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蒼ノ英雄譚 〜最強旅団の魔滅記録〜  作者: 暁
第1章 深緑の森編
14/28

〜次の冒険へ〜

ユグドラシルからの報酬を貰いユレンは授かった力を試す為に里の外へ出る。


「ハヤトも来るか?」


ユレンはハヤトに同行するか聞く。


「もちろん行くよ!」


ハヤトは尻尾を振り元気よく答える。


ユレンとハヤトは森をしばらく歩く。


「ここら辺にするか」


森の広い所に出てユレンは魔法を試すことにする。


先ずは樹の生成を試す。

魔法を詠唱する。


樹木生成(アルベロ)


地面から苗が出て、みるみる成長していく。

ちょうど1匹のゴブリンとエンカウントしたので、生成した樹を操作してみる。

魔力を操るユレン、すると樹の幹がゴブリンを絡めとり拘束した。

驚くゴブリンにユレンはさらに樹に魔力を込める。

すると樹の拘束は次第に強くなり、幹はゴブリンの骨を粉砕しゴブリンは絶命した。


「すごいなこれは」


ユレンは魔法の効力に驚く。


そして樹へ魔力の供給を止めると、樹は一瞬で枯れ消える。


「なるほど……これは戦いの幅が広がりそうだ」


「すごいね、こんなの見たことないよ」


ハヤトも絶賛していた。


次に義手に魔力を込め木剣を作る。

見た目は無骨な木剣だが異常な硬さなのは見てとれた。

試しに適当な樹を切ってみる、樹には鋭い切り傷ができていた。


「確かに切れ味は抜群だな」


ユレンは満足気に言う。


「とりあえずこんなもんか、ハヤト帰ろう」


「わかった!」


満足したユレンはハヤトと共に里に戻った。


里に戻りユレンとハヤトはセネクスの家を訪ねた。

ロイツに剣術を教えてもらおうとユレンは考えていた。


(今後も強い敵と遭遇しないとは限らない……)


ジェネシスとの戦いは運がよかっただけだとユレンは思っていた。


今後あの様な悔しい思いはしたくないと思い、ユレンは本格的に剣術を学ぶ事にした。


玄関の扉をノックするとチェルシーが出てきた。


「あらユレンとハヤト、どうしたの?」


唐突な訪問をチェルシーは不思議に思う。


「てッ! 右腕が元に戻ってる!?」


チェルシーほユレンの右腕が元に戻ってる事に気づき驚愕する。


「あぁ、そういえば説明してなかったわ笑」


ユレンはチェルシーの当然の反応に苦笑した。


ユレンは事のあらましを説明する為にチェルシーにセネクスとロイツも呼んできてもらう。


「とりあえず上がって」


そう言うとチェルシーはユレンを居間に案内した。


しばらくして全員集まる。

ユレンはユグドラシルから授かった力について皆に話した。


「……ユグドラシル様に力をのぉ……その腕を見たら信じるしかないわい」


「それが義手とは本当に本物の腕と見分けがつかんな……」


「世界樹魔法とかいいなぁ……樹を生やすとかどんな力よ」


セネクスは感慨深く、ロイツは興味津々で、チェルシーは呆れながらそれぞれ呟く。


「主、僕が指定した人にパスを繋げて僕とお話しできるようになるんだけど、3人にパスを繋げていいかな?」


そうハヤトはユレンに聞く。


「んー、とりあえず聞いてみるよ」


ユレンはハヤトに答える。


「ユレン、ハヤトと何喋ってるの?」


チェルシーは不思議そうにユレンを見る。

第三者からみれば人と犬が会話してる様にしか見えない、普通の人は犬の言葉などわからないのだから。


「えーと、パスを繋げるとハヤトと喋れる様になるんですけど3人にハヤトが繋げていいか聞いてます」


ユレンは困った顔をして聞く、側からみれば何言ってんだこいつと思われると思ったからだ。


案の定3人は戸惑った反応をした。


「それもユグドラシル様が与えた力かのぉ?」


察しが良いセネクスはユレンに問う。


ユレンは頷いた。


「ならそのパスとやらを繋げて貰おうかのぉ」


セネクスは微笑みながら言う。


「そうですね、今更ユレン君が何かしら私達を陥れようとは考えられないですし、私もお願いします」


ロイツもパスを繋げて大丈夫な様だ。


「私もハヤトと喋りたい!!」


チェルシーはノリノリだった。


「ハヤト、皆から了解を得たぞ」


ユレンはハヤトに言う。


「わかった! えい!」


ハヤトは目を瞑り3人にパスを作り始める。しばらくするとハヤトの目は開く、どうやら終わった様だ。


「やぁ、僕の言葉がわかるかい?」


3人は驚愕する。


「まさか長年生きてきたが狼と喋れる様になるとはのぉ」


「いやぁ、私はもう驚き慣れました……」


「すご!!」


「ははは、改めてよろしくね!」


ハヤトは3人それぞれの反応を楽しんでいた。


「あとでたくさんお話ししようね!」


チェルシーは目をキラキラさせて言う。


「もちろん!」


ハヤトは嬉しそうだ。


「里の者達にもできるだけパスを繋げてあげてくれ、里の英雄じゃ、皆もさぞかし喜ぶじゃろうて」


ネクサスはハヤトに頼む。


「もちろんだよ!」


ハヤトは快諾した。


次にユレンはロイツに剣術の指導をお願いする。


「ふむ、私は構わないが剣術とは一隻一丁で身につくものではない、かなりの時間はかかるがそれでもいいのか?」


ロイツはユレンに問う。


「それでもお願いします」


ユレンは真剣な顔で言う。


ロイツはユレンの真剣な顔を見て微笑み頷いた。


「並行して魔導の心得の習得もしていきたいです」


ユレンはセネクスに言う


「いろいろあったが、まだ途中じゃからのぉ、任せるのじゃ」


セネクスは気合充分でそうユレンに言った。


話し合いは終わりユレンは家に帰る。

ハヤトとチェルシーは談笑中で遅れて帰る様だ。


こうしてユレンは当面の目標に全力を注ぐのであった。





〜それから2年の歳月が過ぎる〜 





ユレンは座禅を組みながら魔力操作をする。


「ホッホ、だいぶ魔力の操作がうまくなったのぉ、無駄が全然ない」


セネクスは満足気にユレンに言う。


ユレンはすでにに魔導の心得を習得していた。

魔法の威力、魔力操作が上達していた。

精霊王のローブを着ている今では下位の魔法も洒落ににならない威力へとなっている。


そして、セネクスから座学や簡単な薬の調合を教わり知識を更に増やして行った。


「足音を極限まで消して、森と同化する様な感じで」


チェルシーからは狩りの仕方、倒したモンスターの素材の剥ぎ取り方法をハヤトと共に教えてもらった。


ロイツから剣術の基礎を学びそれを応用し、ひたすら模擬戦の日々が続く、始めた頃はロイツにボコボコにされたがここ最近はなかなかいい勝負ができるほど上達していた。


「ふ、なかなかやる様になったなユレン君」


ロイツは剣を袈裟がけからの突きをユレンに放つ。


「ロイツさんのおかげです」


ユレンは袈裟がけをいなし、突きを最小限に回避し横薙ぎをロイツに返す。


ロイツはそれを剣の鍔で受け止める。


「ふぅ、今日はここまでだな」


2人は汗だくになりながらも互いに礼をして練習は終わる。

そしてユレンはその後も自主練に励む。


素振りをしながらユレンは今後の目標を考える。


(俺の持っている力について俺は何も知らない……なぜ魔水の湖に落ちて生きていたのか、80年以上の時間が経っていたのかも何もかも謎のままだ)


ユレンはずっとそれを気になっていた。


(その謎を明かす旅に出よう)


ユレンは自分の身に何が起こってるのかをどうしても知りたかった、いや、知る必要があると思っていた。


そして旅に出る決意をしセネクス、ロイツ、チェルシーに伝える。


3人はいつかは来るだろうとは思っていたのかそこまで驚きはしなかった。


そしてそこからまた1年が経ちユレンは16歳になった。


セネクス、ロイツ、チェルシーから旅に出ても何ら問題はないと太鼓判を押される。


顔付きは青年になり、身長は伸び175㎝はあるだろうか。

幸いにも精霊王のローブは着れば成長に合わせてサイズが変わる代物でさすがアーティファクトという感じだ。


ハヤトも成長し体は大きくなり立派な大人の狼になっていた。


そして旅立ちの日は訪れる……


里総出の見送りだった。


「いろいろあったが、この里はお主に救われた事をワシらは決して忘れん、またいつでも戻って来なさい」


セネクスは優しい口調で言う。


セネクスさんからは昔愛用していた解体用の鋭いナイフを腰に下げ、エルフの狩人が使う軽くて丈夫な衣服と移動速度が速くなるブーツを前もって餞別で貰いローブの下に着用していた。


「セネクスさん、本当にお世話になりました、この御恩は一生忘れません、もし里に何かあったらすぐに駆けつけます」


そう言うユレンにセネクスは微笑みながらユレンの肩を叩いた。



「君達に会えて本当によかった、これは俺からの餞別だ」


ロイツはそう言うと、ユレンに銀貨5枚とポーションを5つ渡す。


「ありがとうございますロイツさん」


ユレンは深々とお辞儀をした。


「体調には充分気をつけてくださいね」


エサラは心配そうに言う。

エサラは道中で食べる為のお弁当をユレンに持たせる。


「エサラさんもお元気で」


ユレンは明るく言葉を返す。


「お兄ちゃん、ハヤトちゃんまたいっぱい遊んでね!」


アイリスはハヤトと誰よりも仲良くなり、一緒に遊ぶ事が多かった、目に涙を浮かべてハヤトをもふり倒している。


「僕達は一生友達さ!」


ハヤトはそんなアイリスを励ます様に、なすがままにされていた。


「ユレン……元気でね、私からはこれを」


それはエルフに古くから伝わる手作りの御守りだった。

ユレンはそれを懐へ大事にしまう。


「チェルシーも元気でな、またいつか会えるさ、そん時はチェルシーも立派な狩人ですごく強くなってるんだろうな」


ユレンはチェルシーを元気付ける。


「いつかあんたに並んでやるんだからね!」


チェルシーは空元気を出しユレンに言う。


「引き留めてたらいつまで経っても出発できんわい、ここは盛大に見送ろうぞ」


セネクスはそう言って、ユレンに出発する事を促す。


「皆さんお元気で!」


「また来るね!!」


ユレンとハヤトはそう言うと森の出口に続いてる道を歩き出す。

里のエルフ達はそれぞれ別れの言葉を告げ手を振る。


ユレンは里が見えなくなるまで手を振り返すのであった。





(ユレン……私はあなたの旅に同行できる程強くなって、必ずあなたを見つけるわ)





チェルシーはユレンに淡い想いを募らせて心に誓う。



















次回第二章始まります

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