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7話.早速やらかしました

『あくまつ』の主人公ちゃん、初登場です。




「ライラ・メルヴィルです。趣味は……特にないです。みんなと仲良くなりたいです。一年間よろしくお願いいたします」




 とりあえず定番の自己紹介をしました。しかたないじゃん!万年非リアだった私にみんなに好かれるような自己紹介をしろと!?




「公爵家の方なのに……なんて美しい心をお持ちなのかしら……」「ライラ・メルヴィル様……。響きも素敵……」「お高くまとっている近づきにくい方だと噂されていたが……全然そんなことないじゃないか。むしろ、親しみやすい」ざわざわ。ざわざわ。




 あれ、おかしいな?ざわざわしてるんだけど!?ていうか二番目の声……マリーちゃんの声じゃなかった!?


 そんな私の混乱……(みんなの混乱?)をよそに、自己紹介の番はどんどんまわっていって……マリーの番になった。


 緊張するよ……。




「マリー・スコットです。趣味はお菓子作りです。高貴な(・・・)貴族のみなさまと仲良く出来たらいいなと思っています」




 そう言って頭を下げる我らが主人公様。


 うん、お菓子作りはね。さすが主人公なんだけどさ。


 これ、やっちゃったんじゃないの?これが本だったら絶対に『高貴な』のところに点つけられてるって。そして、案の定……




「『高貴な』?」「メルヴィル様の自己紹介の反応が良かったからって真似するなんて」「そのように身分の低い者がなぜAクラスに?」「空気の1つも読めないなんて」ざわざわ。ざわざわ。




 うん、私とは違う意味でざわざわしているみたい。マリーちゃんごめん!ほんとごめん!私があんな自己紹介したからだよね!


 そう思ってマリーの方を見ると、おろおろしているマリーと目が合った。その不安そうな目を見て覚悟が決まった。


 私、権力と発言力だけはあるから。


 それに、今丁度先生がいない。


 好都合だね!一回やってみたかんだよね、せっかく悪役令嬢に転生したんだもん。




「あら。今スコットさんのことを平民だと笑っている人は、そこまで人を笑える家格の人だったのかしら。さっき自己紹介してもらったのですが……アドラー様以外に私より身分が高い人がいたのかしら?知らなかったわ、身分を詐称している不届き者がいたなんて……。…………………………………………実家を潰されたいのかしら?」




し――――――――――――ん。



 上の階のクラスの隣のクラスの、反対側の壁に張り付いているハエの羽音すら聞こえてきそうな沈黙がそこにあった。


 いや、さすがに聞こえなかったけどさ。雰囲気、悪くしちゃったな。








◇◇◇◇◇







「ライラ、どこか行きたいところあるか?」




 待ってました!よし、ここで桜の木の下と答えて、アドラー様とマリーちゃんを会わせよう!




「はい、伝説の桜の木の下に行ってみたいんです」




 伝説の桜の木の下……そこは、主人公が憧れていると聞いてアドラー様が告白した場所だよ!いろいろ聖地巡礼とかあったけど、まさか本物を生で見れるとは……。感動。




「ではそこに行こう。そこは俺も行ったことがない」




 よし、移動します。






「着いたな。ここで良かったのか?」




「はい」




 伝説の桜の木の下に着くと、やはりマリーがいた。




「アドラー様!スコットさんがいらっしゃいますよ」




「そうだな。……ところで、どうして自己紹介の時に彼女を助けたんだ?」




「それは……分かりません。なんとなく、じゃないですか?あとは、そうですね、彼女と目が合った、からでしょうか?とても不安そうでした」




「っ。そうか……」




 私とアドラーはマリーのいる方へ近づいていく。




「ごきげんよう、スコットさん。桜を見ていたの?」




「へっ?ああはいそうです無礼で申し訳ございませんさっきはありがとうございましたではこれでわたしは失礼いたします」




 そういえば、マリーはびっくりしたり焦ったりすると句読点がつかないんだった。そんなところまで可愛いと思わせるところがさすが主人公。けど帰られるのはダメだ。


 私はマリーの肩を叩いて、こしょこしょ話をするように耳に口を近づけた。




「スコットさん、お願い。アドラー様と桜の木の下で5分くらい話をしてくれない……?私、事情があって、アドラー様を足止めしないといけないの。貴女しか頼れる人がいなくて……」




「えっ?わたしが、殿下と……?…………………………分かりました、わたしで良ければ喜んで」




「本当にありがとう、お礼は…………そうね、貴女の言うことをなんでも聞いてあげる、とかどう?」




「えっっっ?いいいいいいいい、いいんですか!?分かりました、絶対に、命をかけてでもなしとげてみせます!!!!」




 おお、すっごいやる気。完全にスイッチ、ONだね!




「じゃあ、スコットさん、後は任せたわよ!」





 よし、無事にミッション完了だよ!マリーちゃん、後は任せた!貴女の主人公パワーでアドラー様からの愛を勝ち取ってみせなさい!





 物陰から覗いてたけど、すごい会話弾んでたよ!これは、いけるのでは!?






 ……ところで、マリーちゃんは私に何を頼もうとしてたのかな?やっぱり、アドラー様との関係の応援とか?





お読みいただきありがとうございます。


いやライラ、『実家を潰されたいのかしら?』はね、さすがにやりすぎなのでは?まぁ、私が書いたんですけれども。

次回は、一応アドラー視点となっております……。ただね、結構長い。長いんですよ、なぜか。3話分くらい行ける感じです。1話にまとめても仕方ないので分けます。


おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字等あれば報告していただけると幸いです。

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悪役令嬢は断頭台で、生まれて初めて微笑んだ←マリーちゃんの関係者が出てくる短編です!
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