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ダレガタメニ  作者: 猫宮いたな
港倉庫戦争
49/50

紡ぎ


「気持ちわるぅういぃ、もう船旅嫌だぁ」


 夜は情けなく唸ってる。

 こいつは、今回の依頼でかなり散々な目に合っている。

 不意打ちでボコボコにされて、休む暇もなくまたケンカ。


 依頼が終わったら、今度は苦手な小型船での移動。

 ちょっとかわいそうになってきた。


「あと一時間耐えろ。俺ゲロだけは本当にダメなんだからな」


「そんなこと言われても……ウッ」


 今回の依頼はかなり大変だった。

 というか、依頼はこなせていないんだけども……。


 この島で結ばれた新しい絆。

 青春を見れた気がする。あの四人の恋。

 家族を思う優しい一人の友達。


 彼らがどんな道を進むのか。

 それは分からない。けれど、いつかまた会えたら。

 その時は、再会を喜んでお互い笑いあえたらいいな。


 じゃあな、葵。じゃあな、泉五島。


「向こう戻ったら、すぐ仕事だぞ! 今回、依頼料もらえてないんだから!」


「仕方ないだろ! 奪われたんだから! うっぷ……」


「おいおい、本当に吐かないでくれよ。俺の為にも……」


***


「お邪魔します……」


 前にもお邪魔したことはあるけど、やっぱり緊張する。

 彼氏の家なんて緊張しないわけがない。


 扉を開けた時にフワッとただよった木の香り。

 和風モダンのお家は、心地よさを感じる。


 緊張と、安心という矛盾した感情の落差で、まだ玄関なのに体力は限界に近い。


「いらっしゃい! 伊織」


 颯太は、私の横でニコッと満面の笑みで迎える。

 アセビという呪縛、犯罪者たちによる恐怖から、私達は解放されて私たちに笑顔が取り戻された。


「こんにちは、伊織さん」


 リビングから、颯太の妹さんがひょこっと顔を出して、挨拶をしてくれた。私も、頭を下げて挨拶をしたら、逃げられてしまった。

 私が嫌われているのか、それとも妹さんが颯太のことを好きすぎるのか、もしくはその両方か……。


「あぁ、逃げやがったあいつ……」


 颯太は苦笑いで頭をかく。この様子じゃ颯太は妹さんには敵わないらしい


「寧々! お前にも話があるんだから逃げんなよ」


 靴を乱雑に脱ぎ捨てて、リビングのほうに歩いていく。

 彼の背中はとても大きくて、私はその後ろを歩いて行った。

 

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