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箱庭ぱらだいす! Hakoniwa Paradise -“Arcadia” of graffiti-  作者: Saku†Project -ParadoX-
箱庭の迷い人編
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箱庭の迷い人編ー8.スケッチバトル

手を広げて見てみると、レイナと形や色こそは違うが、同じようなステッキがあった。

「これがステキナペンか」

「そう。ペンを使うように空中に絵を描いて使う。大体でいい。試しに何か描いてみて」

レイナは、二人にそう言った。

その隣でユウリは、小声で呟く。

「まぁ、最初は難しいと思うけどね……。」

りんたは、空中に線を引くようにステキナペンを横に動かした。しかし、何も出てくる気配はない。

「んー……難しいな」

一方、やみは。

「にぃーぱっ。にぱにぱー。にぱぁーっ!」

次々にロリポップの絵を描いては、その絵の中からロリポップが浮かび上がっていた。地面には、色も形も様々な、たくさんのロリポップが散乱している。

「最初であんなに使えるって凄いな……」

「しかし全部ペロペロキャンディ……」

レイナとユウリは、やみのステキナペン使いを見て感心していた。

「にぱにぱー!でーきた!」

やみが嬉しそうにしている。

「お?なんだ?」

りんたはそちらを向く。

やみの背後で構えていたのは、人の背丈の数倍は軽くある戦闘ロボットだった。ペールオレンジの機体の側面と上部には、平たい形をした誘導弾道ミサイルが複数ついた武器が合計四つついている。

「にぱぁーっ!これでころす!」

「おっ!やみたんすげぇ……」

りんたは目を輝かせながら、ロボットに手を触れた。金属のひんやりとした感覚が、彼の肌に染み渡る。

「これがリモコン!」

やみは、りんたにコントローラーを手渡す。それも小さい中にいくつものスティックとボタンを搭載した本格仕様のコントローラーだ。

それを見たレイナとユウリは、半分は感心、もう半分は心の内で怖気付いていた。

「どうしたお前ら?怖気付いているのがバレバレだぞ」

りんたは、にやにやと笑みを浮かべる。

「……中々やるな」

レイナは、ペンを空中に放り投げる。くるっと回って手元に戻ると、それは紅のレーザーソードに変化した。

「その戦闘兵器を粉々に切り裂いてやろう」

レイナは、戦闘ロボットに向かってレーザーソードを振り上げた。

同時にりんたは、武器発射ボタンを押す。

ミサイルは、一気に発射されるとレイナの方へと円状の渦を巻きながら飛んでいき、音を立てて彼女の元へ降りかかった。

「簡単には壊させないさ」

「それはどうかな」

りんたが油断している隙に、ユウリが背後から青く光るレーザーで戦闘ロボットをぶった切る。

戦闘ロボットは、ぷしゅー……と音を立ててあっけなく真っ二つにされてしまった。

「ファック……油断してた」

りんたは頭を抱える。

「もしかしたらこーいうのがいいのかもー」

やみがそう言って次に描き出したのは、さっきよりも機体も大きく、武器も大掛かりなものがついたロボットだ。

「おぉーっ」

りんたは先ほどのように、戦場にたたずむロボットを見る。

「ジャンプコマンドで逃げることもできるの。発動はサイドのボタンなの」

「やみたんありがと。さて、射殺ターイム」

りんたは、再び操縦桿を握った。

「また斬られたいのかなー?」

ユウリが、ロボットのすぐ近くでレーザーソードを振り上げていた。

「そうはいかないぜ」

ロボットはジャンプコマンドを発動し、ユウリの攻撃をかわした。

「今度はこっちの反撃だな」

スキを与える間もなく、ロボットはプラズマ弾をユウリへぶっ放す。

「簡単には攻撃させないよ」

ユウリはガードを展開し、攻撃をかわしていた。

「ふっ……」

そこへレイナが背後から、レーザーソードを振り上げる。

「危ないのっ!ロリポップくらえ!」

やみがそう叫ぶと、レイナの頭上に大きなロリポップが出現する。

「あ」

っという間にレイナはロリポップに押しつぶされてしまった。

「やみたんナイス。残りはこいつを始末だな。」

りんたとやみの視線の先には、一人たたずむユウリがいた。

「お前らなかなかやるな……では、これはどうかな?」

ユウリは、どこからかいくつもの箱を出してきた。

りんたとやみは、その箱に視線がいった。


『幻影のスクエアショーケース』


すると、目の前には何かがぐるぐると回ってめまいが引き起こされる。次に気がつけば、今まで見たことがない風景が……。それは、自分たちがまるで虫かごに捕獲され、それごと巨人に持ち上げられているようだった。

「あれ?あいつらは?」

りんたは、あの二人がいないと辺りを見渡す。

「にぱぁーっ」

やみは、前を指差した。

箱の外に映っていたのは、見覚えのある少年の顔。

りんたも前を見た瞬間、状況を理解するのであった。

箱の外では、レイナとユウリがその箱の中を見つめていた。

レイナの手には、やみが保有していたはずの例のキノコがある。

「久しぶりに見たけど、本当に小さくなっちゃってるね。で、これはどうするの?」

「箱庭の外にでも捨てておこうかな」

ユウリは、敵を閉じ込めている箱を手の上に浮かべていた。

「そこはお任せするよ」

レイナはそう言うと、武器をしまう。ユウリもまた、同じように武器をしまうのであった。

そして、二人はその場から消える。同時に、フィールドは閉じ、そこは跡形もなく元の花畑へと姿を戻すのであった。


《例のキノコを手に入れたレイナとユウリ。一方、やみとりんたの運命やいかに……?》

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