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101歳のおじいちゃんが異世界転生する話  作者: 唯一
第1章 ウェルス村・復興編
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2. 第1話 2部目 "富"と言いつつ寂れてます

テオ・ミラー。

それが、今の僕の名前らしい。

再び生を受け、6年が経過したが未だに慣れない。

何しろ、前田清という名前とは100年余りの付き合いがあったものだから…。

…そう、僕は死んだ筈だった。

しかし、暗闇の中で聞こえた女性の声に応えた直後、僕は赤ん坊になっていた。

どうやら僕は、それまで慣れ親しんでいた日本とは全く別の世界に、転生をしたらしい。

各地を転々としていた今の僕の両親は、母が産気づいたことをキッカケに、とある村に辿り着いた。

その村の名前は、ウェルス。

僕の記憶違いでなければ、英語で”富”を意味したと思う。

しかし、”ウェルス”とは名ばかりの寂れた村だった。

いや、両親が訪れた際のウェルスは、村と言う体すら失い集落と化していた。

人口10人余り。村人たちの平均年齢40歳。

数十年前、森の恵みを求めて新たな村を作ろうと、近隣の町から50名ほどの人間が、現在のウェルス辺りに居住を構えた。

しかし、村の経営は上手く行かず、まず若い人間からウェルスを離れて行った。

次に、残された年寄りたちが次々と流行病で息絶えていった。

町へ戻ろうにも、町で暮らすだけの蓄えは無く、また働くことも叶わない。

時折、町から若い人間が村へやってきて居着くものの、やはり村としての機能は殆ど果たせず、遂には集落と化し、その集落すらも無くなる寸前だった。

そこで、僕の両親が現れ、更には僕と言う転生者が生まれた。

目的地もなく転々としていた僕の両親は、僕が生まれた事もあって

ウェルスに根を下ろすことに決めたそうだ。

その判断はウェルスにとっても良い事だったのだろう。

僕たち家族がウェルスに住むようになってから、不思議なことに活気付いて行ったのだ。

まぁ、いつの時代も子供の存在と言うものは、良くも悪くも周りを活気付かせるものだ。

しかし、ウェルスの人たちは口々に、「それもこれも転生者である僕が居るおかげだ」と言う。

そんな大袈裟な…と思うものの、これには理由がある。

転生者、または神子と呼ばれる存在は、この世界において特別だそうだ。

この世界の唯一神である女神に選ばれた存在で有り、

その証…女神の紋様を体のいずこかに持ち、扱える魔法と能力は

この世界の人間を遥かに凌ぐ力だとか…。

女神の加護を受けているから、本人や周辺も加護の恩恵を受けられるとか…。

また、それらの力を使い世界を救う存在にもなれるとか…。

魔法…前世では御伽話にしか無かったものだ。

何だか話が大き過ぎて、前世で平凡な人生を歩んでいた僕からすると、

別人の話を聞かされている気がしてならない。

しかし、これは紛れもなく今の僕自身のことを指す。

心臓の位置に女神の紋様と呼ばれる痣があるのは確かだし、

妙な能力を持っている事も間違いない。

その能力とは…あらゆる物の名前や簡易説明が視覚的に分かる能力。

お袋さんが言うには、鑑定眼と言う能力らしい。

大きな町の商人が持つ能力としては必須だとか。

つまり、能力としては何ら珍しくもないのだ。

前世の記憶を持ちながら生まれた神子と言う存在としては、何とも平凡な能力だ。

僕としては却ってホッとしたが、世界を救う存在とは掛け離れているのではないだろうか?

それに、今の僕には世界よりも何よりも、この村ウェルスの現状をどうにかしたいと思う方が先である。

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