第一章 一
電車を乗り継ぎ、田園区間をバスに乗ってやって来ましたよっと! 入場門付近を伺う。 俺と同じ制服を着た若者達が集まっていた。 白い集団が、うじゃうじゃと居るのって、遠目で見ると異様だな。 入口前に居るの、俺らのクラスの担任だな。 近くに結城達がいる。 あれは、パスを取りに来た俺を、確実に捕まえる為に待ち構えてるな。 どうするかな。
ピロピロリン
[篠原瑠衣さんから入電です]
[入場門横のカフェに居る。 見つからないように入ってこい]
[了解]
カフェ? あの縦長の建物か。 何ヶ所か入口あるな、一番遠い所から入ろう。
「いっらっしゃいませ」
店員の元気な挨拶を聞き流し、友人を探す。 瑠衣は背が高いから、すぐに分かった。 加えてサラサラな黒髪に、涼し気な目元のイケメンなので目立つ。 俺とは正反対だな。 確か、弓道着姿にクールビューティのあだ名を授かってたな。
「おはよう、瑠衣」
「おはよう、優斗、あっちに副担居たから、パス貰ってこいよ」
ああ、そうか。 絶対に担任じゃないと駄目って、訳じゃないから副担でもいいのか。
「ちょっと行ってくるわ」
副担はっと……窓際に居るんじゃねぇよ! コーヒー飲んでるし、ささっと貰ってこよ。
「先生、1年B組、小鳥遊優斗 到着しました。 パス下さい」
「おお、小鳥遊 おはようさん、ちょっと待て。 今、タブレットを……」
ふ〜ん、これで担任と共有してるのか。
「これパスな、失くすなよ。 お前も大変だな」
「はい、ありがとうございます。 ほっといてください」
ギャハハと笑うを教師を無視して瑠衣の元に戻る。 瑠衣に手を挙げて合図を送る。
「最初何乗る? 一番人気のアトラクション混んでるだろうな」
「優斗」
俺を見て後方を顎で指す。 振り返るとそこには、花咲華がいた。 友達の鈴木と楽しそうに話してる。
「誘えば?」
誘いたいけど、誘えない。 俺は花咲に避けられてるからな。 理由は、俺のファンクラブの女子だ。 嫌がらせを受けるからと、鈴木と話してるのを聞いたことがある。 花咲華は同じクラスの女子だ。 小柄で童顔だけど、俺は少しプクッとしてる唇が、魅力的で可愛らしいと思っている。 ショートボブがとても似合っている。 そして、クラスの女子で唯一、あだ名で呼ばず
「小鳥遊くん」って呼んでくれる。
「鈴木、花咲、俺らと一緒にアトラクション回らないか?」
うわぁ! 瑠衣! いつの間にそっちに。 花咲が俺を見て困ったような顔をしている。 ズキンと胸の奥が痛い。 分かってたけど、結構ショックだな。
「私はいいよ。 華がいいならね」
これは、断られるな。 鈴木、何でそんなガン見してくるんだ。 目力が強い! 何が言いたい。
あ、俺が断ればいいのか。 花咲、嫌そうだしな。
「えと、無理には……」
えっ。 瑠衣と鈴木が残念な奴を見る目でみてる。 何でだ。花咲の気持ちを尊重した方が……。
「わ、私もいいよ」
花咲、笑顔が引き攣ってるけど、大丈夫か? 俺達を他所に瑠衣と鈴木は話を進めていく。
「今から、一番人気は無理だから、二番人気のアトラクションに行こう。 俺、鈴木と乗るから。お前ら二人で乗れよ」
俺の横で花咲が青ざめたのが分かった。 そんなに俺と乗るの嫌なのか。 拳を強く握りしめた。