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異世界転移したら……。  作者: 伊織愁
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 優斗たちが異世界転移した王国、王都にある城で黒い影が城中を移動している。 他人に視認されない魔法が掛かってるのか、誰も黒い影に気づかない。 門番、廊下の見張りの兵士、メイド、文官の横を通り過ぎても誰も気づかない。 黒い影は、客室の扉の前で止まって、影が歪むと跡形もなく消えた。 

部屋の中から女の声が聞こえる。 

 「そう、ダンジョン都市に向かったの。 私たちも行くわよ。 転送魔法で一瞬だしね」

待ってなさい。 花咲華! いつも王子の隣に当たり前のように居て。 邪魔なのよ。 元の世界で、王子に振られた時の事を思い出す。 心に醜い感情が渦まく。 親指の爪を噛む。 ベルを鳴らしてメイドを呼ぶ。

 「ダンジョン都市にある別邸の用意をして置いてね」

まだ、勇者召喚に巻き込まれて異世界に来て一か月、城中や勇者御一行なのどを掌握している。


――ダンジョン都市のダンジョン内

 『三体こちらに来ます。 魔法攻撃発射されます』


 「優斗、そっちに行った!!」

全身に魔力を循環させて、木刀に魔力を流す、魔法石が光って、花びらが舞う。 木刀が強化されていく。 一つ目の魔法弾を、木刀を振り下ろして打ち落とす。 二つ目を薙ぎ払って霧散させる。 三つ目は魔法弾と目玉の魔物の目を突き刺し、翼の生えた目玉の魔物は音をたてて凍っていく。 魔法弾は霧散した。 魔物は、地面に落ちて砕け散る。 魔法弾が不発した煙で辺り一面が覆われる。 あと、二匹!! 

 

 『前と後ろで挟まれてます。 攻撃来ます』


前の魔物の下に銀色の足跡が輝く。 


 『カウント 直撃まで三・二・一・零』


『零』のタイミングで屈んで、銀色の足跡を踏むと、魔力が増強されたような感覚がした。 皮膚の硬い魔物を下から突き刺して、魔法で凍らせる。 地面に放り投げると砕け散った。 さっきまで居た場所で魔法弾がぶつかって煙が立ち昇る。 後ろを向いて次の攻撃に備えて木刀を構える。

 「あと、一匹!!」

長い棒が、目玉の魔物の頭を後ろから叩く、目玉が飛び出した。 棒術なのか、煙の中から棍棒の先が飛び出してくる。 魔物は何度も棍棒で叩かれて気絶した。 俺は目玉の魔物の目を突き刺して凍らす。

砕け散った魔物から、魔法石が転がり落ちた。 煙が腫れてきて床を見ると魔法石が大量に転がっている。 


 『花咲華の位置を確認、安全を確認、画像を送ります』


花咲は、フィンと大量の魔法石を拾い集めている。 俺のスキル越しの視線を感じた花咲がこっちを見る。 あ、やばっ! 怒るかと思ったけど、笑顔を向けてくれた。 スキル越しで見られるの嫌じゃなかったっけ? 


 「よし、ここからは華ちゃんの結界無双だな」

 「おい、花咲を囮に使う気か」

瑠衣がニコニコ笑顔で言う。 目玉の魔物の部屋を出て、廊下で大量の魔物と出くわした。

 「優斗、こんな狭い廊下で木刀とか槍とか振り回せないし、俺の弓でも限界あるし、壁に当たって跳ね返ってきたら危ないだろ。 華ちゃんの結界なら、走り抜けるだけで魔物が消し飛んで行くから」

 「それは、そうだけど」

 「私だったら、大丈夫だけど。 危なかったら、小鳥遊くん助けてくれるでしょ」

瑠衣に諭されて、仕方なく花咲を先頭に廊下を走り出す。 俺は花咲の直ぐ後ろについて走る。 後ろは瑠衣と鈴木だ。 フィルは相変わらず俺の頭の上を占拠している。 フィンは花咲の肩で揺れてる。


 『結界が強化されます。 前方の魔物の危険度は中です。 廊下を抜けた先から、危険度が高になります。 更に奥の魔物は危険度Maxです』


結界の魔法陣が光って拡がった。 結界は俺たちを包む、微かに桜の香りが漂った。 前方から魔物が襲い掛かってくる。 魔物が消し飛ばされて、散り散りになっていく。 結界には、フィルたちのような羽根が生えている。 消し飛んで行く魔物とは、対照的に羽根はパタパタと楽し気に揺れている。

 「弱いのは廊下の魔物まで、廊下の先は強いのばっかりだぞ。 花咲、廊下が終わったら直ぐに下がれよ」

 「分かった」

 「強いのか、楽しみ!!」

 「仁奈は、この間ボコボコにされてたな」

瑠衣が鈴木を楽しそうに揶揄っている。 鈴木はムスッとした顔で瑠衣と言い合いを始めた。 もう直ぐ、廊下が終わる。 


 『廊下の魔物は撃破されました。 奥の魔物が何者かに撃破されてます。 前方から魔力弾が来ます。 天井と壁が崩れます』


 「皆、止まれ!!」

花咲を俺の後ろに引いて庇う。 地鳴りがして、轟音が鳴り響く。 天井にひびが雷状に入っていく。

天井や壁が音をたてて崩れていく。 瓦礫が結界に当たって砂埃になって床を打った。 瓦礫が床に落ちる音が止んだ。 砂埃が晴れていく。 前方から高い魔力弾が結界に当たる。 ビリビリと結果が揺れてひびが入っていく。 やばい結界が破られる。 花咲たちは事態の状況に追いつけないでいる。 【追跡】スキルの要領で結界の魔力を感知する。 俺の魔力を流してみる。 


 『結界を強化しました。 攻撃が来ます』


結界の魔法陣が光ってひびが塞がっていく。 前方から魔力の塊の気配がする。 相手が来ると同時に動く、銀色の足跡が輝く。 踏んで相手の間合いに入る。 木刀が光って強化される。 胴を目掛けて打ち抜く、黒い影は歪んで目の前から消える。 なんの感触もない。 後ろで瑠衣が弓を射っている。 黒い影は同じように歪んで消えた。 一瞬で何処にいるか分からなくなる。


 『結界に侵入されます。 ターゲットは花咲華です』


考える間もなく、黒い影は易々と結界に侵入した。 間に合わなかった。 黒い影は音もなく花咲を連れて、空高くまで移動していた。 なんで、結界が効かないんだ? 花咲は気絶してるようだ。 黒い影が俺の足元に魔力弾を落とした。 黒い影は何か言いたげに顎をしゃくる。 ついて来いって言ってるようだ。 次に花咲の首に手を掛ける。 黒い影は音もなく何処かを目指して移動した。 瑠衣たちが俺の側に来る。 どす黒い感情が心に渦巻く。 周囲の気温が下がって凍りついていく。

 「優斗……」

桜の香りがする。 頭の上のフィルが安心させるように声を掛けてくる。

 「大丈夫だよ。 フィンが上手く隠れてついて行っているから。 雷神も先に行ってる」

 「花咲を追う」 


 『もう直ぐ、スキルの及ぶ距離外に出ます』

急げ、スキルが効かなくなる。 花咲を追って、銀色の足跡を踏んで跳躍する。 絶対に追いつく。


『異世界転移したら……。』を読んで頂き誠にありがとうございます。

まだまだ未熟ですが、気に入って頂ければ幸いです。

毎日、12時から14時の間に投稿しています。良ければ読んでやってくださいませ。

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