01 ここどこ!? この体なに!?
暗闇の中にいる。
だけど、こうして考えられるってことは生きているってことだろうか。
それとも、死後の世界というのが存在して、そこに向かっている途中なのかもしれない。
ボクはそんな事を思いながら、必死に光を探す。自分の体を動かせているかも定かではないこの感覚は、名状しがたい気持ち悪さだ。
だが、そんな中でももがき続けて、一つの光を見つける。
そしてボクは――
「ん、うぅ……あれ? ここは?」
どうやら、ボクは生きていたらしい。奇跡でも起きたのかな。
だけど、まだぼやけてる目でもわかる。
ここ、病院じゃないよね? どこだろう。
ひとまず視界が鮮明になったところで立ち上がろうとした時、カシャという金属と金属が軽くこすれるような音がする。
「今の音? ……あれ、声が高いような」
もともと、電話越しだと女の子と間違えられる声だったけど、それにしても高すぎるような。
傷があるはずの後頭部を確認してみるが、痛みも包帯とかもないし、手術されたりして髪がなくなっているようなこともない。いや、詳しい治療方法とかはしらないんだけど。
というより、髪はもとよりも長くなってる気がする。
そう思って、少しもみあげを触って、視界に入るようにしてみる。
「……え? あ、あれ?」
ボクはその髪を見て思わずそんな風につぶやく。
だって、黒かったはずの髪が青髪になってるんだもん。
ボクはとにかく、体を確認してみる。
まずは後ろ髪が首にかかるくらいに、セミロングになってる。服装も何かおかしいというか、何かの下にきるインナーみたいな服で、胸が――
「へっ!? 胸が――!!」
大きくはないが、男としてはおかしい程度に胸があった。インナーのせいでそのラインもわかりやすい。
「まって、まって!」
甲高い声で、混乱しながら確認するが、元の体と違う部分が数多くあった。
身長や腰まわりのスタイルなどは一緒だったけど。
そして最期に、男と女の決定的違いを確認する。
「……な、ない――どうなってるのー!!」
ボクの声は反響するものもないはずなのに、木霊した気がした。
数分かけて、落ち着き改めて状況を把握しよう。
まず周りには森が広がってる。それなのに、この周辺だけ燃えたように廃れてしまっている。
そしてこれは仮定。あくまで仮定……いや、認めるしかないか。
ボクは女になってしまっているということ。あの後、自分が倒れていた下に鎧の成れの果てのような金属片も見つかった。折れた剣も一緒に。
それらの情報から考えると――
「本当にここどこぉ」
ボクは泣きたくなっていた。
とにかく、この場で動かないでも仕方ない。誰か人を探さないといけないよね。
ひとまずボクは森のなかへと入る。
そんなに詳しいわけではないけど、木もどことなく見たことのない雰囲気の木が多い。それに足元に生えてる植物も同じだ。
そして森の印象があったけど、実際には林程度の規模だったらしく、すぐに抜け出ることができた。
「崖というほどじゃないけど、油断して落ちたら危ないなー……あ、町がある! でも、あれって……どういうこと?」
念願の人がいそうな町を発見することができた。
だけど、その見た目がおかしい。
いや、おかしくはないんだけど、ここまでの事を考えると何か違和感を感じる。
だって、その町は――どう見ても、日本の和を主流としたような雰囲気の町に見えたから。