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#001「生まれながら」

――誰かを仲間外れにする人間は、必ず誰かから仲間外れにされる。

  *

「嬉しそうだな」

「良い知らせを聞いたものだと思いましてね」

「それにしても、ユウにボランティア精神があったとはなぁ」

「そういう、ご立派なものではありませんよ」

「違うのか? てっきり、人助けに目覚めたものだとばかり」

「持って生まれた性格は、一朝一夕に変わるものではありません」

「そうか? 何かの拍子にコロッと人が変わることは、よくあることだと思うけどなぁ」

「表面では変わったように見えても、根深いところでは元のままですよ。偽りの仮面は、長持ちするものではありません」

「いずれ、化けの皮が剥げるって言うのか?」

「私も含めて、人間は誰しも、愚かで、醜い、エゴの塊です」

「仮に本性がユウの言う通りだとしてもさ。それを隠す演技を否定する根拠には、ならないんじゃないか?」

「そうでしょうか? 騙される続けるより、ずっと賢明だと思いますよ」

「嘘にすぎないとしても、誤魔化されているほうが幸せだと思うけどねぇ。――話を戻すけどさ」

「何ですか、ピア」

「それじゃあ、何だって義勇兵に志願するんだ?」

「命を捧げる対象として、合理的ですから」

「生還する気はゼロなんだな」

「私にとっては、終焉の地を探す旅ですから」

「有終の美を求めてるのは結構だけどさ、俺を巻き込まないでくれよ?」

「抜かりありませんよ。私は私。ピアはピアですから」

「まっ。これ以上ない素晴らしい楽園を探してるって点では一致してるからな。――あの建物が、受付らしいな」

「どうやら、そうらしいですね」

  *

「おかえり。早かったな」

「ピア。やはり世の中は、不条理に満ちてますね」

「駄目だったんだな。何が、いけなかったんだ?」

「体重が軽すぎるそうです」

「ハハハ。それで、どうするんだ、ユウ。蚕食鯨呑するか?」

「鯨飲馬食と言いたいのですか? 大酒を呑み、大食いをするという意味ですが」

「そう、それ。俺としては、口いっぱいに肉を頬張るユウが見てみたい」

「そんな、誰かさんみたいな品の無い真似はしませんよ」

「何だって?」

「さて。旅の支度をしなければ」

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