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ちょっとしたオカルト体験②

作者: WOW

 私は幽霊を信じていません。全く。これっぽっちも。


 これは、そんな私が体験した話です。





 私は、自宅一階の和室を寝室としています。


 寝室には日本刀の掛け台が置いてあり、そこには模造刀と竹刀袋に入った竹刀がかけれれています。何故そんな物を寝室に置いてあるかと言うと……


理由①

義理の兄貴の姉の旦那のアメリカ人が日本かぶれで、アメリカにある彼の自宅に招かれた時に日本刀を飾っていたのを見て、日本人である自分でさえそんな和風な物を持っていないのは何となく腹が立ったので、帰国後、諭吉を出して購入した。竹刀は昔、使っていた物を掛けた。これで家に外国人が来て「サムライ!!ニンジャ!!ゲイシャ!!」と叫んだ時も対応出来るというもの。ちなみに私はアメリカ人へのお土産用に寛永通宝を沢山買って、それを江戸時代にサムライやニンジャが使っていたお金だと言ってプレゼントしている。


理由②

泥棒が入って来た時、護身用に。 


 以上の二つの理由から寝室に模造刀と竹刀を置いてあるのです。


 さて本題に入り前に家の間取りを示して置きます。


    北

  ダダダリリリ道

  ダダダリリリ道

  ダダダリリリ道

   扉  扉 道

西 階階廊玄玄玄道 東

    廊扉  道

  洗洗廊和和和道

  風風廊和和和道

  風風便和和和道

    南   道


ダ=ダイニング

リ=リビング

和=和室

扉=扉

玄=玄関

廊=廊下

洗=洗面所

風=風呂

便=トイレ

道=分譲住宅の私道


 ある日、私が和室で北に足を向けて寝ていると家の外、東側でパタパタと足音が聞こえたた眼を覚ましました。時間は解りませんが暗かったので真夜中だと思います。


 高級住宅では無いので、外の足音が聞こえるのは珍しく在りません。ですので、そのまま、うつらうつらしていました。


 すると、その足音が西側からも聞こえて来たのです。どうもその足音は自分の寝室の周りをくるくる回っているのです。


 そこで、初めておかしい事に気付きました。東側には道があるので足音が聞こえても不思議じゃ在りませんがそれが自分の周りをくるっと回れる筈が無いのです。 


 直ぐに、それが自分の家。しかもこの和室から聞こえている事を理解しました。そしてそれが恐怖となって自分を襲いました。そして恐怖からか身体がこわばって上手く動きません。


 幽霊?

 それとも泥棒?

 変質者?


 私はなんとか眼を開いて薄眼で横を見ました。すると、視界の中に暗闇の中ぼんやりと白い素足が自分の布団の周りを走り回っているのが見えました。


 いくら幽霊を信じてなくても、これが異常な事だと理解出来、さらに恐怖を感じました。


 恐怖とは防衛のための反応です。


 通常、その恐怖は以下の行動となるものです。


①隠れる

②逃げる

③闘う


 私の場合、①と②を選択するのが状況的に不可能だったせいか③が選択されたようで、恐怖が猛烈な怒りとなって沸き上がりました。


 私は気合いで飛び起きると、身体を起こして、ぐっと手を一杯に伸ばし和室の南側の端に置いてある模造刀を掴むと、布団の直ぐ横に向けて横一文字に振り払いました。


 もし、その白い足の主が、布団の周りを回っているなら模造刀に激突すると踏んだのです。


 ですが、その白い足の主は私の意図を外れて、和室の扉を開けて、廊下に逃げて行きました。その後ろ姿は白い子供のようでした。 


 渾身の一撃を躱された私は激怒したまま、暗闇の中その白い影を追い、ダイニングに突入しました。その白い影はリビングから廊下に抜けて再び私の寝室に受向かったのです。


 私は当然、追いました。恐怖と怒りがそれしか選択肢が無いと判断させたからです。


 和室に突入すると、その異形の主は私の布団の上で仁王立ちしてこっちを見ていました。

 その姿は小学校低学年の子供くらいの大きさで、真っ白な肌をしていました。服は着ていなかったと思います。

 

 こう書くと呪怨のトシオ君を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、私の前に現れたそれには髪の毛は生えていませんでした。顔は覚えていません。眼や鼻、口があったかもはっきりしませんが、ニヤニヤしていたように思えます。取り敢えず言える事は、普通じゃない。少なくとも私はそれを普通の人間だとは認識しませんでした。


(普通の人間だったら、警察呼んでます)


 私は幽霊は信じていませんが、それは昼間の事です。その状況では目の前の対象を幽霊か妖怪かそれに類する何かと判断するよりなく、模造刀を振りかぶってその何かに叩き付けました。


 それでも相手はニヤニヤしています。


 私はなおも模造刀を振りかぶり、後はもう必死に叩き付けるだけです。ボッコボッコです。アニメ版はじめの一歩のデンプシーロールの時の曲をバックにかけても良いぐらいボッコボッコに目の前の真っ白な子供を叩きました。それでも相手は笑っていて、何故か周りから不気味なお経の声まで聞こえてきました。


 そのお経は不気味でしたが、普通に考えればお経はありがたい物です。私はこれ幸いとばかりにお経を一緒に唱え(聞こえて来たのは般若心経のようなリズムだったので般若心経を唱えました)無我夢中で剣を振るいました。


 良くあるオチですが、気が付くと私は掛け布団の上でつっぷして寝ていました。気が付いた時は周りはすでに白んでおり夜があけていたのです。


 私は自分が体験した事は夢だと、その時は、判断しました。ただし、何点かひっかかる事実があるのですがそれは最後に後述します。


 私がそれを夢だと思った理由は。


①心霊体験の大半は気のせい。特に気絶オチは明晰夢の一種であるのは常識。

②明晰夢のパターンとして金縛り、お経が聞こえるということが良くあるのは常識。

③明晰夢の多くは室内などをリアルに再現するのは常識。


以上の三つです。

私はこれ以前にも、別の家で金縛りとお経を体験した事がありますがそれは間違い無く明晰夢でした!……多分。 


 と言う事で、私は自分の体験を心霊体験では無く明晰夢の一種だと今も思っています。


 しかし、何点か腑に落ちない事実もこの体験の中は存在します。


 まず、起きたとき、掛け布団の上に寝ていた事。掛け布団が自分の上に掛かって居ませんでした。


 次に、模造刀が布団の脇に転がっていました。

模造刀を掛けていた刀掛けも部屋の端で倒れていました。刀掛けは部屋の端に設置しており、布団の上から何となく手を伸ばしても届きません。というか布団の近くに置いていたら、布団を押し入れに上げ下げする時に邪魔で仕方が無いので、部屋の端の邪魔にならない位置に置いてあるので前述の通り、身体を起こして、思い切り手を伸ばさないと届きません。


 最後に、和室の扉が開いていました。私は寝る前に扉は閉めます。何故なら、扉を開けっ放しで眠りにつくのは気持ち悪いからです。開けてるとなんか廊下から覗かれる様な気がするのです。これは押し入れをちょっと開けたまま放置するが気持ち悪いのと同じ理屈ですね。


 その扉が朝、開いてました。


 以上で、私の体験談を終わります。こんな体験をしても私は幽霊を信じていません。何故なら幽霊を信じるという事は生命の40億年の歴史や、人類の歴史、生命の神秘を馬鹿にする様な気がするためです。

 


 蛇足


 私は呪怨を映画やTVで見た事が無いのでトシオ君のイメージについて怖い印象を全く持っていません。コメディ番組のドッキリで見た事があるので逆に恐怖を感じる事が難しいくらいです。ですが、私が夢で見たその白い子供は非常に気味の悪い物でした。それを見た瞬間、最悪な気分になったものです。だからこそ、それが猛烈な怒りになったのかもしれません。



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