#003「命を拾われて」
――いち早く目的地に辿り着くように無駄を削ぎ落とすと、旅は無味乾燥としたものになる。
*
「一人と一羽で旅をしてるとはねぇ」
「乗せていただき、ありがとうございます」
「恩に着るぜ」
「礼には及ばないわ。こっちも商いだから、対価を受け取った分、相応のサービスをしてるだけよ」
「古びたブローチ一つでは、不相応だと思うのですが」
「このネエチャンが良いって言ってるんだから、いいじゃないか。あの森の中で野宿するのは、ユウだって御免だろう?」
「その白い小鳥の言うとおりよ。あの森は、よく野犬が出る場所なの。隙を見せたら、すぐに食べられてしまうんだから」
「危うく、犬死にするところだったんですね」
「ユウの美学に反する最期だな」
「美学ねぇ。粗野なあたしには、縁遠いものだわ。オッと」
「揺れるようになってきましたね」
「泥道が、砂利道になったんだろうな」
「そんなところね。でも、あと少しで街に着くはずだから、もうちょっと辛抱してちょうだい」
「お気遣い、ありがとうございます」
「旅に我慢は付き物だ。それに、思うに任せないところが旅の醍醐味でもある」
「フフッ。そうね。でも、まさか小鳥に言われる日が来るとは思わなかったわ」
「すみません。生意気な相棒で」
「ほら。ユウは、すぐ謝る。俺は何も悪いことをしてないぜ?」
「足して二で割りたいところね。他人の非を被るのも、自分の非を認めないのも良くないわ」
「それなら、ピアが謝るべきですね」
「クチガスギマシタ。モウシワケアリマセン」
*
「それじゃあ、元気でな」
「ありがとうございました」
「助かったぜ。荷台のネエチャンにも、よろしく言ってくれよな」
「あぁ、言っておく。いつか、また、どこかで会うかもしてないが、そのときは、また、よろしくな」
「こちらこそ、ご親切に感謝します」
「二人とも、良い死にかたをするぜ」
「ハッハッハ」
「ピア。そんな縁起でもないことを、軽々しく言うものではありません」
「他人のことを言えるのかよ、ユウ」
「その調子で、仲良くやれよ。さよなら」
「さようなら」
「バイバーイ」




