開戦
「じゃあ、俺は行くわ、お前らはとりあえずここにい待機しといてくれ」
夜さんは紫苑さんの依頼について調べるため、約束の場所へ向かった。
予定では、紫苑さんが信頼している人がいるらしい。
俺たちが待機の理由は、島の人間である俺たちがその人物と会った際に面倒なことにならないようにするためだ。
「録音はちゃんとできているよね」
「大丈夫だよ」
夜さんは奏斗が信頼している人だ、問題ないだろう。
でも、なんだ?この違和感は、、
焦燥にも似た不安が、心を苦しめ冷静な思考を奪っていく。
徐々に視野も狭まり、思考はさらなる疑問を呼び思考を深めていく。
ぴと、っと首筋に触れる温かい感覚。
振り返った先にいたのは香織だった。
「葵。いま考え事してたでしょ」
「まあ、ちょっと気になることがあって、、」
「何のために私たちがいるんだよ、話してみな」
「根拠はないけど、なんか嫌な予感がするからなんかあるのかなって」
「う~ん、、颯太君、なんか葵の嫌な予感が何なのか思い当たる事ある?」
「やっぱ気になるのはさっき、公園にいた人たちだよな」
「それだ!」
さっき、夜さんと合流する前に寄った公園。
そこにいたのは島の外の人間、しかも一人二人というレベルではなかった。
でも、やつらが不安の種ということは分かったが確証がない。
何故、島の外の人間がいるのか、目的は?人数は?いつきたんだ?
「まだ、わかんないことばっかだよな、、」
「静かに!」
颯太のその声に心臓が跳ねる。
その心臓の音をこらえながら、周りに耳を向ける。
タンタンと物音が聞こえる。
倉庫の外だが、倉庫に聞こえるほどの距離ということだ。
「ひとまず、上に隠れよう。」
視界に入ったのははしご。
倉庫の上にはほかの倉庫につながる道があったはずだ。
もしもの時はそこから逃げよう。
女子二人組を先に上らせ、俺たち男はもちろんじゃんけんでどっちが先か決める。
声も出さずアイコンタクトでじゃんけんを始める。
「なにやってんの!」
香織たちはそうつぶやくが、説明できるわけがない。
説明したらこのチャンスを逃すから。
「「じゃんけん、ぽん!」」
じゃんけんの結果は俺が勝ち俺が先にみr、、逃げる権利を得た。
俺がはしごに手をかけて、上を向いたとき、そこにあったのは、香織。
そう楽園であった。
一瞬の幸せをかみしめ、俺たちは上に逃げ込んだ。
案の定、少ししたら倉庫に二人の人物が入ってきた。
「なあ、きいたか?俺たちこの島で好き勝手していいらしいぜ」
「ああ、それにしても残念だよな、この島の人間も」
「まったくだよ、いきなり島の外の人間の奴隷になるんだから、」
だが、その二人は言った言葉は到底許せるものではなかった。
*
この島は今混乱の中にいる。それが小さな多くの傷を生み、傷と傷が繋がって大きな亀裂を生んでいる。
俺は島の外に人間だ。どうなろうと関係はない。でもこのままではならないとそう思わされる。
「あんたが、依頼主の紫苑さんか?」
「いえ、紫苑さんは先日不慮の事故で亡くなりました。私は紫苑さんの部下の長谷川リナです。」
長谷川リナと名乗った女はどこか落ち着くが見えず、挙動不審だ。
「どうされたんですか、そんなにそわそわして。」
「いえ、じゃあ。依頼の件についてですが、、」
本当にこいつ大丈夫なのか?何かに急いでいる?
「これを島の外で廃棄してもらいたくて、、」
「この中身は?」
「それはここでは言えません。」
「私たちは犯罪に加担する気はないので少しでも怪しいと感じたら中身を確認させてもらう決まりで。それができないなら今回はキャンセルということで、」
「、、、紫苑さんの私物です。」
例の医者の私物?妖しさ満点じゃんか。
「中身は?」
「日記と仕事道具です。」
「なるほど、確認しました。それでは依頼金の支払いを」
「これで、、お願いします、、」
金の受け渡しが終わったらさっさと消えていった。本当になんなんだ?
「おい。おまえ、、ここの人間か?」
今、俺たちは最悪な状況におかれているのかもしれない。




