出会い
すごく懐かしい夢をみたような気がする…
公園の草原で待ち合わせをしていたのに知らないうちに寝落ちしていたようだ。木漏れ日がちらちらとしてとても心地よい。
「目が覚めましたか?」
「うわあっ!」
急に知らない女の子に顔を覗き込まれて変な声が出てしまった。
それにしてもすごく整った顔の女の子だな…肌が白く茶髪のボブカット、少したれていてクリっとした目…少し幼い印象もあるが男子十人いれば十人が可愛いと言うだろう。
「貴方は…?」
「いきまりすみません…人が倒れているのかと思って近づいたら、気持ちよさそうに眠っていらしたのでお隣を貸していただいてました」
少し照れたような顔をして続けた。
「それにしてもここは気持ちよい場所ですね!いつもここでお昼寝しているんですか?」
「いえ、今日は部活で写真を撮りに来たんです。集合時間より早めに来て散策していたら気持ち良い場所を見つけて眠ってしまったみたいで…
まあ、まだあと20分くらいあるみたいなので時間は余裕ですね。あなたはどうしてここに?」
「最近この辺りに引っ越してきたんです。梅雨なのに運よく晴れていたのでお散歩でも、と思いまして…このようなよい場所を見つけられてラッキーでした!」
嬉しそうに笑いながら細い腕をぐっと伸ばして草原に転がっていた。それにしても6月なのに引っ越しか。いろいろあるのだろうが一般的に考えれば珍しいように思う。
「こんな時期に引っ越しなんて大変ですね…学校も生活も…」
「いえ、そんなことないですよ!これから出会う新しい友達も、このあたりのお店やこういった素敵な場所も、ここに引っ越さなかったら出会えないものばかりです。きっともっと楽しくなる!って期待に胸が躍ります!」
そんなに目をキラキラさせながら語る姿に見とれてしまっていた。こんな風に考えられるのはすごいなあ…
6月にしては心地よい風を感じながら近くのおすすめのお店を紹介したり、景色が良い場所を紹介したりしながら草原に寝転がっていた。
「雨が降っていないおかげで草原でごろごろしても洋服があまり汚れないのがいいですね!ここで眠くなってしまうのもわかります…」
大きなあくびをして彼女は落ちそうな瞼をこすっていた。梅雨にしてはからっとした風が余計に眠気を誘っている。
眠そうに転がっていた彼女が腕時計を見て、あっと声をあげて飛び上がった。
「すみません!そろそろ私、ママとの待ち合わせあるので失礼しないと…!また機会がありましたらお逢いしましょう!」
大きく手を振りながら彼女は小走りで駆けて行った。僕も手を振って見送った。
彼女は高校生だろうか。ここら辺に住んでいるとなると同じ高校の可能性もあるのか…
「そういえばあの子には視えなかったな…」
「赤い糸が?」
急に現れた声に今回は驚かず、小さなため息をついていた。
「あ、その様子だとバレてたか?」
ハハッと笑いながらそんなことを言うよく見知った顔が現れた。