表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら……。  作者: 伊織愁
6/57

 頭が可笑しくなりそうだな。

この[花咲華を守る]スキルは、取り敢えず、横に置いとて、これからどうするか考えよう。

振り返る前に花咲が、桜柄の木刀を持ってる姿が送られてきた。 あの木刀って、もう一人の俺が持ってたやつだ。

「花咲、その木刀……」

「あ、これ? 私が作ったの」

「これを花咲が?」

「うん、私、錬金術が使えるんだけど、魔法陣のファイルの中に、小鳥遊くんの武器があってね。はい、持ってみて」

「俺の武器が、花咲の魔法陣の中に?」

「うん、材料は世界樹だよ、さっきひと枝くれたの」

大木を仰ぎみる。 風が吹いて世界樹が、何か言ったような気がした。 この大木、世界樹だったのか。 まぁ、普通は予想つくよな。

 持ってみたら、軽くてびっくりした。 木刀って普通は重いんだけど、しっくりと手に馴染んで、握りやすい。 振ってみた、綺麗な音が鳴った。 やっぱり軽いからか。 ただ、桜柄は派手だな。

「魔法剣みたいだから、魔力を込めてみて」

えっ!  魔力を込める?  どうやって?  取り敢えず、握る手に集中してみる。 何か手が、暖かい。 そのまま集中を続けると、魔力が切先まで包み、強化されたのが分かった。  強化が終わった時、桜の香りと花弁が舞った。  演出も派手だな。

「すごいな。こんなの作れるなんて」

「ふっふっふ、趣味でもあるしね」

「? 趣味って?」

「や、こっちの話」

花咲は手と顔を、振って慌てて誤魔化した。 何か、知られたくない事でもあったか。

「花咲はRPGとかした事ある?」

「や、そっち系は……運動神経切れてるし、反射神経もやばいから、狩りとか討伐クエとか無理だし、やってもオートモードオンリー(私が興味があるのはキャラの衣装だしね)」

「運動神経云々は知ってる(ずっと、見てたしな)

俺は部活ばっかりで、疲れて早く寝るしな。  ゲームなんてしてる暇なかった」

「剣道部だよね。  実際に闘うならゲームより剣道の方が、役に立つと思うけど」

「それもそうか、何かちょっとしたゲーム感が、現実味を無くすよな」

うんうん頷く花咲は可愛い。

「取り敢えず、ここを出る為には力を手に入れて、ダンジョンを攻略しないとだな。 出口を探すか」

「うん」


 じっと草陰から二人を盗み見ている影があった。

 「やっと、行ったわね」

「だね。 どっちに賭ける?  死ぬか生き延びるか」

「……賭けない、生き延びてもらわないと行けないんだから」

「死ぬと思ってるんだ?」

「このままじゃね」

「助けないの?」

「助けるわよ、 力を手に入れた後でね。 そういう指示だし。 追うわよ、見失う」

「了解! それに、見極めないとね」

「……そうね」

ガサガサと草陰から二匹の影が、飛び出して行った。 そのフォルムは丸く、羽根が生えていた。


 二匹が怪しげな話をしている頃、俺たちは出口を探して彷徨っていた。 俺たちは、まだ分かっていなかった。  心の何処かで、まだ帰れるんじゃないかと思っていた事 このダンジョンの危険性とか、死と隣合わせの世界で、生きて行かなければならない事を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ