出会い
これまで読み専でしたが、いくつか自分て考えていた物を、投稿してみました。更新は遅めです。至らない点は多いと思いますがよろしくお願い申し上げます。
時は戦国末期満月の夜、静寂を破る草むらのざわめき。1人の若き侍が風のように疾走する何かを追い、深い森を駆け抜けていった。その手に握られた刀は月光を受けて鈍く光り、彼の決意の強さを物語っていた。
侍の名は篠原宗一。旅の途中で立ち寄った村の者たちから、妖怪が人々を襲っていると相談され、退治を引き受けた。長らく目撃されたという妖怪は、大きな猫のような姿をしていると噂されていた。
草むらを抜け、月明かりが差し込む開けた場所に足を踏み入れると、宗一の目に映ったのは巨大な猫の妖怪だった。その体は黒々とした毛並みで覆われ、金色の瞳は獰猛に輝いていた。
「これ以上の悪事は許さぬ!」
宗一はそう叫ぶと、妖怪と剣を交えた。死闘の末、妖怪を切り伏せた宗一だったが、その最期に妖怪は不気味に笑い、呪詛の言葉を吐き出した。
「貴様はこれから己が姿を見て怯えることとなろう……」
次の瞬間、宗一の顔は猫そのものへと変わり果てていた。妖怪の呪いによって、彼は半人半猫の姿となったのだ。
時は変わって現代。月が煌めく夜、ビルの屋上を駆け抜ける1人の少女がいた。名を天野紫音。高校生でありながら、代々続く陰陽師の家系に生まれた彼女は、類まれな霊能力を持つ実力者だった。
「今夜こそ逃がさない……!」
紫音は妖怪の気配を感じながら、ビルとビルの間を軽々と飛び移る。満月の光を背に、その姿はまるで月下の舞姫のようだった。追い詰めた先で、紫音は霊符を操り、見事に妖怪を払った。
しかし、安心する間もなく、背後から声がした。
「ようやくそなたに出会った。」
振り返った紫音は、一瞬で視界が闇に覆われ、気を失った。
目を覚ました紫音が目にしたのは、見知らぬ風景だった。周囲は竹林に囲まれ、満月の光が異様に明るい。その空気は、現代とは明らかに異なっていた。
「ここは……どこ?」
混乱する紫音の前に現れたのは、1人の侍。その顔には猫のような面がかかっていたが、その目には深い悲しみが宿っていた。
「そなたは何者だ?この地に迷い込むとは、何かの因縁か……」
侍は剣を構えながら問いかけた。紫音は咄嗟に霊符を手にするが、目の前の人物がただの妖怪ではないことを感じ取る。
「あなたは……人間なの?それとも……」
こうして、戦国の時代と現代の陰陽師が、月明かりの下で交わる運命の物語が始まった。