6話.入学式ですが、本当にイベントが起こるのでしょうか?
長めです……。これでも元から書いてたやつを二つに分けたのですが……。字数的には三つに分けた方が良かったかも?
あぁ、どんどん伏線回収から遠のいていく……。
あ、初めて王子様登場です!
「お嬢様、朝ですよ」
ん……むにゃむにゃ、もうちょっと……って朝!?
昨日、娘に超絶甘いお父様に無理言ってアドラーと一緒に行く約束を取り付けたんだった!……公爵家の権力、すごすぎじゃない?
「ミラ、おはよう。今日は、入学式ね?どんな感じなの?」
「新入生代表が挨拶して、学園長の話を聞いて、クラスが発表されたら解散ですね。ああ、後、自己紹介もあったと思いますよ。考えておいたほうがよろしいのでは?」
うわ、自己紹介か。ぼっちには拷問の……あれね。自己紹介で、だいたいのクラスの階層が決まるからなぁ。うぅ、気が重い……。
「ミラ、早く行きましょう。アドラー様が迎えに来てしまうわ」
「……そうですね、早く支度をしてしまいましょう」
「久しぶりだな、ライラ」
きゃ――!アドラー様がぁ―、アドラー様がぁ―、あのご尊顔がぁ―、私の方を向いて!私の名前を呼んでいる!……これが推しを前にしたアラサーの反応よ。
落ち着け、私はライラ、世界一最悪な悪役令嬢よ。
「お久しぶりですね、アドラー様。入学式、緊張します。……アドラー様は、新入生代表が誰なのかご存知なのでしょうか?」
「……ん?あぁ、知っているが……ライラは知らなかったのか?」
「はい……。無知で恥ずかしいです。どなたがなさるのでしょうか?」
「俺だ」
「ふぇ?」
「俺がする」
「え、えっと……。……ごめんなさい!仮にも婚約者なのに、知らなくて……!」
そういえば、そうだったよ!完っ全に忘れてたわ!マリーちゃんも新入生代表の方……ですよね?みたいな感じだったじゃん!
アドラーを見ると、こらえきれなかったように笑っていた。
「ふっ……。あははっ!あはははっ!…………こんなに笑ったのは、久しぶりだな。最高だなお前」
なんでこんなことで笑ったのかは分からないけど、ヤバい、その笑顔は反則っ……!かっこよすぎるっ……!
ふら……。
「おい!?ライラ!?」
私はアドラーがかっこよすぎて馬車の中で倒れた。(何じゃそりゃ)
なんか、意味が分からないような感じに終わったけど、笑ってくれたなら、結果オーライだよね!
それにしても良かった、倒れてなかったらきっと、「アドラー様ぁ……!かっこよすぎますぅ。ライラぁ、惚れてしまいますよぉ」とか、どっかの悪役令嬢以上に気持ち悪いこと言ってたよ。ヤバかった……。
◇◇◇◇◇
「新入生代表、アドラー・ライル」
よし、何としてでもアドラー様のご勇姿を目に焼き付けなければ……!
ちなみに、私は学園に着く1分前くらいにミラに起こされた。うちのメイドは優秀である。
「この、桜舞い散る暖かな季節に、僕たちは我が国の魔法学園第一校に入学しました。…………」
はぁ……。アドラー様には悪いけど、眠いわ。……いや、すごい綺麗な言葉で飾ってあるんだよ?内容も、すごいいいこと言ってると思うんだよ?けどさ、私、中学でも高校でも大学でもこれ、体験してるからね?どれも同じようなことしか言ってないし。それと、アドラー様の美声でよけい眠くなるんだわ。子守唄的な。
いつの間にか、アドラーが私の隣にきていた。
「ライラ、ちゃんと聞いていたか?」
「えっ、も、もちろんですわ!聞いていないわけないじゃないですか、おほほ……」
「本当か?……どこが、良かったのだ?」
めっちゃ怪しまれてるよ!ここは、アラサー時代の記憶を活かして……。
「その、『僕たちはこの学園でたくさんのことを学び、これからの人生に活かしていこうと思います』というところです!アドラー様の誠実さがよく分かりました!」
「そうか……。ちゃんと聞いていたのだな?」
聞いてないよ。当てずっぽうだったんだけど、当たって良かった。
「は、はい……。それが、どうかしたのですか?」
「ん?……いや、なんでもない、ただ、ライラがいずれ俺の婚約者になるなら、その器があるかどうか……あ、すまない。えらそうなことを……」
「さすがアドラー様ですね!」
男を落とす褒め言葉さしすせそ!確か、「さすが!」「知らなかった!」「すごい!」「センス良い!」「そうなんだ!」じゃなかったっけ。彼氏が欲しくてそういう系の本熟読した時もあったなぁ。結局のところ、彼氏いない歴=年齢だったわけだけど……。本当に合ってるのかな?
「そ、そうか……?」
お、満更でもない様子!合ってたっぽい。この世界の男子は免疫がないのかな?
「そうですよ。……あ、もうすぐクラス発表ですね。一緒のクラスになれたらいいですね」
噓です。なりたくないっ!主人公とアドラー様となるとか、破滅と板挟みじゃん!怖い!……けど、なるんだよねぇ。ヤバいわ。同じクラスになって関わらない方法とか、ある?教えてください。
クラスは、A、B、C、D、E、Fクラスがあって、入学テストの成績順で決まる。成績がよい順にA、B、C、D、E、F。簡単で分かりやすい。マリー、アドラー、ライラはAクラス。
クラス発表の紙が張り出されている。やはり、全員Aクラスだった。気分は控え目に言って最悪だ。
「あ、私もアドラー様もAクラスですね!知り合いがいて良かったです!」
「し、知り合い……。あぁ、そうだな。……ところで、マリー・スコットとは誰だ?聞いたことがない家名だな」
主人公ですぅ――、なんて言えるわけがない。
「そ、そうですね……。会えば、わかるでしょう。同じクラスなのですし……」
「それもそうだな」
びっくりしたぁ――、もうはや主人公特性を発揮しているとは!さすが、主人公……。
いやアドラー、笑いの沸点低すぎな。本当に。そしてライラの「知り合い」呼びにちょっと落ち込むアドラー。ま、がんばれ?私は知らないからな!
あ、すみません、お読みいただきありがとうございます。
おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字等あれば報告していただけると幸いです。
次回、ライラが自己紹介で軽くやらかします。




