表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

#002「落雷」

――昼に誰かと笑っていた人が、夜に独りで泣いていたとしたら、その人の笑顔はカリソメに過ぎない。

  *

「よく晴れてるな」

「雲ひとつない快晴ですね」

「エプロン姿のユウも、なかなか乙なもんだな」

「夜中に起こした挙句、朝食まで頂いたんですからね。少しは働いて返さないと」

「玄関で騒いだのは俺だけどな」

「それなら、その白い羽根で布でも織ってくださいよ」

「俺の羽根だけじゃ、コースターも出来ないって。ユウこそ、その黒髪を切ったら良いじゃないか」

「こんなパサパサの髪では、何の役にも立ちませんよ」

「そうか? ひょっとしたら、時計の鎖と交換できるかもしれないぜ?」

「万に一つも、その可能性はありません」

「全否定するなよ。俺は別に、恩を借りたままでも良いと思うけどなぁ」

「借りたままにしておくと、心の中で引っ掛かってモヤモヤしますから」

「心残りがあると、落ち着いていられないんだな?」

「そういうことです。――キレイに洗えました」

「底が焦げたシチュー鍋が、新品同然にピカピカになったな」

「でも、川の水が汚れてしまいました」

「なぁに、海に辿り着くまでにキレイになるさ。今度は何をするんだ?」

「そうですねぇ。お部屋の掃除は終わりましたし、お洗濯物も、まだ乾いていないでしょうし」

「そのまま、ここでハウス・キーパーになりそうな勢いだな」

「一日二日なら良いですけど、毎日のことになると、とても続きませんよ」

「そうか? しばらく一つ所に留まるのも、そうそう悪いものでもないかもしれないぜ?」

「駄目です。長居するとシガラミが増えて、簡単には旅立てなくなってしまいますから」

「身軽にしておきたいんだな。恰幅が良くならないのも道理だ」

「肥満には縁遠い生活ですね」

  *

「日中は、お留守番と家事をありがとうね」

「雨がやむまで、寛いでいくと良い」

「ありがとうございます」

「お言葉に甘えさせてもらうぜ」

「足りなかったら、おかわりしても良いからね。それじゃあ、また明日」

「年寄りは、もう寝るよ。おやすみ」

「おやすみなさい」

「おやすみ。……すっかり気に入られてしまったな」

「思わぬ足止めですね」

「太り過ぎで動けなくなる前に、ここを離れないとな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ