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味の素でドーピングした話

 ザーマス師匠亡き後、一党は涙を拭いて状況を整理しようと試みる。

「片目のサダームはスラム街にある遺跡を探っている。その目的はまだよくわからないが」

「遺跡からどこかへ向けて穴を掘り進めてたみたいだな」

「岩盤に阻まれて失敗してたけどね」

「じゃあ、スラム街にある他の遺跡を探してみればよくね? なんかわかるっしょ」

「でも、遺跡の場所とかどうやって調べる? そんなの知ってそうな奴をどうやって探す?」

 誰一人、ザーマスを気にしちゃいねえ。

 一党はまだ片目のサダームが探していない遺跡を先に調査できないものかと思案していた。

 片目のサダームが何を狙っているのか知りたい。そして、それを先に手に入れれば自分達が優位に立てるだろうと期待しての行動だ。

「……そういえば、遺跡には竜の立像があったよな」

「ああ、スラムの連中が削って薬にしてるってあれか」

「じゃあ、薬売り達ならどこに竜の立像があるか知ってんじゃね? 竜の立像がある場所、すなわち遺跡だろ?」

「なるほど。どうしたの? 今日は冴えてるね?」

「出かける前に味の素舐めてきたからね」

 イモコはドーピングしてきたことを明らかにした。

 ともかく、一党はスラム街で薬を売っている人物を探すこととした。

「なあ、そこのおっさん。ここら辺で薬売りっていない?」

「薬? 薬売りのばーさんのことか?」

 いるらしい。

「よし、もう行っていいぞ! それとも一緒に来るか?」

「なんで!?」

 おっさんに絡むウルヴェント。

「で、そのばーさんってどこ?」

「もう少ししたら街角に立って薬を売り始めるんじゃない?」

「じゃあ呼んできて」

 おっさんに絡むウルヴェント。

 と、スラムのおっさんの言う通り、老婆が1人、街角に立って薬を売り始めた。一党は早速老婆に話を聞きに行く。

「なあ婆さん。こういう化け物の像が立っている場所って知らないか?」

「ほう。またかい」

「また?」

「前にも柄の悪い連中が同じことを聞きに来たもんさね」

 老婆は肩を竦めた様子。その柄の悪い連中とはゴリアテ一家のことではないか。やはり遺跡の場所を探しているに違いない。

「なあ、婆さん。教えてくれよ。タダとは言わないから……って、スラムの婆さんに幾らくらい払えばいいのか、相場がわからん」

 イモコ、よくわからないので5gp渡すことにする。

「スラムの一般人に金貨5枚も!?」

「逆に危なくねーか?」

 婆さん、金貨5枚を渡された瞬間、カッと目を見開き、

「足りんわぁー! ババアと思ってばかにすんなぁー!」

 と、ワンコが叫んだ。ワンコの言葉は別に婆さんの心の声を代弁したわけではなかったようで、

「……では、耳を貸しなされ」

 婆さんはイモコに耳打ちしようとしてくる。どれどれ? とイモコが耳を傾けると、

「プッ」

 吹き矢。イモコは死んだ。

「油断できねえな、この街」

 死んでなかった。本当は、

「もう5GPちょうだい?」

 本当じゃなかった。

「……昔の浴場を探しなされ」

 老婆はそう囁くのだった。聞けば、竜の像のある場所は古代の水場の跡なのだという。その昔、水が湧きでていたであろう場所には竜の像が置かれていたらしい。

「今では何の価値もない浴場跡の遺跡があるんじゃよ。そこに行かれると良かろう。前に聞いてきた連中は金をケチったんでウソを教えてやったわい」

 ということは一党はゴリアテ一家よりも先にその遺跡を調べることができるということだ。これはありがたい、ということで一党は大いに気を良くする。老婆に対して、

「よし、婆さん! 困ったことがあったらオレ達を呼びな! きっと助けてやるよ!」

 そう請け合うのだった。

「ほう、そうかね。で、あんたらの名前は?」

「いえ、名乗るほどの者では……」

 連絡の取りようがない。助ける気ゼロであった。

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