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ダレガタメニ  作者: 猫宮いたな
学園戦争
19/40

昔話

「奏斗、こんな父親で悪いな。俺のせいでお前にも沢山迷惑をかけると思う。それでも、お母さん達だけは守ってやってくれ」


むかし、父親と交わした約束。

俺の父親は、街のチンピラでいつも夜になると街で喧嘩をしていた。

父親が家に帰ると必ずどこかケガをしていた。

それが見ていて辛かった。

でも朝になると必ず家に帰り俺たちのために時間を割いた。


父親のいた組織は、暴力的な組織が多い中、穏健派として、同士の喧嘩の仲裁などを多く行い、ほかの組織からの信頼を得ており、統治下の人間からも慕われるような組織だった。


警察も父親がいた組織には頭を下げ、一緒に酒を飲むこともある程だった。


しかし、俺の父親達はどこまで行っても、最後は街を暴力で守る人間の集まりでしかない。


父親の存在は良くも悪く有名で町の人たちは俺の父親を恐れ俺と友達になることを望む人はいなかった。


父親はいつもこう言った。


「俺は多くの人に恨みを買う道を選んだ。もちろんその責任は俺が背負うべきだ。でもそれが分からない人間はお前たちを狙うかもしれない。本当は俺が守ってやりたいが、必ずできるとは限らない。だからその時はお前が守ってやれ」


いつもおちゃらけ面白おかしいイメージの強かった父親が真剣に話したことだったから俺の記憶に深く残っていた。


俺はその日以降、多くの格闘技などを習った。

空手、柔道に合気道。剣道や、弓道まで

日本にある武術はほぼ全て学んだだろう。


父親のその言葉は憧れを目標に変えたのだ。

朝起きてトレーニング、学校の後は勉強と格闘技。夜になったら妹の世話。


元々友達なんていなかったから放課後の時間が潰されてもなんの苦にもならなかった。


そして、俺にはその手の才能があった。

どの大会でもほぼ必ず入賞するし、優勝回数なんて数え切れない。

いつしか俺は喧嘩なんてしたことないのに不良のヤツらにビビられるような存在になっていた。


でも、俺が力を使うのは大切な人を守る為だって決めていた。



高校に上がった頃俺は地元の進学校に進学した。

勉強は難しいがついていけないほどでもなかったし、その頃には友達もできた。


でも、ある日その友達がいじめられていることを知った。

原因が俺だと言うことも


俺はその日初めて自分の為に暴力を振るった。


友達が傷つくのが嫌だからなんて理由じゃなく、

俺から友達がいなくならないように、

俺の事を恐れて二度とこのようなことが起きないようにと、


案の定いじめを行っていたヤツらは即入院の大怪我を負った。

そのうちの一人は眼球が潰されて一生片目で生きていくことになったらしい。


俺も退学になるかと思ったが、友達の証言と普段の俺とヤツらの態度から俺の方が正しいと判断され、厳重注意と1ヶ月の停学で済んだ。


その1ヶ月、俺は考えていた。

俺の将来、憧れていた父親のようになれていたのかと、


今になっても時々そんなことを考える。

俺は憧れに少しでも近づけるように、多くの人に信頼されるためになんでも屋を始めた。


「俺をいつか親父みたいになりたいな」


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