07 戦闘開始
遠くにいかにもな禍々しさを放つ教会が見える。
周りに生えてる木の影をつかって隠れながら近づいていく。
教会の周りは墓地になってるが、どれもこれも傾いたりヒビが入ったりしていて、教会自体も穴があいたり、現代だとマリア様が書いてあるあのガラスみたいな奴も割れている。
「お化けとかは信じないけど、いまさらだけど魔法がある世界なんだよね」
ネクロマンサーはそのまんま死霊使いって考えると、ゲームとかで言うアンデットとかそういうのを作り出す魔法を使うってことだよね。
呪術師とは少し違うのかな。
こそこそと教会の敷地内にボクは足を踏み入れた。
が、その瞬間に墓地のそこかしこから腕で生えてきて、ゆっくりと這い出てくる。
「えっと、ゾンビ?」
見て取れる感じ、身体は腐敗した肉と土がつきまくってて、何故か武器が身体とかに突き刺さっているのもいる。
「ヴァァァァ」
「声帯残ってるの?」
ゆっくりと近づいてきて、両手を振り上げてボクを襲ってきた。
ボクはひとまずその場から飛びのいて回避する。
この体の人の、身体能力には感謝しないとだな。
「えっと、とりあえず!」
ゾンビの攻撃はどれも直線的で回避するのは容易かった。ついでに足掛して転ばせる。
「ごめんなさい!」
そして、そのまま倒れたゾンビの頭を力強く踏みつける。腐敗した肉とともに、骨も弱っていたのだ、鈍い音を立ててその身体は動きを止めた。
「……戦えそうかな。ちょっと、吐きそうだけど」
戦闘開始。
まずはゾンビの攻撃を回避して、胸に刺さった剣の柄をつかむ。
「はあっ!!」
そのまま剣を上に振りぬいて頭を2つに割り、その剣を向かい側のゾンビの胸にさして、柄を蹴った。
「グガァァァァ!!」
そのまま次のゾンビに刺さっている斧を引き抜いて、首と胴体を別れさせる。
「数多いよお!!」
続くように、頭や足を砕き、武器を引き抜き。
「あー、もう!!」
「あ、そういえば武器渡し忘れ――失礼しました」
「うん? 今、なんか聞こえたような」
気のせいかな?
「グガァァァア!!」
「お前じゃない!!」
ミニスカートだから、どうしても足を上げきるのを躊躇してしまう。
大事な部分も隠すには、この服は欠陥が多すぎると思います。いや、そもそもスカートというものの構造が欠陥が多いと思うんですよ!
そんなわけのわからない愚痴を心で叫びながら、なおも戦闘は続く。
数分後、その場にはゾンビの亡骸と、ゾンビの中に残っていた返り血を浴びたボクが立っていた。
「終わり? ……まだ、教会の中にいそうだなあ」
ボクは嫌々ながらも、ゾンビから一番耐久力の残っていそうな剣を引き抜いて、教会の扉を開ける。