信念
落とされた資材。それに飲み込まれる二人の男。
俺は、今明確な殺意の元、攻撃をした。
人間として、間違った道を進んだことは理解している。だが、俺は後悔なんてしていない。
大切なものを守るためなら、俺は鬼でも神でも殺してやる。
*
「葵、大丈夫?」
香織は俺にそう聞いてきた。
俺は弱い。先日の学園での出来事、香織の事。そのすべてが重くのしかかり、俺は香織に涙を見せた。
一番つらいのは、香織なのに。香織に心配させてしまった。
だから、俺は決意した。誰にも負けない、強い人間になると。
だから、覚悟はしていた。また、誰かを傷つけてしまうだろうと。
だから、大丈夫だと、俺は思っていた。
でも、本当は、心の底から叫びたかった。助けてと、どうしてこんな目に合うんだと……。
弱い自分が悲鳴を上げるたび、逃げたくなった。死にたくなった。
そんな、弱い自分に怒りが湧いた。心配させないと決めたのに。
「……やっぱ、辛いよ」
「そっか、なら。落ち着くまで、泣いていいんだよ」
香織がいると、どうしても、弱い自分が勝ってしまう。甘えてしまう。
とても心地いいこの時間が続いてほしい、そう思ってしまった。
「……学園の時は頼りになる人って、思ってたけど、本当は私たちとおんなじなんだね」
「こいつは、俺達と何も、変わんないんだよ……」
命を奪うという、行為は……平和慣れした学生には、あまりにも非常なものだった。
*
「なんか、島の子供が嗅ぎまわっているみたいだね」
「そうみたいだな」
コンテナに囲まれた倉庫の一角。無数のモニターを眺める、二人の男。
一人は、平均的な体躯に、背中まで伸びた髪をなびかせる。
一人は、屈強な体に、見上げるほどの身長。首元の黒いタトゥー。
「邪魔になるようなら、殺してきてくれるかい?」
「勘違いしているようだが、俺はお前の下に着いたわけじゃない。俺たちは対等な立場だ。そこを間違えるなよ?」
「分かっているさ、この島の支配がすんだら、僕は静かに暮らしたいしね、それまではこの協力関係を崩す気になんてなれないよ」
「ならいいんだが」
この二人が、この後島を巻き込む大事件を起こすとは、誰も知らない。




