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ダレガタメニ  作者: 猫宮いたな
港倉庫戦争
32/50

真実


 手錠で、拘束された。二人の男。

 それと向かい合うのは、血だらけの二人の男。


 さっきまで、夜さんと、刑事さんは生きるか死ぬかの戦いの中にいたというのに、根性だけで立っている。


「お前は、病院に行け。今回のことは黙っていてやるから」


「そうは、いかないよ。 仕事もあるし」


 そう言って、夜さんは名刺のようなものを刑事さんに差し出した。

 それを見ると、刑事さんはため息をし、それ以上何も言わなかった。


「しゃあない、じゃ始めるか」


 *


「まず、お前らの目的と、ボスについて吐け。どうせ、計画したのはお前らじゃないだろ」


 二人は顔を見合わせ、しばらくの思考の後、ゆっくり口を開いた。


「俺達は、長谷川と名乗る女に従っていた」


「長谷川だぁ?」


 夜さんがポリポリと頭を掻く。

 

「さっき、俺の仕事で会った女も長谷川だ」


「仕事?」


「あぁ~……。 葵くん、話しちゃってもいいかな」


「はい、情報は共有しといたほうがいいと思いますし」


「じゃあ、言うと、俺の仕事は、この島の医者の男からのものだった。仕事の内容は、預けられた荷物を島の外で廃棄すること」


「その預けられた、荷物ってのは?」


「医者先生の私物らしい、俺も中身は確認して、犯罪になるようなものは無かった」


「そうか……」


「ちなみに言うと、俺はこの子どもたちにここまで案内しておらった。 仕事には全く無関係だ」


「……話続けてもいいか?」


 レオナは、気だるそうにしている


「あ?あぁ頼む」


「長谷川の目的は、明日以降島で大きな騒ぎを起こしてほしいと言うことだった、1週間したら、島の人間も、物資も好きなようにすればいいと」


 騒ぎを起こしてほしい?犯罪者たちに意識を向かわせることで、何か長谷川にメリットがある?


「夜さん、長谷川と別れてから、長谷川はどこに向かっていった?」


「長谷川なら、今頃灯台にいるだろうな」


 その時、手錠につながれたもう一人。マサトが声を上げた。


「あいつの目的は、この島から逃げ出すこと……」


「なに?」


「まず前提として、紫苑という、医者は死んでいない。数日もすれば、わかるだろうが、あの死体は顔が潰してあるだろ?」


「確かに、あの死体は、顔もつぶされ、全身骨折していた」


「あれは、紫苑に似た人間を見つけ、俺が殺した身代わりだし」


「俺達も、長谷川も、お前ら島の人間も……。全員、紫苑の手の上で躍らされているんだよ」


「紫苑の目的は、なんなんだ?」


「詳しいことは分からない。ただ、紫苑には、病床に伏せる妹がいるらしい。そして、長谷川は、そんな紫苑に、特別な感情を持っていた。犯罪を犯すのに、なにも理由なんていらない。ただ感情の赴くままに、暴れるだけだ」



「とりあえず、急いで灯台に向かおう」


「でも、ここからだと、今向かっても夜になるよ」


「それに、私たちはいいけど、進藤君たちは大丈夫なの?家族の事とか」


「友達の家に泊まるっていえば、一日ぐらいなら」


「……おい」


 港倉庫の隅、俺達が話をしているところを、刑事さんは聞いていたらしい。その顔は、怒りを露わにしていた。


「ここから先は、餓鬼の出る幕じゃない。てめぇらは、帰ってママの乳でも吸ってるんだな」


「じゃあ、ママのいない俺達は、誰の乳吸えばいいの?」


「あぁ?」


 俺の挑発に、さらに顔を真っ赤にした。

 ま、子供相手に挑発されちゃ、警察としてのメンツもないだろう。

 ただでさえ、今回の件は、この島の警察としての信用はがた落ち。

 いま、島が混乱しているという中で、警察が機能しないなんて、あってはならないからな。


「今日のことは、俺達の失態もある、だから見逃してやろう。ただ、次はないぞ?」


 大の大人の、それも警察の本気の圧。

 そんなの、怖くないわけがない。今にも、ちびりそうなぐらいだ。

 でも、俺は決して引かないし、引くことも許されない。


 俺は、香織、颯太を、伊織を、大切な人を助ける。そのためには、薬の在処を見つけ出し、紫苑の起こした、この一連の事件の謎を知る。だから、俺は引かない。負けない。


 それが、俺の決意なんだ。

 相手が誰だろうろ、関係ないんだ。

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