ゆいこのトライアングルレッスンM【ゆいこ×ひろしの両片思い】〜 いつまでも、大人になれないわたし達〜
『ゆいこのトライアングルレッスンM』に投稿したものです!
毎日レッスン!最終日!!(*・ω・)ノ
付かず離れずな距離で、いつも一緒にいたわたし達。
毎年、義理だと言い張って渡したチョコレート。本命だと素直に気持ちを伝えられず、幾度もバレンタインは過ぎ去った。
気付けば、わたし達はもう、いい大人になっていた。
ひろしは、仕事でこの街を離れていた。
今日、3年ぶりに会う。
久々に、たくみと3人で集まった。
お酒を飲みながら、たわいもない話をする。
それは、塾の帰りみたいで居心地がよかった。
「ひろし、行かないで〜」
「ゆいこ、お前酔っ払いすぎだぞ!」
「酔ってないもん。ひろし〜」
わたしはどうやら、酔い潰れてしまったようで、気付いた時には段ボールが積まれた、知らない部屋のソファーにいた。
「ん……? ここは……?」
「俺の家だけど?」
ひろしが、わたしの顔を覗き込む。
「へっ……!? ここ、ひろしの家!?」
「戻ってきたって言ったろ?」
「ああ……」
「ゆいこがしがみつくから、仕方なく連れて来たんだからな?」
「えっ!?」
「ゆいこも油断しすぎ! 俺だって、そのぉ、一応男だからな!」
わたし、酔った勢いでひろしに!?
なんてこと!!
でも、誰にだってそんなことをするはずがない。
ひろしだから……、ひろしだから、なんだよ?
いい加減、わたしの気持ちに気付いてよ!
何年待たせるの?
たくみはもう、とっくに気づいてるよ?
わたしが、ずっとひろしを好きだってこと!
だから、この3年、たくみとは何もなかったんじゃない……。
口に出しそうになって、わたしは全ての言葉を飲み込んだ。
「水、持ってくるよ」
× × ×
たくみにとられたくなくて、ゆいこを連れてきてしまった。
でも、そんなこと言えるはずがない。
この3年、ゆいこはどうしていたのだろう。
やっぱり、たくみと……?
気になって仕方なかった。
でも怖くて何も聞けぬまま、飲み会はお開きになった。
ゆいこが寄りかかって「行かないで。ずっとそばにいて」と、甘えた声で言うもんだから、俺は動揺した。
でも、酔っ払いの言うことだ。
久々に会ったから、きっとそんなことを……。
自分にそう言い聞かせながら、俺は天然水のペットボトルに手を伸ばした。
× × ×
「ほれ、水」
「ありがとう……。あの……さぁ。わたし、そのぉ、なんか、変なこと言ってなかった?」
「へ、変なこと?」
「そのぉ、ひろしに……」
「な、なんも、言ってねーよ!」
「そう、なら別にいいんだけど……」
わたしとひろしの間に、沈黙が流れた。
気まずい。
「ひろし、あのね……。わたし、好きなの……」
「へっ……!?」
「……こっ、この、天然水がっ!!」
「お、おう。そうか……」
ペットボトルを握る手に力が入る。
ダメだ! やっぱり、言えない!!
「好きだよ……」
「へっ……!?」
「俺も、そ、その天然水……」
一瞬だけ、期待してしまった。
ひろしがわたしのことを好きだと。
× × ×
ゆいことひろしは、どうなっただろう?
帰り道、残念な俺を月明かりが照らす。
俺も、素直に言えばよかったのだろうか。
「ゆいこ、月が綺麗だね」と。
5日間、レッスンにお付き合いくださいまして、ありがとうございました!!
もはや、ゆいこ、ひろし、たくみは、みんなのものなのではないでしょうか?
それでは、また次回?
執筆することがあれば( ´ ▽ ` )ノ