戦争
「お前ら、ここで何やってる!」
昼の港にいた刑事さん。
正義感が強くて、責任感のある仕事熱心の男。
こいつが上司だと、毎日残業させられそうな、最悪な男。
奴の形相は、鬼のような威圧感を持っている。
「刑事さん、俺達はなにも……」
鬼の睨む目は、身をすくませる。
「お前……ここで何があった」
「死んだはずの紫苑さんがここにいた」
俺は語りだした。腹の傷が痛む。けれど、奏斗じゃだめだ。
俺じゃないと、ダメなんだ……。
「紫苑が言うには、そこにいる長谷川がこの一連の真犯人だった」
長谷川が犯人。昼のこともあり、可能性はある。
否定はできないだろう。
「じゃあ、何故その長谷川がそこで倒れている」
「おそらく、紫苑です……。俺は長谷川に後ろから刺されて、しばらく気を失っていました……」
「目を覚ましたら、こんなことに」
「そっちのお前は、見てたのか?」
「いや? 俺が来たときにはもう二人は倒れてて、紫苑が一人で立ってた。紫苑がどこに行ったのか、それも分かると思う」
「ほぉ……」
「紫苑はおそらく、もう島にいない」
そんなの、ありえない。
紫苑がここから飛び降りたのは、ほんの数分前だ。
「俺がここに来た理由は、葵に呼ばれたから。で、葵は紫苑にここに来るように言われたんだよな」
「あ、あぁ……」
奏斗には、その事話していない。どうして、分かるんだ?
「わざわざ、死んだことになってるあいつが姿を現した訳は?」
「……逃げ切れる算段があったなんて言いたいのか?」
「あいつには、協力者でもいるんだろう。今頃、協力者と一緒に海の上だろうね」
おい。低く化け物の唸り声のように、刑事さんは放った。
それと同時、刑事さんは、奏斗に殴りかかった。
「おやおや、善良な島民に何をしているんですか?」
「だまれ、お前はここの人間じゃない。いまいち、お前のことは信用できないんだよ」
「どうすれば、信用できますか?」
「俺の事、殴ってみろ!」
いきなり、二人の殴り合いが始まった。
でも、奏斗は一切の攻撃をしない。躱し、いなし、防いでいく。
一方で、刑事さんは何度も何度も、奏斗に殴りかかる。
昼、あんなにボコボコにされていたのに、どうなってんだ……。
「どうした! 殴り返せよ‼」
「……」
奏斗は、静かに淡々と捌くだけだった。
***
「さてと、みんなはこれから、紫苑さんを追うよ」
夜さんは、そう言った。
灯台のある森。その中で俺達は息を潜めていた。
いまいち、整理がつかない……。
感情は腹の底でふつふつと、怒りを強めている。
「分かりました。行きましょう」
さっき、灯台の上から紫苑が飛び降りた。
上で何が起きているのか、わからない。
けれど、夜さんは知っているようだった。
「いいかい、これは最後の戦いだよ。紫苑さん達を捕まえて、この島の犯罪者を一掃する。これが僕たちの仕事だ」
「分かった。やろう」
ここに居る六人で、この一連の騒動を終わらせるんだ!




