに対し、ラストはありのままの気持ちを伝えていく。


「まず初めに騙しててごめん。騙すつもりは無かった。

 だけど、君は僕に自分の悩みを打ち明けてくれたのに、僕はそれに対して答えることが出来なかった。

 それは僕が君が憎む悪魔の力を利用して戦っているからだ。だから、君が僕を憎んでも仕方ないと思う。

 でも、これだけは信じて欲しい。僕は決して人を襲わないし、むしろ助けたいと思っていることを」


「お前が......悪魔? 利用して......戦う?」


 色々な情報にエギルの思考は追いついていないようで表情からしても酷く戸惑っているのがわかる。

 そして、顔をうつ向かせるとラストに一つ尋ねた。


「それは一体いつからだ?」


「まだ中等部にいた頃に一度エギル君を助けに行った時。

 その時に悪魔を倒すために別の悪魔と契約した」


「......そうか」


 エギルはすくっと立ち上がると右手の双剣を素早く動かした。

 しかし、それはラストの眼前で寸止めされて、その動きに対してもラストが揺るがなかった様子を見ると剣を下ろし、そのまま横に立つ。


「エギル君......」


「俺の敵は悪魔だ。それは間違いねぇ。だが、少なからず今のお前は“人間”だ。

 ま、さっきのカリギュとかいう悪魔みたいに擬態してる可能性はあるがな。

 だが、これは俺が判断して俺が決めたことだ。

 だから、テメェが悪魔だろうとなんだろうと敵が共通である以上信用してやるよ。

 ただし、お前が本当に悪魔に堕ちた場合はキッチリ俺がケジメつけてやるから覚悟しやがれ」


 その言葉にラストは思わず目を見開かせる。しかし、すぐに笑みを浮かべて答えた。


「信じてくれてありがとう。それだけで十分だよ」


 ラストの表情を見てエギルは「ふんっ」と鼻を鳴らした。するとその時、サラシャの声が加わってくる。


「友情の深め合いの間失礼します」


「友情の深め合いなんてしてねぇよ!」


「実は言うと先ほど大きな一撃を貰ってしまってまともに動けるにはもう少し時間がかかるのですが、その代りといっては何ですが恐らく弱点になるであろう箇所を見抜きました」


「あの一瞬で?」


「はい。細かな気遣いをするための観察眼は主に仕える者の必須項目なので。

 と、それはおいといて、どうやらあの怪物の皮膚をよく見ると溶けた人がいくつも重なって出来ているようなんです」


「チッ、気持ちわりぃな」


「そして、腕関節やひざ関節といった稼働する上で重要な場所はどうやら負荷が大きいのか糸のようなもので縫合してあります」


「つまり、その縫合個所......関節部分を切り崩していけばあの怪物を無力化できると?」


「あくまでそのような推察ですが」


「どちらにせよ、あの怪物を倒さねぇとあの高みの見物決めてる悪魔は降りて来ねぇわけだ。

 だったら、その読みを信用してぶっ殺すしかねぇな!」


「では、私はサポートに回ります。ご武運を」


 そして、腰から剣を引き抜いたラストと双剣を構えたエギルは同時に走り出した。

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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