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侍と陰陽師との出会い

竹林を静かに揺らす風の音が、夜の静寂を切り裂いていた。月が頭上に輝き、淡い光が竹林の中に影を落とす。その中に立つ一人の侍――篠原宗一。鋭い目つきと、抜き放たれた刀の光が、彼の緊張感を物語っていた。


宗一の前には、一見奇妙な少女が立っていた。鮮やかで見慣れない服装、そして怯えた様子ながらもしっかりとした眼差し。宗一はその姿に一層警戒を強める。

宗一は、「そなた、一体何者だ?このような夜更けにこの地へ迷い込むとは……まさか、妖か?」と鋭い目で少女を見据え、刀をゆっくり構えた。


天野紫音は手をあげ抵抗の意思がない事を示し「待ってください!私は妖怪じゃありません。ただの人間です!」

「名前は天野紫音。現代……今から何百年も未来の世界で、陰陽師をしています。」と叫んだ。


「い、いまから何百年も未来……だと?」困惑しつつ、宗一は刀を少し下げる。

「何を馬鹿げたことを……だが、その服装、そしてその目……嘘をついているようには見えぬ。」

宗一の鋭い視線が柔らぎ、彼女の言葉に耳を傾け始める。


紫音は、「信じがたいのもわかります。でも、さっきまでは高層ビルの屋上にいて、妖怪を追っていたんです。その妖怪を払った瞬間、何かに巻き込まれて気が付けばここに……。」と侍を見つめ、深い呼吸をついた。

「ここがどこなのか、どうして私はここに来たのか、まったく分かりません。」


宗一は宗一はしばらく黙ったまま、少女の言葉を考えるように視線を竹林に向ける。そして、刀を鞘に収めた。

「未来の陰陽師か……正直、夢か幻かと思っている。だが、そなたの目に嘘はない。」とゆっくりとした口調で紫音に話しかけた。

「ともかく、夜の竹林で話すには不便だ。そなた、腹は空いておらぬか?」


「え?……まあ、少し……。」頬を赤らめながら小さく頷く。


「くしゃみもしておったし、冷えるであろう。拙者の家は町外れにある。来るがよい。」そう言いながら、自分の顔に手を当て、少し考え込む

「……だが、拙者のこの顔が目立つのは好ましくないな。」と手元にあった頭巾を取り、慣れない手つきで顔を隠した。


紫音は思わずくすりと笑い「……その姿、少し似合ってますよ。でも、ありがとうございます。あなたが信じてくれるだけで、心が軽くなりました。」と笑顔を向けた。


「そ、そうか……。そなたのような妙な者に出会うのは初めてだが……何かの縁だろう。」宗一は照れ隠しのように足を動かしながら、「さあ、急ぐぞ。この先に拙者の家がある。」と少し足早に先を歩くのであった。


「はい。お邪魔します。」宗一の背中を見つめながら、静かに後をついていった。


二人は月明かりの中、町外れにある侍の家へ向かうのであった。

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