紫苑
俺は、妹の為に生きてきた。
妹の命を救うために、妹と別れを告げた。
今と未来。その二つを天秤にかけて。俺は未来に賭けた。
妹の為なら、俺は何でもできた。
自分自身を殺し、俺はボクになった。
泉五島の人たちは優しかった。
よそ者のボクに優しくしてくれた。
特に、ボクと年の近かった、天月玲央という少年は、友になった。
病院での仕事は大変だった。けれど、苦しくはなかった。
妹の為に、島の皆さんの為に働けることは、幸せを感じれた。
ある時やって来た、長谷川も最初は、いい奴だと思った。
同じ島の外の人間で、話も合うことが多かった。
けれど、長谷川は騙っていた。
彼女の目的はボクだった。その為に邪魔なものをどんどん傷つけていった。
その牙は島の人たちにも向いた。
森永小夜。長谷川の正体はボクの大学時代の同級生だった。
一目惚れしたボクを自分のものにする為に、この島に来た。
自分のことを見てほしい。だから自分以外が無くなればいい。
そんな一心で、ボクが作った失敗作、アセビを広めた。
ボクが、彼女の想いに応えていたら。もしくは拒んでいたら……。
アセビの管理をしっかりしていたら……。
後悔や、責任、罪。多くのものがボクにのしかかった。
でも、それから逃げることをボク自身が許さなかった。
混乱に落ちていく島をボクはただ傍観し続けた。
この島を救うヒーローが現れるまで。
そして、彼は現れた。
ボクは、長谷川の分の責任を背負ってラスボスとして、彼の前に現れた。
天月玲央に感謝を告げた。
ボクを匿って、背中を押してくれた。
立場なんて関係ない。友達の為に俺はできることをやる。
そう、言ってくれた。嬉しかった。
だから、彼に並べるようになるためにも……。
ボクはラスボス。ラスボスを倒して、この島に平穏を取り戻すんだ。
物語は、もう終わる……。
任せたよ、ヒーロー。




