表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/66

奴隷になった日②

 奴隷の首輪を付けられてからは、帝国の兵士が俺を拘束して連れていく。

 街に入る前に、兵士たちは、悪魔の子だと神敵だと言い石を投げて制裁するのだと叫びだす。

 俺の背中に悪魔の子と張り紙を張り、手枷を引かれて堂々と大通りを歩かされる。

 

待ちゆく人々は、五歳の俺を見て驚くもの、罵声を浴びせながら、石を投げつけるもの。

 打ち所が悪く、もし俺が倒れてしまっても、回復魔法で何度も起こされ。

 俺は、帝都まで歩いた。

 

 帝都に着いてからは、城の目の前で目隠しをされて。

今俺がいる地下のような場所に来ている。

 そこでは、俺が悪魔の子とされてから現在、一年間は何度も何度も魔物戦わされていた。

 他にも、実験で新種の毒物を何度も身体に注入され、俺を使って解毒薬を作ったり。

 

戦いで使うためなのかは、分からんが新しい兵器を作ったりしていた。

 そして、俺の耐久性を上げるためという理由で、何度も何度も拷問をされた。

 たまに仮面をつけた貴族服の人が来て俺を拷問していた。

 

 毎日のように、こんな日々を送っていくうちに、俺は強くはなっていた。

 だが、嬉しくはない。

 

なぜなら強くなればなるほど実験も魔物も拷問もどんどんエスカレートしていくからだ。

それが今現在、今日までの一年間だ。


そして、いつも通り今日も朝から拷問が始まる。

 今日は…………貴族の人か。

 また、腹いせか何かに来たんだろう。

 

 そこからは日ごろの愚痴を言いながら。

 俺を思いっきり、蹴ったり殴ったりする。

 暫くすると、すっきりしたかのように帰っていった。

 

 今の俺は奴隷だから、ずっと倒れていると余計に拷問が続いてしまう。

 だから、早く起き上がらなければいけない。

 

 「ぐっ…………げほっ、げほっ」


 「おい、なに許しもなく咳き込んでんだよ。おらぁっ!」


 「うっ…………」

 

 朝起こしに来た、傭兵のギルが俺の腹に思いっきり、木剣を叩きつける。

 毎回こんな感じだ。

 許しもなく、咳やくしゃみさえも、させてはもらえない、それが、今の俺の日常だ。

 

 拷問が終わったら、次は闘技場まで連れていかれて魔物との戦いだ。

 地下には、闘技場の様な少し広い空間がある。

 俺はそこで、毎日魔物と何体かと闘う。

 昨日はエンプーサ三匹とレッサーウルフ十匹だったか。

 

 エンプーサは、カマキリが大きくなったみたいな魔物で、大きな鎌を巧みに使い。

 近接戦闘を得意としている虫系の魔物だ。

 

レッサーウルフは、この世界の狼の魔物だ。

 群れの連携がうまく、獲物を取り囲んで一斉に噛み殺そうとしてくる。

 

 俺がボロボロの装備を手渡され剣と盾をもって闘技場の中央に着いたところで門が開く。

 中から、いつもとは違う大きな魔物が出てくる。

 

今日は二匹の魔物だ。

 出てきたのは、二メートルは超えているであろう、赤い毛皮をした熊の魔物。

 

 こいつは、初めて見るな。鑑定するか…………レッドグリズリーって言うのか。

 なるほど、火力と耐久力が優れているのか。

 

 単純に納金やろうってことか。

 正直油断でもすれば、一気に持っていかれるだろうが、勝てないことはない。

 

 殺すのは難しくない。

 

 レッドグリズリーとの戦いは、苦戦はしたが、長い時間をかけてなんとか勝つことができた。

それが終わると実験室で、手足を縛られてその日の実験が始まる……これが俺の一日の流れだ。


 できれば楽なのがいいけど、今日はなんなのか…………。

 そういえば、今日の戦闘でのスキルの成果はどんな感じかな。

 鑑定で見てみるか。

 

 名前  カリル

 種族  人間  


 スキル

 鑑定 改竄 思考加速 状態異常耐性 苦痛耐性 体力自動回復 忍耐

 気配感知 

 

 忍耐が増えているな。

 これで、まだ生きることはできそうだ。

 

 少し時間がたつと、実験室にいつもの、白く長い髭を生やした糞爺が入ってきた。

 今日はいつもの様に実験用の薬品は持ってきていなかった、その代わりに青く光る水晶の様な球を持っている。

 

 あれは…………なんだ?

 見たこともないけど、平気かなんかの実験か?

 もしそうだとしたら正直殺してほしいな。

 まぁ、殺してくれないと思うけど。

 この奴隷の首輪のせいで死ぬことさえもできない。

 本当に最悪だな…………取り敢えず鑑定をしてみるか。

 

 神級 リヴァイアサンの宝玉。

    リヴァイアサンの魂が封じ込められてある。

 

 まじかよ、初めて見た神級の道具。

 だけど魂が封じ込められているって、いったいこいつを何に使うんだ?

 まさか実験でこいつを埋め込むんじゃないよな?

 さすがに…………いや、しかねないな。

 この糞爺なら、笑いながら俺に埋め込む。

 

 「さぁ、今日は少し変わった実験だ。この宝玉の中身をお前に埋め込む」

 

 そう言って、俺に不敵な笑みを向けてくる糞爺。

 嬉しそうに宝玉を撫でながら近づき準備を始めていた。

 

 やっぱり、か。

 今度は、魂を埋め込むと…………ふざけやがって!

 なんで、なんで、なんで!!

 俺がこんな目に合わなきゃいけないんだよ!

 何もしていない、ただ生きていただけだ!

 あの糞神が…………俺は、ただ、ただ……。

 

 俺の気持ちなど知りもしない、糞爺は準備ができたのか

大量の麻痺薬を俺の口に直接流し始める。

 耐性がある俺は、完全に麻痺するまで時間がかかる為、五分ぐらい飲まされた。

 

宝玉を手に持ち、詠唱を始める。

宝玉からはどんどん綺麗な青色の水が出てきた。


それは一人でに、俺の胸の中に入っていき、見えない糸で優しく包み込まれている感覚に近い。 

  その瞬間俺の意識は途切れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ