〜エルフとの邂逅〜
書いていきますー
「ロックバレット!!」
最後のウツボカズラ型のモンスターイビルプラントを倒し終える。
「ふう、森の奥に進むにつれて敵に遭遇しやすくなってるなぁ……」
そう呟くと休憩に入る
ハヤトを仲間にして数日は経っていた。
「ハヤトもお疲れ様」
「ワンワン!!」
ハヤトが嬉しそうに尻尾を振る
ハヤトは速い移動スピードと敵に噛み付く攻撃を得意としユレンの貴重な戦力になっていた。
「少し休憩したら出発しよう」
ユレンはハヤトにそう言うとアイテムボックスからビーカーを出しクリエイトウォーターを発動させて水を飲む
飲み終えるとハヤトにも同じように飲ませる。
「クゥン?」
水を飲んでるハヤトが何か異常に気づく
「ワン!!」
「ん? どうしたハヤト?」
ユレンは首を傾げた。
「ワンワン!!」
ハヤトはユレンの服を引っ張りる
どこかに連れて行きたい様だった
ユレンはその事を悟る。
「わかった、わかった……そっちに何かあるんだな?」
ユレンはハヤトに言う
「ワン!ワン!」
ハヤトは尻尾を振りながら吠える
どうやら正解みたいだ
ユレンはハヤトの後について歩き出した。
「ガルルゥ」
ハヤトが唸る
唸るのは敵が近い時の合図だった
ユレンは足音を殺し慎重に進む
少し開けた場所が前方に見え木陰に隠れ様子を伺った。
「ハイオーク?」
そこには2匹のハイオークがいた。
「何かを担いでる?……あれは……人だ!」
よく見ると肩に人であろう女性を乗せていた
ハヤトはどうやらこの事を伝えたかったようだ。
「よし、助けよう」
続けてユレンは作戦をハヤトに告げる。
「人を担いでるハイオークに一撃入れるから、ハヤトは女の子の奪還を頼む、奪還したらそのままその子を守ってくれ」
「ワン」
ハヤトは了解と言ってるのか小さく吠えた。
「ウォーターバレット」
女の子を担いでるオークの後頭部目掛けて水の弾丸を放つ
後頭部に衝撃を受けたハイオークは脳震盪を起こし倒れ込む
すかさずハヤトが女の子の服の袖を噛みユレンの方に引き寄せた。
「ブモ!ブモォ!!」
もう1匹のハイオークは怒りながら手に持ってる棍棒を掲げユレンの元に走ってくる。
「水滴散弾」
中位水魔法を発動させる
ハイオークの体の所々に穴が開きハイオークは死ぬ
最後に脳震盪で倒れたハイオークの首に短刀を切りつけトドメを刺した。
「ハヤトもありがとう」
「ワン!」
周りには倒したハイオークしか敵はいなかったようだ
続いてユレンは助けた人の容態を見る事にする そしてある事に気づいた。
「耳尖ってる……?この人エルフじゃないか!」
それはプラチナブロンドをポニーテールで纏めワンピースを着たエルフの幼女だった。
ユレンはファブリシア王国に暮らしていた時に遠目でエルフの冒険者を見た事がある。
「助けたはいいがどうしようかこれ……?」
「クゥン?」
ユレンとハヤトは途方に暮れる
その時ユレンの足元に矢が刺さった
ユレンは驚き後ろに下がる。
「私の妹をどうする気よ!!!」
声がした
木の上を見るとそこに居たのは弓を構えたプラチナブロンドの髪をサイドテールで纏め瞳の色は緑、茶色のレザーアーマーを着たユレンと同じ年齢くらいに見える女の子だった。
「ご、ご、誤解だよ!!」
「ハイオークに捕まっていたのをさっき助けたんだ!!」
ユレンは慌てて誤解を解こうとする
エルフの女の子が転がっているハイオークの死体を見て状況を推察する。
「んーー……どうやら嘘は言ってないようね」
「ごめんなさい私も頭に血が昇ってた、今そちらに向かうわ」
エルフの女の子が木から飛び降りる
まだ少し警戒しながらもユレンに近寄る
エルフの女の子は気を失ってる妹に近づき容態を確認しほっとする。
「どうやら気を失ってるだけみたいね……」
エルフの女の子は続けてユレンに問う。
「あなた何者?」
ユレンは答える。
「俺の名前はユレン、んでこっちの銀狼が俺の仲間でハヤト」
「ワン!」
ユレンは自分とハヤトの名前を告げ今までの道中の事を話した。
「話しの内容が凄すぎて嘘くさく感じるけど……嘘ならもっとマシな嘘を吐くか、まぁ悪い奴には見えないわね、ていうかあんたそれが本当ならよく生きてられたわね笑」
エルフの女の子が苦笑する。
「そういえば私の自己紹介がまだだったわね」
「私の名前はチェルシー 見ての通りエルフよ」
「気を失って眠っているのが妹のアイリスよ」
チェルシーは左手を前に出す。
「よろしくチェルシーさん」
そう言うとユレンはチェルシーと握手をした。
「ハヤトもよろしくね!」
続いてチェルシーはハヤトの頭を撫でる
「ワンワン!」
ハヤトは元気よく尻尾を振り返事をするのであった。
ユレンはこれからどうするのかチェルシーに聞く
「妹を連れて里に帰るわ」
そう告げたチェルシーにユレンは言う
「まだ妹さんは寝かせておいた方がいいと思うし護衛も兼ねて、よかったら近くまで送ろうか?」
チェルシーは言う。
「助かるけど……いいの?」
ユレンは答える。
「気にしないで! 道中聞いておきたい事もあるしね! ハヤトもいいだろ?」
「ワン!」
ハヤトも快諾し里の近くまで送って行く事になった
チェルシーはアイリスをおんぶする
里に向かう途中にユレンがチェルシーに聞く。
「ここはそもそもどこなんだい?」
チェルシーが答える。
「この大森林はエヴァーグリーンと言われてるわ」
「かなり広い森でいくつかのエルフの集落があるわ、ヒューマンは滅多に見かけないわね、あとは精霊が住む森と言われてる、この森に住むエルフはどこもユグドラシルと言う世界樹の精霊信仰をしているのよ」
チェルシーから説明を聞きながら進む
途中にゴブリンや鷹のモンスタートロキアスと闘うが問題なく勝つ。
(あの湖からどうやってここまできたのか全然予想がつかない)
チェルシーから色々とと教えてもらいながらユレンは思慮に耽るのだった。
しばらく歩くと前方から誰かが近づいて来た。
「チェルシー無事か!!」
「お父さん!!」
どうやらチェルシーの父親みたいだ。
「まったく帰ってくるのが遅すぎて心配したぞ……」
「少し目を離したらアイリスがふらふらどっかに行っちゃって探してたの……」
チェルシーの父親は更に聞く
「こちらの方は誰だ?」
チェルシーの父親は少し警戒する。
「この人はアイリスが危ない所を助けてもらったの!」
ユレンはチェルシーの父親に挨拶をする。
「初めましてユレンです、こっちの銀狼はハヤトって言います」
「ワン!」
ハヤトも挨拶をする。
「警戒してすまなかった、どうやら私の娘たちが世話になった様だな」
チェルシーの父親の言葉にユレンとハヤトは言葉を返す。
「当然の事をしたまでです!」
「ワン!」
「本当にありがとう、私の名前はロイツとりあえず詳しい事は里に着いてから話そう」
「ユレン君もついて来なさい」
ロイツさんがエルフの里に招いてくれる様だ。
「いいんですか?」
ユレンが再度尋ねる
その言葉にチェルシーが答える。
「お父さんは長老の息子だから長に事情を話せばきっと大丈夫よ!」
チェルシーの言葉にしばし考えユレンはついて行くことにした。
「わかりました、よろしくお願いします」
ユレンの言葉にロイツは頷く。
「では行こうか、アイリスは私が抱えて行こう」
こうしてユレンはエルフの里に向かうのであった。
次回はエルフの里編
ユレンの身に何が起こってるのかわかりますー