手紙
「葵、なにしてるの?」
「手紙書いてる。香織のご両親に」
「なんでそんなことしてるの」
「うーん、男としてのマナー?」
「なにそれ」
アハハと香織は笑う。香織はアセビの恐怖から解放され、笑顔が増えた。前よりも幸せそうだ。
さてと……
『拝啓
残暑が身がこたえる今日、私達は日々穏やかに過ごしております。
お二方はいかがお過ごしでしょうか。
私たちは、つい先日長い長いアセビから解放されることが出来ました。 アセビの正体は、赤羽紫苑さんが妹の為の薬を作っている時に、できてしまった失敗作だったのです。
それを、看護師だった長谷川が、広めた人為ウイルスによるテロだったのです。その事実を私たちが突き止め、解決に向かいました。
紫苑さんは今、きっと妹さんの元に向かっただろうと思います。彼はアセビの治療薬を作ると同時に、妹さんの病気に効く薬を完成させたと言っていました。 これから、紫苑さんがどうなるか、それは分かりません。けれど、私は彼ら二人を応援したいと思います。
話は変わりますが、今日筆を執ったのは、お二人に大切な話があったからです。
私は、香織さんと共に暮らす中で、彼女に助けられてきました。
私はそんな彼女に惹かれ、特別な感情が生まれました。
この手紙を書き終えた後、私は香織さんにこの想いを伝えようと思います。
私は香織さんの家族になりたいと。
これからも、天から私達を見守っていてください。私もお二人の元に行ったとき、改めて挨拶をさせてください
敬具』
人生で初めて書いた、手紙。書き方も分からなかったけれど、これで合っているかな……。
島も落ち着いて、余裕ができたから書いてみたけど、不安だな。
これで、手紙もまともに書けない男に娘はやらん! とか言われたらショックだな
「香織! お墓参り行くけど、一緒に行かない?」
「うん、行く。途中で花屋行かないとね。あと、終わったら伊織たちと遊ばない?」
「あぁ、そうだね。またみんなで遊びたいね」
島民千人程度の小さな島 泉五島。
青くどこまでも続く海に囲まれたこの緑豊なこの島で。
俺達は、今日を生きよう。




