十七
ぽよ~ん ぷみゅ ぽよ~ん ぷみゅ 恐らく、こんな擬音があってるだろうスライムの歩み。
カエルみたいだな。 フィンは怒るか? いや、反対にフィルたちは、喜んでカエルに変身しそうだ。
そうなったら、花咲はどんな反応をするだろう? ビビる? 変わってるところがあるから、案外平気かも。色々な、表情の花咲を想像してクスッと笑いが漏れる。
跳ねる時と、着地する時に腹に力を入れないと気持ち悪いけど、まぁ、慣れれば平気か。
鈴木の怪我の手当が終わって、今、俺たちはフィルたちが託された願いの為に、エルフのアンバーさんの家に向かっている。 瑠衣たちも付き合ってくれると言うので、お願いした。
俺の笑い声に花咲が、怪訝そうな顔を向けてくる。 花咲は俺の前に乗っている。 顔色も青くないし、強ばってないから、フィンに乗るのは慣れたんだろう。
瑠衣は隣で、一角獣に騎乗して並走している。 笑った俺を見て、からかい交じりに瑠衣が話しかけてきた。
「何だ優斗 思い出し笑いか? キモイな」
「うるさい。 それより、鈴木は本当に怪我をしてるのか? 何であんなに動けるんだ」
目の前では、槍を手に持ち、飛んでくる魔物相手に、空中戦を繰り広げている少女がいる。 そこには怪我をして、青い顔をしていた少女はもういない。
空中に足場を作り、回転して魔物の背後を取り、薙ぎ払う。 地面に着地して、槍を軸にして、空中を駆け上がるように飛び上がっていく。 数頭の魔物がこちらに飛ばされてきた。 虫除け(結界)スキルが発動してるので、魔物たちが結界に当たって消し飛んでいく。 軌道が外れた魔物を瑠衣が弓で仕留めていく。 飛んでいく魔法石を、フィルが器用に飲み込んでいく。 鈴木の奴、わざとこっちに飛ばしてるんじゃないだろうな。
「その結界いいな。 移動についてくるし、俺も入れてほしいな」
それは無理だ。 瑠衣は範囲外だし、この結界は、花咲次第で切れる可能性がある。 俺の顔色を見て、ニヤニヤしてる瑠衣がムカつく。 花咲はそんな俺たちを見て、苦笑いしてるし、溜め息がでる。 こんな感じで、俺たちは森の中を、無双して駆け抜けていった。
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