〜旅立つ少年〜
深緑の森編に突入しました。
ユレンは2ヶ月近くを本を読む事に費やした。
下位 中位の火、風、水、土魔法を習得をした
平行して歴史書や図鑑、魔法の論文などを読み知識を増やしていった。
食料が尽きかけようとしている
ユレンはそろそろ外に出ようと決める
だが外に繋がる出口が見つからない
川の上流は岩と岩の間から水が流れているだけだった
下流は川の水が溜まる池があり水中に潜ってみても抜け穴の類いは見つからなかった。
ユレンはふと思い出す
読んだ本の中に転移魔法の事について書かれていた本があった
そこには転移魔法陣に魔力を流したら対になる指定した魔法陣に転移できると書いてあった事を
「倉庫部屋の奥に魔法陣が確かあったよな……」
そう呟きユレンは魔法陣のある倉庫に向かった
魔法陣の前に着くと試しに魔法陣の上に立ちユレンは魔力を流してみた。
魔法陣が光出した
光の眩しさに思わずユレンは目を瞑る
目を開けるとそこは知らない空間だった
(まだ洞窟の中か……)
このまま転移で外に出れると思ったユレンだったが、目論みが外れ気分を落とす
気を持ち直し魔法陣の後ろに続く道を歩き始めた。
しばらく歩くと扉があった
扉の隙間から光が差し込みやっと外に出られるとユレンは喜ぶ
扉を開け日光が眩しくユレンの視界を奪う
目が慣れ外を見渡すとユレンは唖然とする
「森……しかない……ハハハ」
顔を引き攣らせ苦笑いをする
扉を開けたら小山の頂上に出て、そこから見える景色は辺り一面深緑が敷き詰められている広大な森だった。
(……とりあえず一旦部屋に戻ろう)
この広大な森に入るのに何の準備もしないで行くのは無謀だと思いユレンは転移魔法陣の所に引き返すのであった。
倉庫部屋に戻ってきたユレンは早速準備に取り掛かった。
まずは武器を選ぶ
「んー、これが1番しっくりくるかな?」
ユレンは銀色の短剣を手に取り腰に下げた
ロングソード ハルバード 盾 弓などは自分には扱いが上手くいず持て余すと考えた。
そして次にサイズが合う革鎧に丈夫なズボンに着替えてブーツ履く。
次に薬草や骨董品を見ていく
骨董品の中にあった袋を広げ薬草を入れてく
何の効果があるかわからないが、ないよりはマシと思い至った。
袋の中に薬草を詰めるが袋の中はいっぱいにならない
その袋はアイテムボックスであるとユレンは気づく
そうと分かればユレンは片っ端から倉庫にある物や書物を袋に入れて行った
装飾が綺麗な開かない箱を手に取る、ふとその装飾をよく見ると魔法陣が掘り込んであった
ユレンは転移魔法陣と同じ要領だと確信し箱に魔力を流した
ガチャリと言う音の後蓋が開き、中には銀製の鍵が入っていた
(この鍵はたぶんあの扉の鍵だよな……)
そう思い魔法陣の隣にある開かずの部屋の鍵穴に鍵を差し込み捻る
「ガチャリ」
鍵が解錠される手応えを感じ開かずの間に入り込んだ
「うわぁぁぁ!! 骸骨ぅぅぅ!!」
そう叫びユレンは尻餅をつく
そこにあったのはボロ布を纏い椅子に座った人の骸骨だった。
気持ちを落ち着かせ椅子の下にボロボロになった紙が落ちているのを見つけ恐る恐る手に取り読む
[闇魔人 7 侵 精神 が ロ 大 長
ません 自 死 す 光 子
すぐ近くに ]
所々劣化して文字は読み取れない
この人はここの住人で死の間際に誰かに何かを伝えたく、手紙を残したのだろうとユレンは考えた。
思えばここに残された物に助けられ、外に持ち出すのでこれからも助けられるだろう
そう思うと骸骨を連れ地下に行き埋葬し墓を作る事にした。
感謝の気持ちと共に墓に手を合わせる
そして部屋に戻り準備を終わらせ転移魔法陣に魔力を込めこの場所を去った。
小山を降り森に入る
植物の匂いが充満し、鳥の鳴き声も聞こえる
(モンスターも豊富にいそうだな……)
そう思いユレンは周りを警戒しながら進む
北西にある山に向かって歩くことにした。
しばらく歩くと草陰から何かが飛び出してきて奇襲を受ける
紙一重でそれを躱し体勢を立て直しユレンは敵を視界に捉えた
それは木の棍棒を持ったゴブリンだった
奇襲に失敗したゴブリンは奇声を発し、仲間を呼び寄せる
木の木陰や岩の裏からゴブリンが4匹現れた
ユレンはゴブリン達にすでに囲まれていたのだった
最初に奇襲したゴブリンが棍棒を振り回し襲いかかってくる
周りのゴブリンは人数が有利、しかもユレンは子供で弱そうに見えるので余裕綽々とニヤニヤ笑っていた。
「その余裕いつまで続くかなッ!! オラ!! ファイアボール!!」
ユレンはゴブリンの顔目掛けファイアボールを放つ
魔法に驚き立ち止まってしまったゴブリンは顔にファイアボールを受け苦痛に悶える
ユレンはその隙を逃さず首に短刀を刺すのであった。
最初のゴブリンが絶命し、周りのゴブリンの笑みが消える
すぐにゴブリン達は一対一では手間取ると考え連携をとり一斉に襲いかかる作戦に代える。
「グギャギャ」
1人のゴブリンが合図を出しそれに合わせて残りのゴブリンが迫ってきた
ユレンは中位魔法を唱える
「岩針の串刺し処刑」
ユレンを軸に地面から石でできた鋭利な棘が次々と湧き出る
ゴブリン達は纏めて串刺しにされ一瞬で死を迎えた。
「ふぅ……何とかなったか……」
ユレンは安堵の息を吐く。
魔法を放つには必要となる魔力を体内の丹田で練りそれを術式に乗せて初めて魔法が発動する
下位魔法は少ない魔力量で練る事も簡単なので魔法が発動しやすいが、中位になってくるとその工程がシビアで複雑になってくる
上位を発動できるのは一流の魔術師とされ、王宮魔術師や様々なギルド、大型傭兵団などひっきりなしに勧誘されるのが世の常である。
歩いているとワールウルフ、グルラージドードー、イビルプラントなど下位モンスターと戦闘になるが問題なく倒す。
「少し疲れたなぁ」
そろそろ休憩しようと思った矢先、狼の咆哮が近くで聞こえた。
次回最初の仲間ができます。




