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転生したけど攻略本のおかげでチート無双  作者: ワギャ
第一章 攻略本とレベリング
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モンスターハウス

隠しダンジョンの奥へ進むにつれて、通路は徐々に広くなっていった。

 湿った空気と、どこか鉄のような匂いが漂っている。


 足音が洞窟の中で反響する。


「この先か……」


 しばらく歩くと、通路の先が大きく開けていた。


 俺は壁に身を寄せながら慎重に中を覗く。


 そして思わず小さく息を吐いた。


「……多いな」


 そこは巨大な空洞だった。


 しかも中にはモンスターがうろついている。


 ゴブリンが五匹ほど。

 スケルトンが三体。

 さらに奥にはファングウルフが二匹。


 普通の冒険者なら、この時点で引き返すだろう。


 いわゆる――モンスターハウスだ。


 だが俺は少し考えてから、空洞の中をもう一度観察した。


(全部倒す必要はない)


 攻略本の知識が頭の中に浮かぶ。


 このタイプの部屋は、敵の数が多い代わりにドロップ率が調整されている。

 つまり、価値の低いモンスターまで全部相手にすると消耗するだけだ。


 視線を奥へ向ける。


 ファングウルフ。


 あいつらは魔石の純度が高い。

 経験値もそこそこいい。


「……あれだけ狙うか」


 俺はゆっくりと短剣を握り直した。



 最初に気づいたのはゴブリンだった。


「ギャッ!」


 奇声を上げながらこちらに突っ込んでくる。


 だが俺はそいつを相手にしない。


 横へステップしてかわし、そのまま奥へ走る。


 狙いは最初から決まっている。


 ファングウルフだ。


 だが次の瞬間、鋭い影が横から飛びかかってきた。


 ガッ!


「ぐっ……!」


 鋭い爪が肩をかすめる。

 思った以上に速い。


 HPが一気に削られる感覚があった。


 痛みを堪えながら距離を取る。


「やっぱ速いな……」


 ファングウルフは地面を蹴り、低い姿勢でこちらを睨んでいる。


 その後ろではゴブリン達も集まり始めていた。


 数で押されたらさすがにきつい。


「さっさと一匹落とすか」


 俺は地面を蹴った。


 同時にウルフも飛び込んでくる。


 牙が迫る。


 ギリギリで体をひねり、短剣を振る。


 斬撃。


 刃が首元を切り裂いた。


 ドサッ、と重い音を立てて一匹が倒れる。


 だが安心する暇はない。


 背後からゴブリンが三匹、斧を振り上げて突っ込んできた。


 ガンッ!


 腕で受け止めた瞬間、衝撃が骨に響く。


「ちっ……!」


 HPがまた削れる。


 さすがに数が多い。


 俺は一度距離を取ってポーションを取り出した。


 ゴクッ。


 薬液を飲み込むと、体の奥からじわりと熱が広がる。


 傷が少しだけ塞がる感覚。


「ポーション買っといてよかった……」


 だが戦いはまだ終わっていない。


 残りのファングウルフが低く唸りながら飛びかかってくる。


 今度は速い。


 避けきれない。


 牙が頬をかすめ、血が飛ぶ。


「くそ……!」


 HPがかなり減った。


 体も重くなってきている。


 それでも、ここで倒れるわけにはいかない。


 俺は踏み込んだ。


 真正面からウルフに突っ込む。


 相手も同時に飛びかかってくる。


 その瞬間、俺は体を半歩ずらした。


 牙が空を切る。


 その隙に短剣を突き出す。


 刃が首元に深く刺さった。


 ドサッ。


 ウルフが崩れ落ちる。


 数秒後、部屋の中が静かになった。


 残ったゴブリンは恐怖したのか、そのまま奥へ逃げていった。



「はぁ……」


 俺は壁に背中を預けて息を吐いた。


 HPはかなり削られている。


 やっぱり数が多いと簡単じゃない。


 ポーションをもう一本飲みながら、地面を見る。


 すると、いくつか光が浮かび上がっていた。


「お、ドロップか」


 拾い上げる。


 高純度魔石が二つ。


 さらにファングウルフの牙。


 そして、もう一つ。


 小さく光る金属。


 それを手に取ると、銀色の指輪だった。


「装備アイテム……?」


 思わず少し笑う。


「今日は当たりだな」


 その時だった。


 空洞のさらに奥。


 暗闇の中から――


 ズン。


 ズン。


 重い足音が響いた。


 赤い目がゆっくりと光る。


「……まだいるのか」


 俺は短剣を握り直した。


 今日のレベリングは、まだ終わりそうにない。

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