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恋愛感情がない幼馴染との共依存日記

作者: 海風
掲載日:2026/02/15

高校二年生初日。


今年は友達作ります。

そう書いた午前中に消すことが決定しているインスタのストーリー。書いたのは俺だ。名前を七瀬はるとという。


「さぶいこと言ってんね」


歯磨きをしているとストーリーに返信が来た。


ユーザー名yui からのメッセージ


どのyuiかを考える必要はない。

俺と友達のゆいは1人だけだから。

俺のインスタのフォロワーはそのゆいだけだから。

俺の友達はゆいだけだから。


「消すから見なかったことにして」


「私にも見られたくないなら1人で叫んでろよ」


「叫んだら聞こえちゃう」


「あそうか。」


 家隣だからな。

 カーテンを開けると、既にこっちに手を振っているあいつがいる。

 俺と三谷ゆいは幼馴染だ。


「今日学校一緒に行こ」


「行かない。クラス替え初日から陰キャと登校してくる女の子ってどう思われると思う?」


「素敵。それに俺たちの関係みんな知ってるよ。」


「だとしても最初から答え合わせをしなくてもいい」


 再びキーボードを押そうとした指を止める。そういえば、ゆいは今年は彼氏が欲しいと言っていた。そういえば俺だって友達が欲しい。去年みたいに一緒にいたらそのハードルは高く高くなってしまう。


「分かったよ1人で行きますよ」


俺は意を決し最高の高校二年生を始めるため家の扉を開けた。


________________________________________



 初日の出がそれ以外の日の出と変わらないように、高校二年生初日といえど俺が陰キャなことは変わらない。

 いや初日の出はやっぱり違うんだろうか。友達と見たり恋人と見たりしていつもより輝いて見えたりするんだろうか。

 分からない。初日の出をこの例に出してしまうような人生だから陰キャなのかな。


 何が言いたいかというと、新しいクラスの誰にも話しかけれていないということ。


 勿論去年一緒のクラスだった人には話しかけられないし。本来そんなことないのかな。分からない。いや分かる。そんなことない。


 でも、去年どころかずっと一緒にいるやつもいるんだよな。

そう今年は、話しかけないと決めたやつ。


 三谷ゆい。外向的なゆいは、既に知らない奴と教室の真ん中で新たな友達と談笑している。


 多分こんなにずっとクラスが一緒なのは、俺の友達が彼女しかいないということが学校の巨大ネットワークで共有されているからなんだと思う。本当にありがたい話だ。

いっぱい絡んじゃってね〜ってことだろう。


でもごめんなさい。僕は期待には応えられない。彼女とは今後、絡みません。

でも安心して。絶対友達、作ってみせるから。


そんなことを思って前髪をいじっていたら、始業式が終わり、自己紹介が終わっていた。

特筆することはない。


 あるとすれば、俺がボソボソ好きなゲームを言っている時あいつが新しい友達とこっちをニヤニヤした顔で見てきたことくらい。こっちはお互いのためを思って距離を置こうとしてるのに恩を仇で返すなよ。..恩ってほどじゃないけど。


 自分の立場は分かってるつもりだ。ゆいは一軍で俺は底辺。数字に当てはめるのも烏滸がましい存在だと。

 そんなゆいと俺が友達なのは、家が隣で、幼い頃から一緒に育ってきたからだ。それだけなんだ。俺なんかじゃなく他の誰かにこの立場を譲ってあげたいよ。


  やっぱだめ。俺の唯一の友達を奪わないで。


________________________________________



 新しい面倒そうな若い男の担任が結構本当にくだらない話をしている間、横目でゆいを見る。俺の席は三列目の後ろの方。ゆいは四列目の真ん中だ。要は斜め前だ。


 この角度からでも分かる綺麗な顔立ちを見ると、やはり可愛いという感想よりもなんで俺がという感情が込み上げてくる。


 恋愛対象として見ているかと言われたら、本音で違うと言える。それが立場を弁えているからなのかは分からない。少なくとも今はそういう気持ちだ。きっとこの先もそうだろう。

 だからこそ、よくいう男友達と近いというのとも違うと思う。女の子としては認識している。それはあっちも同じだろう。大事な一線は守っているのである。まあ俺には男友達もいないからよく分からないが。


 気づくと担任の話は終わり、その日は下校となった。


 LINEインスタを交換するクラスメイト達。もしかして、今が最後のチャンスなんじゃないかと絶望するが、足は動いてくれない。こっちに向かって動く足もない。


..明日があるさ。そんなことを思いながら俺はそっとイヤホンを耳につけた。最近は、ロックにハマっている。


「うるさ」


 掻き鳴らされ始めたギターの音が一瞬で聞こえなくなる。


「おい」


「またこれ聞いてるの?聞き飽きたんだけど」


「人のイヤホン奪っといて何言ってんだよ。返してくれ。」


「返さねえよぼっち」


「最低!あそういえば自己紹介の時新しい友達と俺のこと笑ってただろ!」


「みこちゃんね。自己紹介の時間だったのに

名前も覚えてないの?」


「知るかよ!」


「みこです。」


 ひょこっと俺とゆいの間に顔を出す小柄な女子。


「うわ」


「うわって酷いなあ。七瀬君」


「本当だよ七瀬君」


「おまえまで他人ずらすんなよゆい」


「他人ずらしてたのははるとの方じゃん。子犬みたいに私のところに駆け寄ってくると思ってたのに。」


「うるさいな。俺はゆいに頼らず友達作るって決めたの」


「その結果がこれ?」


ゆいはそう言い俺の手にイヤホンをねじ込む。


「....でもゆいが言ったんだろ陰キャがどうとか。恋人欲しいとかも言ってたし..」


「あんなん冗談だしてか私のこと気にかけてくれてたの?優しいねぇ」


何度見たか分からない、俺を心底バカにしているニヤケ顔のゆい。


「まじで仲良いんだね。幼馴染だとは聞いてたけど」


 呆然とした顔でみこちゃんが言う。


「そうなんだよ。まあ私が構ってやってるんだけど」

「いつも部屋押しかけてきて夜通話してくんのはゆいだろ」

「あんたたまにめっちゃ甘えてくるよねあれに付き合わされる私の気持ちになってみろ」


「付き合ってるの?」


「ううんみこちゃん付き合ってないよ。私がこんな奴と付き合う器に見える?」

「付き合ってないよみこちゃんでも誤解しちゃうのもしょうがないこいつのせいで」


「そうなんだ..てか七瀬君もみこちゃん呼び?」


「あ...ごめんなさい。お名前をお伺いしても..」


「急に暗すぎるよ..木島みこですよろしく」

「っよろしく!」


 こんなこと初めてで声がうわずってしまう。なんだ。結局ゆいのおかげでよろしくが言えた。


「おい陰キャ。帰るぞ」


「はい!」


「きも..調子のらないで」


「え帰っちゃうの?七瀬君インスタ交換だけしよーよ」


「あ!します!」


「あ みこちゃんまた私が教えるよ。私たち今日家の用事で急ぎだから!またね!」


「え、あ、おけ!またね2人とも!」


「え、あ、え」

「いくよはると」

「え、あ、うん」


 ゆいは俺の手を掴み教室を飛び出した。


「なんだよいきなり。用事なんてないだろ」


「ちょっと調子乗りすぎ。あんたはもっと陰キャらしくして。」


「充分陰キャだっただろ!」


「そもそもインスタは私とだけ繋がってればいいじゃん。今日みたいなストーリーあげれなくなるよ?」


「別に親しいであげればいいだろ!」


「そういう問題じゃないでしょ!」


「あいたっ」


普通に軽く手を出してくるゆい。腕をやられた。


「その独占欲みたいなのまじでどうにかしろ。このままだと俺の高校生活終わる。」


「しないけど?独占欲でもないし。なんで陰キャに独占欲抱かなきゃいけないの。守ってあげてるだけ。だから高1生き抜けたんだよ?」


「おまえ俺のこと好きなの?」


「本当に好きじゃない」


「せめて好きであれよ..」


「あんたは?」


「好きじゃないよ」


「なのに一年の時私とあいつ別れさせたんだ」


「ゆいが勝手に別れたんだろ。なすりつけんな」


「私にえ⚪︎がったくせに?あれきもかったー」


「何言ってるか分からない。もう帰る」


「もう帰ってるし。そういえばあれ何個か録音してあるんだよ?聞かせてあげる」


「やめろ!!」


気づくと家に着いていた。いつもこうだ。


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― 新着の感想 ―
日常感がでていて読みやすいです。情景も入ってくるので楽しめました。
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