〜衝撃の事実〜
ユレンはエルフの里に着く。
里の周りは高い外壁に囲まれ、里の中の入り口には見張り塔が見えた。
見張り塔にいるエルフが気づき門を開け1人こちらに来る。
「3人とも無事でよかった」
見張りの人が言う
「ありがとう、長老に話すことがあるから君はこの少年達と一緒にいてくれ すぐ戻る チェルシーもついて来なさい」
ロイツはそう言うと、チェルシーを連れ足早に去っていった。
しばらく待つとロイツが戻ってくる。
「長老が会いたいそうだ、里の中に来てくれるかい?」
どうやら大丈夫だった様だ。
「わかりました」
ユレンは里の中に入る
中は大きな木がたくさんありそこにツリーハウスを建てて暮らしている様だ
たくさんの好奇の視線がユレンに寄せられる。
「緊張するなぁ……笑」
そう呟くと、今まで注目される事がなかったユレンは慣れない視線に居心地が悪くなり苦笑した。
「ワン!」
ハヤトは元気づける様にユレンに吠えた。
ロイツが一際大きい家の前に止まった
どうやら着いたみたいだ。
「長老は気さくな方だそこまで緊張する必要もない、中にチェルシーとアイリス、私の妻エサラもいる、あと私も同席するから安心してくれ」
ロイツが振り返りそう言った後家の扉を開けた。
「今から偉い人のお家に入るからハヤトは中に入っても大人しくしててね」
「ワン!」
ユレンにそう言われハヤトは了承した。
ユレンはお邪魔しますと言い家の中に入った
ロイツに居間へと案内された。
お茶が置かれたテーブルが真ん中にありそこに居たのは左にチェルシー、向かい側にはロイツの奥さんであろうエサラ隣にアイリスが行儀良く座っている、上座には白い髭を生やした老男のエルフが椅子に座っていた。
「こちらに来なさい」
老男のエルフは優しい口調でユレンに手招きをした。
ユレンは席につく、その隣にハヤトはおすわりした状態で待機した
ロイツも奥さんの隣りに座る。
「初めましてワシはここの長老、名はセネクスじゃ、よろしく頼むのぉホッホ」
セネクスは微笑みながら挨拶をした
ユレンも返す
「初めまして、ユレンと申します、銀狼の名前はハヤトです、お招き頂き光栄です」
「チェルシーとアイリスの母エサラです、この度は娘達を助けて頂き本当にありがとうございました」
続けてエサラの挨拶が終わった
エサラはプラチナブロンドのボブカットの髪で顔はチェルシーに似ていた。
「お兄ちゃん助けてくれてありがと!」
アイリスは家に着いてしばらくしたら目覚めたらしい、外傷もなく無事で良かった。
「さて、大まかにはチェルシーから聞いておるが、詳しくユレン君から聞こうかのぉ」
ユレンは森での道中とチェルシーとの出会いを語った。
「ふむ、なかなか興味深いのぉ……まずユレン君からただならぬ力を感じるわい」
セネクスは長年生きた感からか、ユレンをそう評価する。
「チェルシー、魔力水晶を持って来なさい」
「わかったわ、おじいちゃん!」
セネクスがそう言うとチェルシーは居間から出て隣の部屋から水晶を持ってきた。
「あ、それ俺も持ってます」
それを見て同じような物を持ってたなとユレンは思い出しアイテムボックスから水晶を取り出して見せる
中に0の数字が浮かぶ全く同じ水晶だった。
それを聞いてユレン以外の人が目を見開く
「それは何ともすごい……アイテムボックスも持っとるのか……」
どうやらこの水晶とアイテムボックスはアーティファクトで大変高価な物で滅多にお目にかかれない様な品だそうだ。
(アイテムボックスの中にまだそれっぽいのいくつか持ってるんだよなぁ……)
話に収集がつかなくなりそうだから言わないでおくことにした。
「それで水晶の数字はいくつになっていたんじゃ?」
セネクスがユレンに尋ねた。
「1500万……」
ユレンがそう答えると
「な、なんじゃとッ!!」
「ありえん……」
「あらまぁ」
「え?それマジで?」
「お兄ちゃんすごーい!」
5人がそれぞれ驚愕していた
「クゥン?」
ハヤトは周りが騒がしくなりどうかしたのかと首を傾げた。
「そもそも人には魔力を内包するのに限界があるんじゃヒューマンでワシが知る限り最高で10万、ワシらエルフは魔法に長けていて皆長寿じゃから最高でも倍の100万くらいかのう、お主本当にヒューマンかえ?」
セネクスの話を聞いてユレンは驚いた。
自分は人を辞めてしまったのか不安になった
ユレンは心当たりがあるのでセネクスに聞いてみた
「実はファブリシア王国に住んでいたんですが冒険者の荷物持ちに雇われてその依頼途中に、黒い大きな狼に襲われて高濃度な魔力水の湖に落ちまして……それから」
「ん?ファブリシア王国?そこは確か80年前に帝国との戦争に負けて吸収されたはずだぞ」
話の途中でロイツが言った
「へ?」
ユレンはポカンと口を開けてフリーズした
暫しの沈黙の後に聞く。
「……今アルファナ歴何年ですか?」
「今アルファナ歴810年よ!」
それにチェルシーが答えた。
ユレンは自分が長い夢でも見てるんじゃないかと思い自分の頬を抓る
それはそうだ、湖に落ちて目が覚め起きたら80年の時間が過ぎていたのだ、自分の体はその時から成長していないのもおかしな話だった。
ユレンは混乱していた
「クゥン……」
ハヤトは心配そうにユレンを見る
ユレンの姿を見てセネクスは言った。
「少し休憩するかのぉ、ユレン君も混乱しておる様だし続きを話しても話の内容が頭に入らんじゃろうて」
「わかりました隣の部屋に案内してします」
ロイツが立ち上がりユレンを案内する
ユレンとハヤトはロイツに付いて行くのだった。
ユレンはハヤトをもふりながら考え始める
(どうしようこれから……冒険者にでもなろうか? 幸いにも魔法を覚えたからできない事はない……あとは背は伸びてるから一生この姿のままとかは無さそうだな……ヴァンパイアと間違われて討伐隊を組まれる心配事とかは大丈夫か)
ハヤトは気持ち良さそうに寝そべっていた。
コンコンと部屋の扉からノックの音がする
「ユレンいる?」
チェルシーの声だった
「大丈夫?もう少ししたら話しを…」
ゴーンゴーンと話の達に急に外から鐘の音が響き出す
「何か異常事態だわ……ユレンはここで待っててお父さんに聞いてくる」
チェルシーは足早に去っていった。
ユレンは何か不吉な事でも起こったかと心配になる、ハヤトは相変わらず呑気に気持ち良さそうに寝そべっていた。
次回vsオーガ戦