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異世界転移したら……。  作者: 伊織愁
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十四

俺たちはダンジョンを出て、森の中を走っていた。  足跡を踏んで跳躍し、距離を稼ぐ。

後ろの花咲はちゃんと着いて来てるか?

『斜め後方の位置、安全を確認、五百メートル後方に魔物の狼の群れ、追尾されてます』

花咲が、羽根の生えたでっかいスライムの上にしがみついて、着いてきてる映像が送られてきた。 跳ねながら進む為、花咲の顔は、青ざめて強ばっている。  可哀想だけど、頑張って貰うしかない。 戦闘するには、場所が悪い。 絶叫マシーンとか苦手だからなぁ。

でっかいスライムの正体は銀色の少女だ。 左頬には今までなかった、従魔の印が刻まれている。

「もうすぐ、開けた場所だよ。 そこまで頑張って!」

頭の上から声がする。 こちらも羽根が生えている。 大きさは俺の頭くらい、 これが本来の姿らしい。

桜が散ったような模様の、従魔の印が刻まれている。 こちらの正体は銀色の少年だ。

花咲の後方から狼の群れが、 木々の間を縫うように追いかけてくる。 足跡を踏んで跳躍する。

開けた場所迄すぐそこだ。


銀色の少年少女のお願いは──

「このブレスレットをダンジョンの近くに住むエルフのアンバーさんに届けるのを手伝って欲しいんだ」

「このブレスレットはアンバーさんの幼なじみの物なの。 彼女の最後のお願いを叶えてあげたいの」

「僕たちはテイムされないとダンジョンの外には出れない。 僕たちをテイムして欲しい」

「私は、鑑定が出来るし、結界も少しは出来る。 彼は魔力の制御補助、強化とか出来るし、あなた達にとってもお得だと思うの」

「エルフがいるの!! 私、会ってみたい!」

花咲……。会いたい理由は何となく分かる。 大体エルフって、美男美女の設定だもんな。 案の定、花咲は目をキラキラさせている。 何か、モヤモヤして来た。 周囲の気温が下がる。 ピキピキと音が鳴って、草木が凍り始める。 花咲と目が合った。

「ひっ」

俺、笑顔を浮かべてるはずだけど、何で青くなって、怯えてるんだ?

「ちょっと! 力、制御してよ!」

銀色の少女が何かわめていた。


跳躍して、開けた場所に出た。

「フィル! 魔力制御! 」

「はいよ」

狼の群れが追いついて来て俺たちを囲む。

『虫除け(結界)スキル発動、安全を確保しました』

流石にこんな数の魔物に囲まれたら、援護なんて無理だな。 狼の群れと向き合う。  一匹がデカイな。  背中に冷や汗が流れる。  一発目で半分以上は殺りたいな。

木刀を構える。 魔力を込めると埋め込まれている魔法石が光って花びらが散る。

炎のイメージを浮かべる。 手に炎に炙られた感覚がした後、木刀が炎を纏う。 もっと、魔力を上げる。  炎が一回りでかくなった。

「今のユウトだとこれ以上、魔力を上げるのは無理だよ」

「分かった」

深呼吸する。 狼たちも異変に気づいて向かってくる。 木刀を横に薙ぎ払う。 炎が半月状に飛んでいく。

数頭の狼が炎に切り裂かれ燃えていく。 くそ! 半分、行かなかったか。

木刀を構え直して、深呼吸をする。 どうするか考えろ。


──【篠原瑠衣 視点 数分前】

ダンジョンから出て川で魚を捕ってる所で魔物に襲われた。

「痛っ」

仁奈が怪我を負った。 太ももをザックリ切ってしまった。 応急処置したけど、どっかで治療してもらわないと。

「大丈夫か、すぐに治療出来る所まで運ぶから」

辛いのか頷くだけだった。 地響きと獣の大群の足音が聞こえた。 今、襲われたらやばい! 草むらに隠れて伺う。

 狼の群れの先に凄いスピードで走っていく人影が見えた。  小さい人影に焦点を合わせて視る。

あれは、優斗! 少し後ろの羽根生えてるでっかいスライムに乗ってるのは花咲か。 追われてるのか。 でも、仁奈は動けないし。 優斗達もほっとけない。

「瑠衣、雷神が教えてくれた。 華たち見つけんたんでしょ。 それに魔物の大群に追われてるんてしょ。 助けに行くよ!」

空から雷神の鳴き声が聞こえた。 雷神は鷹の魔物で仁奈がテイムした従魔だ。 怪我してるくせに、言い出したら聞かないからな。

「分かった。 風神! さっきの狼の群れを追うぞ!」

「分かった」

一角獣が猛スピードで優斗たちの元へと走り出した。

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