〜そして仲間になる〜
どんどん行きますで〜
「ワオォォォォーン!!」
ユレンは咆哮のする方に身を屈めゆっくり迫る
少し行くと開けた場所がありその前の草むらで様子を伺う。
そこにいたのは毛並みが銀色の子供の狼がいた
その周りには武装した豚人が3人いた
オークは下卑た笑みを浮かべて子狼を蹴る
「……キャンッ!!」
子狼は衝撃で転がり口から血を吐く
かわいそうだがオーク3人はリスクが高いと思いこの場を去ろうとする
転がってきた子狼と目が合う
「クゥン……」
その目を見てユレンは逃げるのをやめた
たとえリスクが高くても助けを求められた子狼を見殺しにする心を持ち合わせてなかった
そうと決まれば作戦を考える
自分の存在は気付かれてない為まずは奇襲で確実に1人殺す事を考えた
考えが纏まったユレンは行動に移す。
風の中位魔法を唱える
「疾風の斬撃群」
子狼に追い討ちをかけようとしたオークが細切れになる
「ブモォォ!?」
いきなり絶命したオークを見て近くにいた1匹のオークは慌てる
次に下位土魔法を唱える
「落とし穴」
そしてユレンは慌てたオークの足元に落とし穴を作り動転して気づかないオークは見事落とし穴に落ちた
最後の1人のオークに居場所を特定され片手斧を掲げて襲いかかってくる
ユレンは草むらから出てオークと対峙する
火の中級魔法を唱える
「蜃気楼の姿見」
熱で空間が揺らぐ
そしてユレンは3歩後方に下がる
オークはユレンに向けて斧を縦に振る
だが斧は空を切りオークは足をもつれさす
オークが切ったのは蜃気楼で作られたユレンの幻だった
蜃気楼で作られたユレンが消え後ろに控えてたユレンは隙をついてオークの喉笛に短剣を突き刺した。
死んだ事を確認し落とし穴に向かう
下位の水、土魔法を発動
「水生成」
「岩生成」
落とし穴いっぱいに水を注ぎ岩で蓋をしオークを溺死させた。
「ふぅ……やればできるもんだな」
そう呟くと子狼の元へ向かう
子狼はぐったりしていた
血の匂いに釣られてまたモンスターがやってくるかもしれないので、子狼を抱き移動する
夕暮れになる
大きな岩を見つけ横穴があったので今日はここで夜を迎える事にした
アイテムボックスから植物図鑑を取り確認しなごら薬草になりそうな草花と薪になりそうな木を探すユレン
「お! あったぞ!」
薬草と薪を見つけ横穴に戻る
部屋から持ってきたビーカーをアイテムボックスから出し薬草と魔法で出した水を入れ薪に火をつける。
程よく煮詰まったらビーカーを取り冷ます
モンスターがやってくるかもしれないので火は消した。
冷ました飲み薬を子狼に飲ました
徐々に子狼は回復し始め眠りについたのであった
ユレンは部屋から持ってきた非常食を食べる
そして日が沈み夜になる
寝てる間に襲われない様倉庫にあった匂い消しを体に塗す対策をし寝ることにした
アイテムボックスから毛布も取り出す
幸いにも気温は寒くも暑くもなく気温は快適だった。
朝を迎える
「ペロペロ」
何かが頬をくすぐる
「んー……くすぐったい……」
更に激しくなる
「ペロペロペロペロペロペロ」
「やめぇぇい!!」
ユレンは起き上がった
どうやら昨日助けた子狼が頬を舐めていたようだ。
「ワンッ!」
子狼はすっかり元気になった様だ昨日の薬が効いた様でユレンもホッとした
起きたのは朝日が出てくる時間帯だった
今日も一日探索するために二度寝せずユレンは朝食を摂る
子狼にも干し肉を与えた
子狼は美味しそうに干し肉にかぶりつく、ビーカーに水を入れ飲み一息つく
「お前どっか行くあてあんのか? 親はいないんか?」
「ワン!」
子狼に問うが返事が返ってくるはずもない
そのうちどっか行くだろと思いつつユレンは支度を始めた
支度を終え出発する
子狼はまだそこに居た、ていうか付いてくる気満々だった
どうやら懐かれた様だ
「……一緒に来るか?」
そうユレンが言うと子狼は嬉しそうに尻尾をブンブン振り回し頬を舐める
「名前決めないとな」
ユレンは名前を考える
しばらく考えたのち部屋にあった本に東方の国に伝わる童話を読んだのを思い出す
そこに出てくる忠犬の名前が"ハヤト"だった。
「よし、今日からお前の名前はハヤトだ」
「ワン!クゥゥン」
嬉しいのかハヤトはより一層尻尾を振り回しながら何度もユレンの頬を舐めるのであった。
そしてユレンは最初の仲間ハヤトと共に森の深くを目指しまた歩き出す。
次回はハヤト回にします!