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さらばザーマス

 一党はスラム街へ向かうこととした。片目のサダームがスラム街で何をやっていたのか、探る心づもりである。

 スラム街は昼間から寝転がったり煙をふかしている連中が淀んだ目をしている場所だ。辛気臭い。だから早速ワンコが、

「クッセーなここ!」

 と大声で叫んでみた。

「陽気に行こうよ! 早くキメちゃえよ!」

 なんだか全然話が進まないのだった。どうしてこうなるのか。

「やっぱりザーマスがいないと進まないね。ナビ頼む」

 結局、NPCに何でもやらせる仕事術。

 ザーマス師匠はナビゲーションシステムを起動するのだった。

「スラム街には旧市街の遺跡があちこちにあってな。その遺跡というのは古い石造りの建物なんじゃが、ゴリアテ一家が放棄した地域には必ずその遺跡があるそうだ」

「まあ、その遺跡に何かあるんだろうな」

 と一党は遺跡を探す。すぐにドーム状の崩れかかった建物を発見した。これが遺跡であろう。だが、中から人の気配がするではないか。先客がいる?

 ところで、ワンコはそれを全然知覚できないのだった。手にした携帯端末に無念さをにじませながら、

「さっきから1と3しか出ない……」

「課金してないんじゃないの?」

 毎月5000円以上払わないと2Dで5以上出ないアプリ。モバイル社会の恐ろしさを実感しつつ、一党は遺跡の中に入り込むこととした。

 遺跡の内部には竜をかたどった立像(本当は竜なんて存在をキャラクターは知らないのでただの化け物としか思えないのだが)があった。そして、モヒカンの人影が4体。トゥースカッターのエルフ達であろう。トゥースカッターはゴリアテ一家とガチ抗争を繰り広げている連中でもある。早速ウルヴェントが彼等を味方にすべく、交渉を持ちかけた。

「ゴリアテを一緒にやっちまおうぜ!」

「いいから金置いてけ!」

「わかったよ! じゃあ死ねよ!」

 戦闘。ゼロか全てかの交渉術。

 雑魚はすぐに倒せたのだが、リーダー格は瞬殺というわけにはいかず、手間取る。と、そのエルフ、笛を手にしてそれを高らかに鳴らすではないか。警笛である。仲間を呼ぼうという試みだ。だが、それを見てワンコは不敵に笑う。

「かかったな。その笛には毒が塗ってある」

 エルフは死んだ。

 というわけにもいかないので生け捕りにしました。エルフ達の仲間がやってくるまでにこの遺跡に何かあるのか調べなければならない。

 パッと見、怪しいのは竜の像か。あちこち削られている。ザーマスによれば、スラムの連中はこの像の力にあやかって、削った粉を薬として煎じて飲むのだそうだ。とはいえ、削られている以外、特におかしな点はなさそうだ。

 一党は捕えたモヒカンエルフを尋問することにした。

「お前らトゥースカッターは何人いるんだ?」

 モヒカンエルフは言葉が聞こえているのかいないのか、訳のわからない唸り声を上げるばかり。業を煮やしたイモコが、

「そんな耳ならいらぬなあ!」

 と耳をつまんで刃物を突き付けてみたけど色よい返事は得られない。ウルヴェントはこのエルフを対ゴリアテ一家用に使いたいようだ。仲間になれという。それに対してワンコ、

「オレ達の仲間になるとか無理だよ。下僕とか手下ならともかく」

 と、的確な判断を下した。

 何てやってるうちに囲まれました。遺跡の周囲にモヒカンエルフ達の気配が多数。やばいなー、と思っていると遺跡の奥に井戸があるのを見つける。ここから地下へ行けるようだ。だが、すぐに外のモヒカンエルフ達も突入してくるであろう。時間を稼ぎたいところ。

「じゃあ、この捕まえたエルフに油ぶっかけて火をつけて遺跡の入り口に放置。炎の壁になってもらってる間に地下へ行こう」

 イモコがその作戦を実行。

「いやー、スラムって怖いなー。こんな簡単に火だるまになっちゃうとか、スラム怖ーい」

 スラムのせいにするイモコ。

「心のスラムが怖いよ」

 ワンコが社会心理学者みたいなことを言った。

 でも、エルフの火だるまだけでは防げないっぽいので、やっぱり戦闘準備。主にザーマスが先頭に立ちます。

「なんでいつもわしが前なんだよ」

「うるさい、きりきり歩け! 鎧着させてもらってるだけ有り難いと思え!」

 ウルヴェントが優しく声をかける。ザーマス師匠がエルフ達を防いでいる間に、一党は遺跡内の井戸を調べた。ワンコが知覚で、

「30センチの古井戸だ。底が見えないほど浅い」

 いつも通りだったので、他の皆で知覚する。と、井戸の奥深くから横へ坑道が続いているのが判明した。一党は中に潜り込み、先へ進む。ここから外へ脱出できるかも、という期待を胸に進んだ。が、坑道は途中で岩盤にぶつかり途切れているのだった。どうも、この坑道を掘っていた連中もこの岩盤にぶつかり掘り進めるのを諦めたようだ。この岩盤がなければ、どこへ辿りついていたのだろうか? なんて思ってる場合ではなくて、いよいよトゥースカッター達が雪崩れ込んできそうな気配。

「よし、ここはわしに任せろ」

 ザーマス師匠、決然と言い放つとパッと姿を消してしまった。瞬間移動である。やべえ、1人だけ逃げやがった! とか思っていると地表で騒ぎが。どうやら、ザーマス師匠が囮となってエルフ達を引きつけているようだ。その隙に一党は遺跡から辛くも脱出するのだった。

 その後、ザーマス師匠の行方は知れないという。

「いや、ザーマスはパーティから離脱できない。逃がさないよ!」

 ウルヴェントはザーマス師匠のことを本当に心の底から心配してそう呟いた。

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