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異世界転移したら……。  作者: 伊織愁
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 頭の中で、ガンガンする音が響いている。 脳みそが締め付けられて、縮むような痛みで目が覚めた。

いったーーっ、これが世にいう二日酔いか……。


 『花咲華の位置を確認、安全を確認、昨夜の就寝中の危険はありませんでした。 今朝の画像を送ります』


スキルの声が二日酔いの頭に響く。 

 「……いたっ……」

相乗効果で尋常じゃないくらい痛い……。 頭の中で、華の寝顔が映し出される。 ちょっ、待て! 画像は危険な時だけでいいって言っただろ。 後ろで誰かが、寝返りをうった気配がした。 頭の中の、画像の華も体の向きが変わってる。 華の髪がさらさらと流れて揺れる。 後ろと頭の中で、寝息が輪唱している。 覚悟を決めて、後ろを振り向く。

 

 華が隣で寝息を立てて眠ってる。 何で、俺のベッドに華が!! まさか俺、酔った勢いで何かしたのか? 動いたら華が目を覚ましそうで動けない。 目が覚めた時、なんて言い訳をしたら……。

 さーっと血の気が引く。 昨日の夜を思い出す、記憶が曖昧で覚えてない。 スキルを使って確かめてみる。 緊張するな、[何か]が映ってたらどうしよう。 ドキドキしながら、昨夜の動画を探した。


 『昨夜の動画は一本です。 再生します』


頭の中で、映し出された動画は、酒が入ってるせいで画像がぼやけている。 音もノイズが入っていて、途切れ途切れで、何を言ってるか分からない。 動画は途中で切れた。 ここで眠ってしまったのか。

肝心な時に役に立たない。 でも、何もなかったみたいだ。 よく考えたら、防具を着たままだし。 良かったのか……ちょっと残念なような……。 横で無防備な姿で寝てる華の寝顔を、じぃと見てると頭の中で、又もや口移しシーンの画像が再生される……やばい。 華が眉を歪めて身動きした。 あ、起きそうだ……。

 

 華が目を開けた。 起きた! 何て声を掛けたらいいんだ……。  まだ、ちょっと寝ぼけてるのか、俺を認識出来てない感じだ。 暫くボヤっと俺を見た後、少し恥ずかしそうに頬を染めて口を開いた。

 「おはよう。 優斗くん」

今、優斗くんって呼んだ。 めちゃ可愛いんですけど。 華が恥ずかしそうにするから、何か俺も照れる。 名前呼びに、他人行儀から一気に親しく感じる。 

 「おはよう。 華……訊いていい? 何で、俺のベッドに?」

 「えっ……」

華は目を見開いた後、半眼になって睨んできた。 一気に空気が冷えて、華が黒い笑顔を向けてくる。 

華もそんな顔、出来るんだな。 

 「絶交だから」

華はそれだけ言って、ベッドを飛び降りて俺の部屋を出て行った。 やっぱり俺、何かしたのかーー!?

 今日の午前中は、華以外は三人とも二日酔いで使い物にならなかった。 鈴木なんて一口しか飲んでないのに……うん、今後は酒は控えよう。 飲んでも二杯くらいで止めよう。



 午後から復活した俺たちは、街に買い出しに出た。 市場はいつも活気づいていて、眺めているだけで楽しい。 日替わりで、見たことのない果物とか野菜、肉が並んでいる。 たまに空中に、キラキラした物が漂っているのはなんだろう? 成長期なので保存が効く食料とか、普段の食事以外に、買い足さないと直ぐになくなる。 華、まだ怒ってるかな? 頭の中で、後ろを歩く華の姿が映し出される。 鈴木と今日のおやつの話をしている。 華が直ぐに俺の、スキル越しの視線に気づいて俺の方を見る。 あっかんべぇされた。 子供みたいな行動に笑いがこみあげてくる。 華は、俺の様子にムスッとして、視線を逸らした。 

 果物屋でドライフードを眺めている華に近づく。 多分、これで怒ってるんだろうなっていう理由で謝った。 瑠衣たちは、少し、離れた店で肉を選んでいる。

 「華、ごめん。 何も覚えてなくて」

華はちょっと、びっくりした顔をした。 華は苦笑して言った。

 「私もごめんね。 何かちょっと、面白くないって思って……小鳥遊……優斗くんが凄い驚く顔が見たかったのに。 余裕ぶっちゃってさ! 昨晩だって、私一人がドキドキして……」

華は最後の方は、声が小さくなって、ブツブツ言っている。 いや、俺も大分ビビったよ。 無防備な姿で隣で寝てるなんて、色々とやばかったんですど……


 『上方から魔族の気配を感知、 近づいて来ます。 警戒してください』


頭の中で、スキルの警報が鳴る。 上を見上げると男が一人空中に立っていた。 王様を操ってた男じゃない。 別の奴だ。 華を後ろに庇う。 男が降りてきて、対峙した時、全身に悪寒が走った。 男の顔が嫌な笑みで歪む。 頭の上からフィルの声がする。

 「黒い影に気を付けて、お城の時みたいにならないように」

フィルの声に頷く。 


 『花咲華により結界が発動されました。 最大限まで強化されます』


華の足元から魔法陣が拡がって、結界が俺たちを包む。 結界はキラキラと光って強化された。

 木刀を構えて魔力を流して強化する。 魔法石が光って、花びらが舞う。 桜の香りが結界の中で、漂って充満していった。

『異世界転移したら……。』を読んで頂き誠にありがとうございます。

気に入って頂ければ幸いです。

毎日、12時から14時の間に投稿しています。 良ければ読んでやってくださいませ。

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