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第51話 捜索

「それじゃあ、この学院内のどこかもしくは誰かが悪魔・魔族だってのか?」


「そうなる。あくまでリュウ――――憤怒の悪魔による言葉だけど」


「それが本当なら由々しき事態ということになるわね」


 ラストはリュウとの間で話し合ったことをグラート達に情報共有することにした。

 そして、その反応は当然困惑といった感じで、その一方でフェイルはタブレットに向き合って何かを調べている。


「何してるの?」


「ひとまずその悪魔を探すにしても、一応ゼイン隊長の方には連絡を入れておいた方がいいかと思って......と。とはいえ、問題はどうやって探すかだと思うんだよね。

 やみくもに探してもこっちには特定する手段がラスト君しかいないわけだし、人間に紛れて過ごしているなら隠すのが上手いってことであるからラスト君の手を借りても最悪見つからない場合がある」


「もっと確実な手段が必要ってわけね」


 フェイルの言葉にリナは悩むように顎に手を付けた。すると、グラートが同じ仲間でこの場にはいない人物についての話を始める


「とりあえず、この話はルクセリア先輩にもしといた方がいいんじゃねぇか?」


「駄目よ。どうせあの人のことだから殴って尻尾を出させようとするに決まってるわ。どのみち戦闘になれば勝手に来そうだし」


「別にルクセリア先輩ってそこまでの脳筋じゃないと思うけど。まぁ、戦闘狂ではあるけど」


 そんな話に苦笑いを浮かべながら聞くラスト。

 相変わらずリナからのルクセリアの評価は低いらしい。

 ここでラストは話を戻すと潜入している悪魔について疑問を唱えた。


「気になるのはその目的だよね。まぁ、恐らく最終的な目標が憤怒の悪魔の奪取によるものだと思うけど、わざわざ潜入して策を講じてる時点で別の思惑もある可能性がある」


「確かにな。もしくはラストを捕まえるための手段としてなら潜入の意味合いも強まりそうだよな。

 例えば学院の生徒や教師を人質に取るとか。そうなればそれなりの準備も必要そうだし合点がいく」


「なら、それだけのことをするなら恐らく学院に侵入してるのは一人ではなさそうね

 全員が誰かに化けているのか、もしくは誰か一人が残りを匿っているのか」


「前者だったら面倒だな。一人が見つかった時点で強行策に出られる可能性もあるってことだし」


「とはいえ、それもこれも首謀者を探さないとどうにもならないね。けど、その探す手段がなー」


「それなら一つ確実ではないけど搾れるものがあるよ」


 ラストが悩んだ様子でいるとタブレットを弄っていたフェイルが発言した。

 そして、そのタブレットをテーブルの中央に差し出すとそこから出る半透明のディスプレイに全員が目を移していく。


「今思いついたのは先日の事件からラストが接触した人、もしくはその近くに居合わせた人のリスト」


「この中にいるかもしれないってことだな。にしても、なんでこうも人物の特定が出来てるんだ? ラストが一人の時だってあったはずなのに」


「それは......ラスト君のためと思ってコッソリと録画機を服につけておいたんだよね。

 万が一、ラスト君が抵抗できないまま拘束された時にその録画機が自立的に脱出して証拠を残して置くための」


「それなら、別にラストに伝えても良かったんじゃない?」


「まぁ、良かったと言えば良かったんだけど、ラスト君って嘘がつけそうなタイプじゃないし、相手がラスト君の思考が読み取れる能力を持っていたならバレかねないしね」


「そういうことだったんだ。でもまぁ、僕のためだってことなら僕は気にしてないから安心してよ。それに僕なら視線ですらバレかねないしね」


 ラストの言葉にフェイルはホッとしたような顔になった。どうやら勝手にそういうことをしたことにそれなりの罪悪感を感じていたらしい。


「で、このリストの中にルクセリア先輩のがあるけど......」


「この人は白でいいだろ。直接会った感じからしてもこの人は悪魔じゃなさそうだし」


「それに常に従者を連れてるから一人になる機会がない。

 それにルクセリア本人が実力者だから誰の目にもばれずに体を乗っ取ることは難しいはず」


「そういえば、体を乗っ取るで思い出したんだけど、相手がラスト同じ魔人ということはないのか?」


「その可能性についてはすでにリュウに聞いてあるよ。でも、本人からすれば確実な悪魔の気配だったらしい」


「なら、それを信じるとするか。んじゃ、まずやるべきはこのリストにいる連中に接触してみることだな」


*****


『――――で、これまでの接触してきた生徒はどうだった?』


『恐らく違うな。悪魔によって肉体の適合性は違うが総じて魔力の多く強い肉体を選ぶ傾向がある。

 それらを考慮すると潜在魔力からしても低いかったから可能性が小さい』


『なるほど』


 ラストはリュウとの会話を終えるとグラート達の方へを顔を向けた。


「で、どうだって?」


「違うって。魔力が少ないからって」


「となると、悪魔。魔族はやはり自身の能力が活かせる肉体として魔力の多い人の体を狙うのか」


「それにそれらの持つ魔力に耐えうる肉体でなければ器が爆散して終わりだから、そう考えればごく当たり前な考えともいえるわね」


「ちなみに、次は......っと、いた。マリエス先生だ」


 リストの名前にあった人物を見つけるとラスト達はそのままマリエスに近づいていく。

 どうやら今の彼は外で授業の準備をしているようで多くの荷物をせっせと運んでいる。


 ラスト達は「マリエスが悪魔ではないか?」という疑いを持ちつつも、それを下手に刺激しないように自然な形で話しかけた。


「マリエス先生、荷物の方手伝いましょうか?」


「え、本当ですか? ありがとうございます。何分一人でずっと運んでいたもので腰が痛くて痛くて」


 マリエスは腰を叩きながら邪気がなさそうな笑みを浮かべている。そして、ラスト達は荷物を運び始めるとラストは脳内でリュウと会話を始めた。


『リュウさん、この人はどう?』


『魔力は十分にある。肉体はやや細いが悪魔によれば適正範囲内だ。悪魔である可能性は十分にある』


『!......そっか。わかった』


 ラストはチラッとマリエスを見てこちらに意識がないことを確認すると咳払いを一つした。

 その瞬間、ラストの方へと三人の視線が集まっていく。


 そして、全員の視線が交わった所でラストはコクリと頷いた。

 それによって、三人に瞬時に情報が共有されていく。つまりはこの人物はグレーである、と。


「そういえば、マリエス先生はこの学校に来てからどのくらいなんですか?」


「おや、突然ですね。意外と最近で3年前ほどですよ。なので、私はまだ新任の部類です。

 今も授業をどうやったら上手く伝わるのか悩みっぱなしです」


「先生は主に何の授業を担当してるんですか? 一年の僕達じゃ先生の授業は受けてなくて知らないので」


「私は主に状態異常についてこ講義をしていますね。

 悪魔や魔族に注目が行きがちですが、魔物による攻撃も実は十分に厄介であると教えてるんです。

 とはいえ、皆さん優秀ですからよっぽどじゃない限り状態異常にならないんですけどね」


「そうなんですか。面白い授業してますね」


「はは、お世辞が上手いですね。でも、一人でもそう思ってもらえるように今は頑張っています」


 そして、そのまま何事もなく授業の準備が終わり、マリエスはとても満足そうな顔で告げた。


「いやー、ありがとうごさいます。助かりました」


「いえいえ、大丈夫ですよ。先生も授業頑張ってください」


 ラスト達が帰ろうとするとマリエスは「あ、そうそう」と何かを思い出したように彼らを呼び止めた。


「そういえば、前にルクセリアさんと話していた件。良いのありましたよ。

 詳しくはルクセリアさんに伝えておくので、彼女から聞いてください」


「わかりました。ありがとうございます」


「それでは()()()()()()()()()()

読んでくださりありがとうございます(*'▽')

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