32話.不安
ライラが焦ってるのはまだ落ち着きます(笑)
矛盾点の報告、とてもありがたいです~!!……調整できた……かな?
今日は卒業式。いよいよ断罪イベントの日です。
……昨日のアドラー様の告白、私を油断させるための演技じゃないよね……?
そんな不安もあって、私は朝から――昨日よりも挙動不審になっていた。
よし、ここは精神を落ち着けるために、これまであったことを振り返ろう。
ええと、転生して、回避しようとして、サポートして……。
……ん?よく考えたら(考えなくても)、最初虜にしようとしてたのに、途中からマリーちゃんとの恋をサポートしようとしてた?何やってたの?マジで何やってたの?自分でもわかんないんだけど。というか告白自体が、破滅フラグじゃないの?というかもし両想いじゃなかったら破滅してたのでは??え、演技の可能性もあるから破滅してるのかもしれない?私のバカバカ!命は大切にしなよ!前世でもそうだったじゃん!……マジでこの学習能力の低さなんなの?
……もっと不安になったんだけど。
「アドラー様」
馬車の中で、アドラーに話しかける。
目を逸らされた。
「アドラー様」
再び話しかける。
目を逸らされた。
「アドラー様」
目を逸らされた。
……ん?どゆこと?これ、どういうゲームなの?
「アドラー様」
話しかけ、ずいっと近づく。
顔が赤くなった。そして目を逸らされた。
……あ、両想いになったことを喜んで、照れているという演技なのね!
悪い考えが頭の中を過っていたからか、私はそう勝手に解釈して、騙されないぞと沈黙を守っていたのであった。
今は、卒業式の前の自由時間だ。卒業式の最終準備中で、私達生徒は教室で待たされていた。
「はぁ……」
溜息を吐いて、私はいつの間にか自分で教室を出ていた。廊下を歩き、1人になれる場所に向かう。
……まぁ無難に女子トイレだよね。
屋上は閉鎖されているので(よく本で使われるが)行けない。中庭とかは普通に人がいる。
「婚約破棄、されちゃうのかなぁ…………」
されたくないなぁ、と心の中で呟く。無意識に出た声は、人気のない廊下にやけに大きく響いた。
「ぁぃたっ!」
下を向いて歩いていたら、誰かにぶつかった。
「すみませんっ!」
謝って、誰だろうと少し視線を上げると、そこにはフィリップがいた。
「第一王子様!?なぜいるのですか!?卒業式の準備は!?」
卒業後でも、第一王子であるフィリップは、卒業式の準備をしていたはずだ。
「や、ちょっとこっちに用があって。それよりさっきの話――」
フィリップは私の傍に近寄った。
「もし本当にそうなったら、俺がもらってやるよ」
「…………………………は?……わ、私はアドラー様のことが好きなので、貴方の妻にはなりません!」
自分で言っていて、不安になってきた。私がアドラーのことを好きでも、それは婚約破棄されない理由にはならない。
婚約破棄への不安があって、そうなるかもしれないと思い、強がっただけなのが私自身もわかっていて、その事実がなおも私を不安にさせるのだ。
「そうだろうな。じゃあ」
そんな私の気も知らずに、フィリップは立ち去って行った。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
卒業式開始の予鈴が鳴って、私は足早に教室へ向かった。
「はぁ……」
溜息を吐いても、刻一刻と卒業式での断罪イベントの時間は近づいていた。
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