08 手早い決着
少し重い扉を開くと、教会の中はゲームなどでよく見るように椅子が並んでいて、奥には朽ちて傾いている十字架があった。
そしてその十字架や神父が聖典(?)を読む台に、昨日見たあの男が座っていた。
「ふん、約束通りきた……ってうおっ!? 貴様何者だ! というより、なんだその姿は!」
「生きてる人間ゾンビにするならいいですけど、死んでる人間ゾンビにしてるなら血抜きぐらいしておいてくださいよ」
自分でも、何言ってるかわからなくなってきた。思ったよりも、ボクは混乱しているのかもしれない。
「貴様は何者だと聞いている女!!」
「ボクは女……女じゃ……女だけど……なんか、もういいから、お縄についてくれませんか!」
「ふんっ、何者かわからんが、少なくとも腕は立つよう「あ、肘掛けとれた」だが、俺の精鋭のゾンビはまだきょうか「てやっ!」いの中にぃっ!? 貴様、何を投げてくる!!」
「椅子の肘掛けです」
話長いし、何より、何を言っても許すつもりもなければ放っておくつもりもありませんし。
「とりあえず、ボクの名誉と威厳と腹いせで倒されてください」
「わけがわからん! くそっ、いけ! 《ソルジャー・ゾンビ》!!」
彼がそういった瞬間に、教会の床を突き破って、剣を持ったゾンビが2匹でてきます。
「……なんで、ゾンビに剣刺さってるんですか。というか、ゾンビ以外に脳がないんですか?」
「ふ、ふん。お前などゾンビで十分ということだ。やれ!」
剣を持ったゾンビはボクのほうに向かってきますが、外のゾンビと同じく直線的な攻撃しかしてこない。
これって作成者の技量なのか、ゾンビという種類全てに通ずることなのかが、まだわからないな。
攻撃を交わしながら、ボクを挟み撃ちさせるような立ち位置に誘導することもたやすかった。
それで、このままつき攻撃してきた瞬間に――
「ガァァァァ!!」
「グゥゥゥ!!」
しゃがんでしまえば。
「「グガァァァッ!?」」
同士討ちしてくれるってわけです。
問題はまた、血が入ってたらしく。ボクに血のシャワーがかかってしまうことですが。
「着替えた意味なくなった!!」
「何なんだ、お前はぁ!!」
「通りすがりの、自分でも名前がわからない、心が男で体が女の誰かだ!!」
「こ、こっちにくるなぁぁぁぁ!!」
魔法に頼ってきたのか、はたまた度胸がとにかくなかったのかわからない。
だけど、結論を言ってしまうとゾンビ以上にたやすく男を気絶させることはできた。顎にアッパーを一撃だ。
「はぁ……うぅ、血が固まり始めて、気持ち悪い」
手についた血だけでもと思って、この男の服で拭いていると、中から鍵束がでてくる。
「……教会の部屋の鍵かな?」
少し教会内を見渡すと、十字架の奥に扉が見えた。
「そういえば、人質はまだ……こいつビビリだから死体を持ってこさせて、自分で人を殺す度胸はなさそうだな~。確かめておこうかな」