#013「教と育」
――教は、学び舎の中で年長者が子供に鞭を揮う様を現し、育は、母胎から赤子が頭から無事に生まれる様を現す。
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「そのコンビなら、俺とロエも会ったことがあるぜ。高く売れそうなブローチを持ってたから、そいつと引き換えに街まで送ってやったことがある」
「そうでしたか。あのコンビとの出会いが、俺に妻と息子が、スイに母と弟が出来る契機でしてね」
「俺はオッサンのことを父親、スイのことを姉貴だとは認めてないからな」
「子育てには、なかなか難航してるようだな」
「手を焼くといおうか、手に余るといおうか」
「ヘンッ。自分勝手なのは、どっちだい」
「これから教えなきゃならないことが多そうだな、ワイくん」
「体力勝負になりそうです」
「負けないからな」
「ハッハッハ。どんどん面白くなりそうだな」
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「そのペアなら、あたしとテオも会ったことがあるわ。年代物のブローチを持っていたから、それと交換で街まで送ってあげたことがあるの」
「そうなの。あのペアとの出会いが、わたしに旦那と娘が、ケンに父と姉が出来るキッカケだったのよ」
「わたしはオバサマのことを母と、ケンのことを弟だと思ってるんですけど」
「弟くんは、そう思ってなさそうだったけどねぇ」
「本当に、仕様の無い息子で」
「オバサマは悪くないわ。ケンが我が儘なだけよ」
「そうよ。これから育てていけば良いのよ、モアさん」
「健康も取り戻したことだし、躾け直さないといけないわね」
「わたしも、お手伝いしますから」
「フフフ。いまから成長が楽しみね」
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「ヘグショイッ。ウゥ。誰か、俺たちの噂話をしてるようだな」
「ただの風邪ではないのですか、ピア?」
「何とかは風邪引かないって言うだろう、ユウ」
「俗信なら、一回のクシャミは謗りだと言われてますよね」
「それなら、あと二回だな。ヘッグシュン。ンアァ。あれ?」
「二回なら、憎まれ口か物笑いの種ですね。三回なら誰かに惚れられていると言われてますけど」
「悔しいけど、無理だな。出そうと思って出るものじゃない。デキシッ、ブシッ」
「おやおや。完全に風邪ですね。早めに宿に入りましょう」




