上陸
「ここが、泉五島か、、」
*
雨がぴしゃりぴしゃりと水溜まりの上に跳ね、
傘をひっくり返さんとする強風が横から強く吹き付けていた。
アセビの治療薬を求めて起きた学園での戦い。
あの戦いはアセビの治療薬を完成させた医師赤羽紫苑が殺され、治療薬が奪われたところから始まった。
紫苑さんを殺した男は島の各地に薬を隠したといい、この島の人間は目の色を変えて治療薬を探し出さんとしていた。
そこに以前から俺、山口葵に恨みを持つ島の北区代表である加藤信也がこの状況を利用し俺を殺そうとしていた。
その結果、俺達は加藤を捕えることができ、薬をひとつ獲得することは出来たが
俺たちはもうひとつ薬を獲得しないとならない。
さらに、紫苑さんの死についても謎が多くその謎をとかなければならない。
その為にまずは紫苑さんが生前残した依頼がなんだったのか、その目的はなんだったのか。
それを知るために俺たちは島の南部にある港倉庫に向かっていた。
「そういえば、今日は学園の時に知り合ったっていう子も来るの?」
そういうのは幼なじみで俺に残された唯一の家族の中村香織。
香織もアセビの感染者の1人だ。まだ症状も軽度なのが幸いだが、これがいつ悪化するかも分からない。
「そうだな、あいつらとは倉庫の近くで落ち合う予定」
「そっか、なら後でちゃんと感謝しないとね」
「なんで?」
「なんでって、葵を助けてくれたことにする感謝に決まってるでしょ!」
「香織がするべきことなのか?」
「そりゃもちろん。葵が学園に行ったのは私の為だったんだから」
香織と一緒に歩くこの道は毎日のように通る通学路。なのに、どこか落ち着かないソワソワとした気持ちになる。
それでも、香織といるこの時間が幸せで無限に続いて欲しいと思えてしまう。
そのためには残りの4つの薬を見つけださなければ
*
家を出てから30分ほどだった。
「やっと見えてきたね」
商店街の先にある学園の更に先。
丘の下に見えるのは5つの棟からなる港倉庫。
島の外との交流の要と言える場所であり、
あそこで輸出、輸入品の管理。泉五島の漁業関係の管理。その全てを行っている。
この島の若い人たちの就職先はだいたいあそこだ。
港倉庫の近くにある食堂 たつみ。というところで落ち合う予定だが、さっき颯太からもう着いたというメッセージが届いたので少し早足気味に向かう。
食堂についたが周りには誰もいない。まさかと思って食堂の中に入ると颯太と伊織の姿があった。
「遅かったな」
2人はこの食堂の人気メニューの唐揚げ定食とあなご天丼を食べていた。
「「あっ!」」
俺も席につこうと2人の元へ向かった時、
俺の後ろにいた香織と伊織が目を見合せ驚いていた。
「どうしたん、2人して」
「葵知ってるでしょ?私の従姉妹の話」
「あ〜そんな話してたな、」
「その従姉妹が伊織ちゃん」
「は?」
「名前聞いてなんにも思わなかったの?この狭い島に同い年で同じ「織」って漢字あるなって」
「なんか名前にてるとは思ってたけどさ」
「前話したのに、伊織ちゃんの話」
「ごめんて」
少しムッとした香織は俺の事など無視するかのように席に着いた。
「久しぶりカオ」
「もうしばらくあってなかったもんね」
「ね〜」
香織と伊織はずっとニコニコと微笑みあってこちらも見ていてどこか嬉しさを感じていた。
香織はアセビに感染してからも笑顔を見せてくれていたがそれでも時々苦しそうな顔をしていたから。
俺はメニューに目を通し香織にどれがいいか聞いたら唐揚げ定食と答えたので、店員さんに唐揚げ定食2つお願いした。
ここの唐揚げ定食は一つ一つが大きくて、
少し変わった衣で揚げられていて、それをもみじおろしとポン酢で食べる。
島の外から取材も来るほどの人気メニューだ。
「ところで、颯太。お前体調は?」
「だいぶ良くなってきたよ、今はもうアセビになっていたのが嘘みたいだよ」
「そっか、」
「大丈夫だよ、香織さん。俺達も協力するし、葵は香織さんのことになると本当に凄い奴だから」
ほんとこいつイケメンだよな、顔をそうだけど性格から滲み出る余裕?とか気取らない感じとか
他人への気配りが普通の人間のそれじゃない。
「それじゃ、そろそろ本題に行こうか」
お久しぶりです。今日からダレガタメニ再開+第二章の開幕です。
今回から、香織、夜の二人を加えた新体制で進んでいきます!ぜひ読んでいただけるとありがたいです!
それでは!




