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転生したけど攻略本のおかげでチート無双  作者: ワギャ
第一章 攻略本とレベリング
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光世の力

 転校生の光世が来てから数時間しか経っていないのに、昼休みの教室ではすでにその話題で持ちきりになっていて、あちこちから「めちゃくちゃ強いらしい」「もう騎士クラスだって」「模擬戦で先生倒したらしいぞ」なんて噂が飛び交っていた。


 俺は窓際の席でパンを食べながらその会話を聞き流していたが、周りの生徒たちは明らかにいつもより興奮していて、学園に新しい強者が来たことを楽しんでいる様子だった。


「コウくん」


 横から美奈子が少し身を乗り出してくる。


「光世くん、もう模擬戦するらしいよ」


「へぇ」


 俺は特に興味なさそうに答える。


「訓練場で今からだって」


 その言葉を聞いた瞬間、教室の何人かが一斉に立ち上がり、まるでイベントでも始まるかのような勢いで廊下へ飛び出していった。


 転校初日で模擬戦。


 しかも相手は騎士らしい。


 確かに普通の生徒なら気になるだろう。


「行かないの?」


 美奈子が聞いてくる。


「まぁ見には行くか」


 俺は立ち上がった。


 別に光世に興味があるわけではないが、この学園の騎士相手にどれくらいやれるのかは少し気になった。


 俺と美奈子が訓練場に着いた頃には、すでにかなりの生徒が集まっていて、円形の訓練場の中央には光世と一人の騎士が向かい合って立っていた。


 その騎士は、門で見たことがある男だった。


 普通の生徒が相手をするにはかなり強い騎士だ。


「始めるぞ」


 審判役の教師が言う。


 周りが静まる。


 光世は剣を軽く構えた。


 無駄のない動き。


 明らかに剣に慣れている。


 騎士が先に動いた。


 踏み込みと同時に鋭い斬撃を放つ。


 普通の生徒なら反応できない速度だ。


 だが。


 光世の体がわずかに動く。


 剣を軽く振る。


 キンッ――


 騎士の剣が弾かれる。


 そのまま光世は一歩踏み込んだ。


 そして。


 ドンッ


 騎士の腹に拳を入れた。


「ぐっ……!」


 騎士の体が数メートル吹き飛び、地面に転がる。


 訓練場が一瞬静まり返った。


「……」


 騎士はゆっくり立ち上がる。


 顔が歪んでいる。


 だが光世はまだ剣を構えたままだ。


「まだやるか?」


 静かな声で聞く。


 騎士は少し迷ったあと、剣を下ろした。


「……降参だ」


 その瞬間。


 訓練場が一気に騒がしくなった。


「今の見た!?」


「騎士に勝ったぞ!」


「転校初日で!?」


 生徒たちが興奮している。


 教師ですら少し驚いた顔をしていた。


 光世はそのまま剣を下ろす。


 そしてふと観客の方を見た。


 視線がゆっくり動く。


 そして――


 俺のところで止まった。


 ほんの一瞬。


 だが明らかに俺を見ていた。


 興味を持ったような目だった。


「……」


 俺は特に反応しない。


 そのまま観戦を続ける。


「すごいね!」


 美奈子が嬉しそうに言う。


「騎士に勝っちゃった」


「まぁ強いな」


 俺は普通に答える。


 確かに強い。


 動きも速いし剣も綺麗だ。


 この学園の生徒の中なら、ほぼトップクラスだろう。


 その時。


 光世がこちらへ歩いてきた。


 観客の間を抜けて、まっすぐ俺の前まで来る。


 周りの生徒がざわつく。


 光世は俺の目を見て言った。


「お前」


 少しだけ笑う。


「強いだろ」


 突然の言葉に、周りが静まる。


 俺は少しだけ肩をすくめた。


「さぁな」


 それだけ答える。


 光世は少しだけ目を細めた。


 まるで確信しているみたいに。


「そのうち分かるか」


 そう言って光世は背中を向けた。


 その姿を見ながら、美奈子が小さく言う。


「なんか」


「ライバルみたいだね」


 俺は少しだけ笑った。


 たぶん。


 あいつも同じことを思っている。


 この学園で、本当に強いのは誰なのか。


 それを確かめる日は、そう遠くない。

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