後日談 そして
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「ライラ」
「アドラー、何でしょうか?」
転生してから10年目。アドラーと結婚してから7年目。
私は結婚したときに、「様」を付けずに、「アドラー」と呼んでほしいと本人に言われ、それからずっとそう呼んでいる。7年経った今ならさすがにもう慣れているが、最初は本当に慣れなくて、アドラーにからかわれて、恥ずかしかったものだ。
「好きだ」
アドラーはそう言って私にキスをする。
……え、ちょ……っ!
こういうことはまぁよくあるのだが、未だに慣れない。
「ア、アドラー、そういうのはやめてください……っ!」
皇帝の座にはフィリップがついた。アドラーは皇帝にならなかったわけだけれど、もう本人は気にしていないらしい。普通の顔で、フィリップの補佐をしていた。
すっ……
気を遣った娘がこの場から去った。まだ6歳なのに、ませているなぁと思う。
……………………そう!こ ど も が い る の。
もう一回言うよ?
こ ど も が い る の。
妊娠とか出産とか未経験すぎて戸惑いました。
うん、女の子なの。それで今も、お腹の中に子供いるの。いやマジで。男の子なのよ。
受け入れられない君の気持ちはわかる。うん、わかるわかる。マジだから。名前はエイプリル。親のひいき目なしに見ても可愛い。……いや、だってあのアドラーと、ライラの子供だよ?可愛いに決まってんじゃん。美人に決まってんじゃん。
……まあそれはともかく。
私は今、アドラーの妃として、皇帝であるフィリップの補佐をしているアドラーの補佐をしながら、王都の大きな屋敷で、のんびりまったりアドラーとエイプリルと過ごしている。
今日はまぁ、日曜日みたいな休みの日で、アドラーは何か緊急事態が起きない限り1日中私の傍にいる。
最近恋愛小説を読み始めたエイプリルは、私とアドラーが、さ、さっきみたいなことになったら静かに出ていく。その間はメイド――専属侍女のアリア――と遊んでいるらしい。気遣いはありがたいけれど、もう少し娘と遊びたいという親心もある。
「もう、アドラー。エイプリルが出て行っちゃったじゃない。せっかく家族で揃ってるんだから、気を遣わせないの」
「それもそうだな。エイプリルー、こちらに来なさい」
アドラーが扉の外にいるであろう娘を呼ぶ。……だが、返ってきたのはつれない返事だった。
「えぇ、嫌ですよお父様。どうせお母様に言われたのでしょう?わたくしが行ってもまた勝手にいちゃつきだすのですから、それならもう存分にわたくしの知らないところでいちゃついていてくださいませ」
「……だ、そうだ、ライラ。……これで思う存分ライラを独り占めできるな」
……うわぁ、ちょっと待って、エイプリルの物分かりがよすぎてお母さんが困っちゃう。あとアドラーの目が怖い。
「ちょ、ちょちょっとエイプリルっ!アドラーっ!」
私の幸せな日々は、こうやって過ぎていく。
これにて本編完結です。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
それぞれの登場人物のその後について、不定期更新になるかもしれませんが番外編を書く予定ですので、もしよければぜひそちらもお読みいただけると嬉しいです。(一応、番外編も終わるまで、完結設定にはしないつもりです)
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