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ダレガタメニ  作者: 猫宮いたな
港倉庫戦争
40/50

地獄


 奏斗は言った。


「みんなと合流しよう」


 俺は、拒絶した。奏斗の誘いを……。

 復讐と言う目的を果たすまで、俺は葵くんに会う気はない。


「なら、一つ頼み事してもいいか?」


「物による」


「この島に大量の犯罪者がいるらしい。そいつらをできるだけ捕まえてほしい」


「……」


 俺は、何も言うことなく奏斗と別れた。

 俺の目的は二つ。

 俺からすべてを奪った加藤とその仲間を殺すこと。

 それと、この島を守る事。


 決意は決まった。



「お前、見ない顔だな」


 夜闇に沈んだ町。商店街の路地裏。

 深くフードを被った男がいた。


 その顔はあまり見えない。でも、その目を見ればわかる。

 俺と同じ目をしているから。


「……ッチ」


 男は、襲い掛かって来た。


「バンッ!」


 男は一瞬で動きを止めた。

 誰だって、銃を突き付けられたら動きは止まる。

 それこそ、奏斗みたいなやつらは例外だが。


「死にたくなければ、話聞かせてもらおうか」


 復讐にも、何にも情報は必須だ。

 

「まず、一つ。お前は誰の指示でここに居る」


「……」


 沈黙か、なら答えは一つ。

 吐かせればいい。


「じゃあ、足一本」


 容赦なく、男の足に向かって発砲する。

 夜の静寂を破裂音が木霊する。


 男は低い声で唸る。


「話す気になったか?」


「言うかバーカ!」


 もう一度、音が響いた。同じ個所を狙って。


「次は、反対の足だな」


 ただ、妙だ……。

 こいつ、震えている。痛みじゃなく、恐怖で。


「今死ぬのと、裏切って死ぬのどっちがいい」


 だから、確証を得るために鎌をかけてみた。


「い、言わない……」


 目も泳いでるし、この動揺。こいつらを動かしているボスがいるのは確実。


「じゃあ、苦しみの中で死んでいけ」


 苦痛を与え続けた。後悔するまで。

 傷つけ続けた。情報を吐くまで。

 

 流れる血は、俺に返り血となってベトッと張り付く。

 心底、気持ち悪い。


 昇りつつあった月が沈み始めたころ。

 男はとうとう観念した。


「俺達は、レオナさんたちに誘われてこの島に来ただけなんです!」


「レオナもどうせ誰かから誘われたんだろ? その人間のことをきいているんだ!」


 こいつらは、おそらく加藤から誘われてここに来た。

 どこかで、きっと加藤につながる道がある。

 その道のさらに先に、家族を苦しめたやつらがいるはずなんだ。


「そこまでは知らない。俺は、本当に誘われただけなんだ!」


「そうかならいい。じゃあ次だ、俺の家族を襲ったやつらの事知ってるか?」


 絶対にいつか、殺してやる。地獄に逃げようが地獄よりも圧倒的な苦しみを与えてやる。


***


「刑事さん、この島の向井という人間は危険だ。警戒しときな」


 ――あいつは復讐に走っているからね。

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