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拝啓 ━復活を求めて俺たちは戦う━  作者: 眼鏡界の足軽
第一章「この世界で生きるために…」
4/8

価値観の違い

ナイフとともに腹が減ってきた俺はおにぎりを2個買った。おにぎりの値段は130g。まぁ、大体現実世界と同じお金の価値と見て良いだろう。



コンビニの駐車場でおにぎりを貪っていると、一台の大型車(現実世界だとアルファード的な)が入って来た。この世界では車まで買えるのか…本当に現実世界と瓜二つなんだな。下らない感心をしていると車から黒スーツの男が4名。助手席からはジャージ姿の男が一名降りてきた。黒スーツの人たちは20代~30代前半に見受けられる。それを引き連れるボス感溢れるジャージ姿の男は40歳は越えているといった所だ。




俺に気付いたジャージ姿の男はこっちに話しかけてくる。




「おい、小僧。ここはちょっと今から危ねーぜ。悪いことは言わねー。さっさと、ここから消えな」




映画で何度も聞いたことのある台詞なのに実際聞くと迫力が10倍はあり、思わずちびってしまいそうになった。




「す、すいません。すぐどきます」




「素直な子は嫌いじゃねえ。但し、この世界じゃ仲間なしに生き抜くのは不可能だ。もし仲間を探すなら都市に出れば良いだろう。ここから一番近いのは南都アルンドルンだ。ほらっ、さっさと行け。魔法レベル0のお前じゃここは危なすぎる」




「し、親切にありがとうございますです!」




「小僧、日本語がおかしいぜ」



そんな会話をして俺はその場をあとにした。言われた通り南都アルンドルンに行こうとも考えたが、よく考えるとどこにあるのかも、どうやって行くかも分からないのでもう少しこの閑静な住宅街にいることにした。




結局歩いているうちにコンビニの近くに戻ってきてしまった。もう一度あの人たちに見つかると危険なので家の影から見ることにした。



コンビニには先ほどの5人に加え、白色のスーツに身をまとった5人組がいた。双方は、時計が9時になるのを合図にいっせいに走り出す。向かう先は相手方のチームだ。10メートル離れた二組はちょうど真ん中でぶつかるという手前で炎やら竜巻やら輝かしい光に包まれ様子が伺えなくなった。




おそらく現実世界で言うところの縄張り争いと言った所だろう。あの恐ろしいオーラはヤクザの類いのものだったのだ。戦いの中心に吹き上がっていた様々な物質はいつの間にか消え、今では炎だけが立ち上るようになっていた。炎の中から激しい打撃音が聞こえる。数分たち炎が消えたときには黒スーツの男1人とボス風のジャージ姿の男を残して誰もいなかった。ボスがこちらに気付く。




「ああん。小僧、まだいたのか…よほど死にたがりならしいな」



「い、いや、そ、そんなつもりじゃなくて」



「ったく。お前も察してると思うが俺はこの世界のヤクザだ。青木組というギルド名で活動している。どうだ?小僧、今夜寝るとこないんだろ。世話してやろうか?」



ありがたい話だ。しかし俺は一つひっかっかる事があるから思いきって聞いてみた。



「炎の中にいた8人はどこに行ったんですか?」




「あぁ?なんだクソガキ。そんなこと気にしなくていいんだよ」



「答えてください!」



「ちっ、殺したんだよ!これでいいか?」




「なんでですか?なんでなんですか?ここでのpkは殺人なんですよ」



気付けば俺は泣いていた。亮のpkがあったからだろうか。とにかく当たり前のようにpkする彼らは俺には信じがたいものだった。



「ガキ、お前あんまり綺麗事言ってんじゃねーぞ!」



ボスは俺にどなり散らした



「あのな、ここは生死の境目なんかじゃねえ。死後と思え!どうせ皆仲良しこよしでやっても皆蘇れるわけじゃない!蘇りたけばライバルを殺せ、そして自分が一番強いと証明してみせろ!」



「それでもおかしい!絶対!ダンジョンに行っていればいつかは一位になれる!そうじゃないんですか?」



「ダンジョンは効率が悪すぎる。本気で蘇る事を考えるんならpkは当たり前と考えた方がいい。お前にはヤクザは似合わねえ。さっさと去れ!」




「分かりました。僕はpkをしないで最強になります。さようなら…」



「あぁ、とっとと消えろ!次俺たちの縄張りに入ったらお前を殺してやる」



俺は泣きながらその場を後にした。右手を広げメニューウィンドーを出した俺はマップを確認する。この道を真っ直ぐいって、銭湯を右に曲がれば駅に着く。推測ではあるがきっと駅からどこかの町に行けるだろう。あのおっさんが言ってた南都アルンドルンにだって行けるだろう。




残り残金9万9460円。これ南都まで行けるかは分からないけど駄目だったら、とりあえず出来るだけ大きな町までいって働こう。お金の制度があるんだからきっと金稼ぎする。方法もあるはずだ。そう考えていた俺が、銭湯を右に曲がるとそこには長身の黒いコートとフードに覆われた男がたっていた。

作中でpkという言葉が出てきましたがあなたはどう思いますか?ゲームでpkしたことやされたこと。オンラインゲームをしたことがある人なら一度はあるでしょう。もちろんpkは立派なゲームの要素ですし、それに文句を言うつもりは一切ありません。



ただそれが作中のような空間ならどうでしょう?やったら駄目だと認識する人がほとんどでしょうが本当に一度もやらずにいることができるでしょうか?



人間の精神は閉鎖空間に1週間いると崩壊すると言われています。ましてや脱出不可能のこの現実から封鎖された空間で正気でいられるでしょうか?



それでもあなたはpkなんて絶対にしないと誓うことができますか?

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